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ぼくが出会った世界の子どもたち


         長倉洋海(ながくら ひろみ)

今日はぼくの好きな写真家長倉洋海さんの記事をほぼそのまま載せて、
自分なりの感想を最後にちょこっと書きますね。
(以下、長倉洋海さんの記事でです)

先生になる夢 あきらめないシャボナ

私は2004年から、アフガニスタン北東部パンシール渓谷(けいこく)にある「山の学校」の支援を続けてきました。戦争で多くの人が亡くなり家屋も破壊されましたが、地域の人たちが子供たちの未来のためにと自分たちで作り上げた学校です。
 
 学校の授業が終わった小学2年生のシャボナが、小さな橋を渡って家に向かっています。お父さんは学校の校長先生のサフダルです。「山の学校」の支援を始めてから毎年、私が訪れたときは、サフダルの家に泊めてもらっていました。滞在中は、子どもたちが私をむかえにきて、みんなで学校に行くのです。
 学校は標高2千メートルをこえる高地にあり、近隣の九つの集落から100人以上の子どもたちが通っています。シャボナの家は、学校から最も遠い上流の村にあるので、早足でも1時間ほどかかります。でも、字の読み書きや世界のこと、新しいことが学べるし、同じ年ごろの子と話せるから、楽しくてたまらないようすです。
 いつもは友達と話しながら家路につきますが、今日はちょっと忙しい。お兄ちゃんの代わりに、山の草原に放牧していたウシを家に連れて帰らないといけないのです。シャボナは、家族を手伝ってよく働きます。朝は姉のファトナとパンを焼き、トマトとキュウリのサラダ、目玉焼きを作り、紅茶といっしょに私の食卓に届けてくれます。水くみや乳しぼりもします。
 子供のころから、彼女の夢は「先生になること」でした。でも、2010年に父親ががんで亡くなり、障がいのある弟2人の世話もあって、しばらくは進学できませんでした。やっと大学を受験するという21年、アフガニスタンで政変が起きて、女子の教育が認められなくなったのです。去年の夏、アフガニスタンを訪ねた私にシャボナは、「先生になる夢はあきらめていない」と話してくれました。
 一刻も早く、子どもたちが自分の夢をかなえらるるようになるといいなと思っています。

朝日小学生新聞 2022年4月3日より

・この記事の感想

日本人にしたら不条理すぎるアフガニスタンの日常に、やりきれなさを感じます。
長倉洋海さんは『地を這うように』という写真集を買って以来、新聞なんかで記事や写真をみると必ず目を通すようにしています。この記事を読んで、何年振りかに『地を這うように』を見たのですが、まさに”地を這うように”して「生」をまっとうしようとする人々の姿がたくさんありました。
アフガニスタンやウクライナの人々に比べたら、いまのぼくは「空虚」そのもの。「うつとか言ってる場合じゃないよなぁ」と情けなくなるとともに、フツフツとまではいかなくてもフツと、「やらなきゃ。動かなきゃ」と思いました。
がんばれシャボナ、がんばれアフガニスタンの女性、がんばれウクライナの人々。そう心で思いました。

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