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ワイドショーに登場する自称「医療ジャーナリスト」や素人コメンテーターたち

4月ももうすぐ終わりです。
新型コロナウイルスについての報道が過熱するようになって、それなりの日が経ちます。

しかし、ワイドショー的なテレビ番組では、自称「医療ジャーナリスト」や門外漢の「政治評論家」など、医師ですらない医療の素人が、およそ根拠に乏しい自説(というほど信念をもって論理一貫しているようにも思えませんが)を好き勝手に叫びまくる日々が未だに続いています。

彼らの主張のほとんどは、やれ「とにかくPCR検査をどんどん増やせ」とか「軽症者でもアビガンを打ちまくれ」とかいったものであり、それこそ素人目に見ても科学的合理性があるとは到底思えません。

加えて、(特に芸能人の)死者が出るたびに、その方の体質、既往歴や服薬歴、直近の病状や治療内容、病院側のリソース等の問題といった個別事情について何も知らない癖に、「もっと早くPCR検査をしていれば」「アビガンを打っていれば」などと、さも自分の言うとおりやっていれば助かったのに、と言わんばかりの顔をするのにも、私は腹が立って仕方がありません。

そもそも、私はそのくだらなさに辟易して、テレビの地上波(特にワイドショーやバラエティー番組)をほとんど見なくなって久しいのですが、それでも、コロナ禍が始まってからは、やむを得ず、ある程度テレビでも情報収集するように努めています。
また、ネットのニュースやTwitterなどを通しても、テレビでどのようなトーンの報道がなされているかは、嫌でも耳に入ってきます。

私は、ジャーナリズムのあり方に関して、「特定人の個人的・主観的な意見や主張はいいから、まず真っ先に正確な『事実』は何なのかをしっかり報道して欲しい」と常日頃から願っています。
ですので、「事実」をほとんど踏まえずに、好き勝手かつ無責任な「主張」しか連呼しない素人コメンテーターと、彼らをやたらに起用するテレビ局には、もういい加減ウンザリしてきています。

もっと言えば、コロナ危機を何とかして乗り越えようという気はサラサラなく、「無知な視聴者の不安を煽ることで視聴率を稼いでやろう」としか考えてなさそうなテレビ局自体のいやらしい思惑も透けて見えてきて、より一層嫌な気分になり、やっぱり地上波は見る価値がほとんどないな、と(再び地上波を見るようになって1〜2ヶ月しかたっていませんが)改めて感じているところです。

(なお、これは余談ですが、私が身を置く法律の世界でも、「前提となる事実」と「それに対する評価・主張」を明確に峻別する、というのはイロハのイであり、これを意識せずに混同した文章を書いたりすると、「こいつは基本が分かっていない」として、ケチョンケチョンに怒られます。)


素人コメンテーターの発言内容の多くがいかに誤っているか、ひいては視聴者に誤解を与える有害なものであるか、については、心あるまともな医師の方々が散々情報発信されていますので、ここではこれ以上触れません。


私からは、去る4月15日に、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症防止専門家会議」の西浦博教授「8割おじさん」の名で親しまれている先生)が「対策がなければ最悪40万人以上が死亡する」との推計を公表した際に、私が他所で投稿したコメントを(若干加筆修正のうえ)以下に再掲させていただきたいと思います。

4月15日に書いたコメントではありますが、2週間がたった今でも、私の基本的スタンスは変わっていません。
引き続き、真の「専門家」に敬意を払い、その発言に謙虚に耳を傾けていく姿勢を忘れないようにしたいと思います。

※4月15日のニュースの詳細はこちらをご参照ください。

(4月15日に私が投稿したコメント)

幼少の頃、母親に「注射、痛くない?」と尋ねたら、「痛いよ。でも、必要なことだから痛くても我慢しなさい。」とハッキリ言われたことを今でも思い出す。

このニュース(西浦教授の発言)に、Twitterでヒステリックな批判が多く寄せられているところを見ると、日本人のメンタリティとしては「大丈夫ですよ」と耳に心地よいことをとりあえず言って欲しい(それ以外は聞きたくない)のかもしれない。(でも、そういう人に限って後で「大丈夫と言ったじゃないか」と怒るものである。)

しかし、そんなまやかしに身を委ねたり耳を塞いだりするのではなく、日本を代表する専門家が(おそらく勇気を出して)リスクをハッキリと指摘して警告していることに、まずは虚心坦懐に耳を傾けるべきではないか。

そして、これを踏まえた政府・自治体の政治的・経済的政策の当否に対する批判や不満はいくらでも言えばいいが、少なくとも専門家チームの科学的指摘(試算)への批判は、同等の学問を積んだ者のみに許されるというべきだ。

医療従事者ですらない自称ジャーナリストや芸能人、評論家のご高説など、ハッキリ言って邪魔でしかない。

私は医学は全くの素人だが、普段から医療のお世話になっている身として、最近、あまりにも(過酷な状況で献身的に働いておられる)医学の専門家への敬意を欠いた論調が多すぎるように感じているので、あえてこのようなことを述べてみる次第である。

最後に、西浦先生が再びさっしー(指原莉乃さん)からのダイレクトメッセージで励まされることを願ってやまない。

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