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<セミナーレポート> ドキュメンテーションの教科書 起源から作り方、最新事例まで丁寧に教えます!

スマートエデュケーション大澤です。8/10に開催したオンラインセミナーのレポートをお届けします!

「ドキュメンテーションを始めて保育につながりが生まれた!」「先生同士のコミュニケーションが活性化された!」「保育が楽しくなった!」という園さんには共通点があります。それは、子どもたちに直接向きあう現場の先生や職員の方が、本当に楽しく、ワクワクしながらドキュメンテーションに取り組んでいるということです。
今回はドキュメンテーションの基礎知識、そして弊社が提供するドキュメンテーションツール「おうちえん」の活用事例、そして現場の先生が楽しく取り組めて、保育が変わるきっかけになるドキュメンテーションのポイントについてお話しました。
当日の様子はぜひ、こちらから動画をご覧ください!

主体性保育と保育の可視化(6分25秒〜)

最初に、「ドキュメンテーション」に注目が集まっている背景についてお話ししました。
ドキュメンテーション(場合によってはポートフォリオ・ラーニングストーリーなどと呼ばれるものもあります)を一言で説明すると、子どもたちの活動や育ち・学びの姿を写真や動画、文章などのかたちで記録するものです。
ではなぜ子どもの育ちや学びを記録する必要があるのでしょうか。

乳幼児期には非認知能力を育むことが重要です。他人から与えられるのではなく、自ら主体的に多種多様な体験をすることが、非認知能力を育むことにつながります。

子どもたちが主体的な遊びのなかで何を経験し、その経験が乳幼児期においてどれほど大切なものなのか。そのプロセスを見取ることは、保育のプロである先生方しかできないことです(それこそが保育の専門性ですね!)。そして子どもは園だけでなく、家庭や地域のなかで育っています。見えない力がどう育っているかを可視化することは、園・家庭・地域が連携して子どもを育てるなかで欠かせないことでもあります。

こういったことを背景に、イタリアのレッジョ・エミリア市で生まれたのがドキュメンテーションです。レッジョ・エミリア教育では、子どもの興味関心からいろいろな活動がスタートしていきます。遊びのなかで子どもがどのような力を発揮し、どう育っているのか。ドキュメンテーションは、その過程を保護者や地域に伝えるための記録として生まれました。ドキュメンテーションを公開することで保護者や地域の人々が園の理解者やファンになり、子どもの遊びや学びをさらに豊かなものにしています。

実際の事例を見てみましょう。

右側がレッジョエミリアのドキュメンテーションです。子どもの作品とともに、先生がどのような育ちや学びを見とって援助しているのか、子どもたちの育ちや学びがどんな姿として表れているのかなどを文章や写真で説明しています。作品を見るだけではわからない学びのプロセスがよくわかり、また子ども自身が自分の遊びや学びを振り返るのにも役立っています。

日本の事例もご紹介しました。
インターネットで「ドキュメンテーション」と検索すると、いろいろな園さんのドキュメンテーションを見ることができます。手書き、もしくはパソコンで作成し印刷して園内に掲示するというスタイルが多いようです。普段の生活におけるお友達同士の関わりや子どもの心の中、保育のねらいや「10の姿」と関連づけた振り返りなど、記載事項は園によってさまざまです。

日本ではドキュメンテーションのICT化が進んでいる(17分30秒〜)

日本ではドキュメンテーションのICT化が進んでいます。業務の省力化に取り組む園が増えていること、またコロナ禍で保護者が園に入ることができなくなってしまったことが背景として挙げられます。
弊社もICTを活用したドキュメンテーションツール「おうちえん」を提供しています。開発にあたっては、神戸大学の北野幸子教授に監修いただき、神戸大学附属幼稚園さんで実証実験をしながら機能強化を進めてきました。
この実証実験のなかでは、ICTを活用することで簡単・手軽に作成できること、また園と保護者の双方向的な関係づくりの手段が増える、保育への理解が深まることなどが確認されました。

最大の効果は「先生同士の保育の見える化」(21分34秒〜)

さて私たちがドキュメンテーションツールを提供するなかでよく聞くのが、「『先生同士の保育の見える化』に一番価値を感じている」というお話です。

「一生懸命に準備をして環境設定したのに、いまいち子どもたちが盛り上がらない」「悩みはあってもベテランの先生には、なんとなく相談しづらい」「相談される側もプロセスが見えないので、アドバイスしづらい」。日々、こんな悩みを感じていらっしゃる先生も少なくないかもしれません。とくに若い先生は、自分の保育に自信が持てなかったり、アイデアに行き詰まったりすることもあるのではないでしょうか。

下図は2020年12月に公表された「OECD国際幼児教育・保育従事者調査」の結果です。「保護者間の協働」についての調査を見ると「他の保育者の実践についてのフィードバックを与える」という項目が極端に低いことがわかります。計画について話し合うことは多くても、実際の保育についてフィードバックする機会はなかなかないようです。

ドキュメンテーションがあれば、日頃から他の先生の実践を学んだり、ドキュメンテーションを見ながら先生同士が保育を振り返ったり、相談しあったりと対話の機会が生まれます。これこそが、ドキュメンテーションの大きな価値です。ドキュメンテーションに取り組むことで、保育に自信が持てるようになる先生も多いようです。

子どもの姿ベースのサイクルで、保育の質を向上させる

保育の見える化は、保育の質の向上にもつながります。

「子どもの姿ベース」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。最近、玉川大学の大豆生田先生がよく使われている言葉です。弊社主催のセミナーでも大豆生田先生にお話しいただくことがあるのですが、「子どもの姿ベース」という言葉が必ず出てきます。これからの保育・幼児教育で鍵となる言葉になるのではないかと思います。

最初にお話した通り、乳幼児期に「創造性」「自己効力感」「粘り強さ」「協調性」などの非認知能力を育むためには、他者に与えられた経験ではなく、主体性を発揮しながら色々な経験を積み重ねる必要があります。そのために先生は、日々子どもが何に興味・関心を持っているか、子どもの心や頭の中で何が起こっているのかを見とって、環境を作っていかなくてはなりません。
子どもの姿や学びの姿をより深く理解する。そのためには、子どもの姿に多様な側面から光を当てることがとても大切です。
どんな人にもその人の見方や枠組みがあり、その中で世界を見ています。自分一人の見方や枠組みからでは見えない子どもの姿をたくさん見つけることが、保育を豊かにします。
いろいろな見方・考え方が集まって、小さな語り合いが生まれ、子どものもっと素敵な姿が見えてくる。ドキュメンテーションは、そんな好循環を生むきっかけを作ってくれます。

ドキュメンテーション作成のサイクル(31分00秒〜)

ここから、具体的なドキュメンテーションの作り方をご紹介します。
ドキュメンテーション作成のサイクルは下図の通りですが、この①〜④のサイクルをぐるぐる回すことが、保育の質を向上させます。
そして、これら4つのステップを手間なく効率的に実行できることが、ドキュメンテーション成功の秘訣です。「おうちえん」を活用すると、すべてのステップが楽しく手間なく実施できます。

ここから「おうちえん」の導入事例をご紹介しました。
こちらの園さんでは「おうちえん」で簡単にドキュメンテーションに取り組めるのであれば、やってみよう!ということでドキュメンテーションをスタートされました。

こちらが実際のドキュメンテーションです。
活動の記録を端的に説明するとともに、子どもの視点の鋭さ、いろいろなものに気づく感性に対する先生の驚きを素直に記録しています。「立派なことを書くべき」と考えるのではなく、先生の思いをそのまま言葉にしているところが、この園さんの素晴らしいところです。

おうちえん体験

ここで、実際のおうちえんの使い方をデモでお見せし、参加者の皆さんにも体験していただきました!

ドキュメンテーションの価値と成功のポイント(40分07秒〜)


上記でご紹介した園さんでは、ドキュメンテーションを始めてすぐに職員室の会話や先生の保育の作り方、保護者との関わりなどが大きく変わっていったそうです。

なぜ、こんなにうまくいっているのか。
それは下図のようなポイントを園長先生主体ではなく、現場の先生主体で考え、試行錯誤しながら実行し続けていることにあります。
先生方が楽しくワクワクしながら取り組むこと、また自園に合ったドキュメンテーションの形を現場の先生が主体となって考えていくことが成功の秘訣です。

そうはいっても、どこから始めたらいいのか……。そう悩まれる園さんも多いのではないかと思います。
まずはできるところから!ということで、遠足などの季節の行事、誕生日会、クラスだよりなどの活動報告からスタートされる園さんもたくさんいらっしゃいます。

各画像をクリックすると、実際のおうちえんの画面が見られます!

遠足の報告
クラスだより

スモールスタートでも、まずは始めてみることが何よりも大切です!
「おうちえん」は無料体験もございます。
ぜひ、お気軽にお問合せください。

セミナー次回予告

今回、ご参加いただけなかった皆さま、ぜひ実際におうちえんを体験してみませんか?
下記のスケジュールで同内容のセミナーを実施いたします。
・2022年9月27日(火)16:00〜17:30
・2022年11月11日(金)16:00〜17:30

こちらから、ぜひお気軽にお申し込みください!


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