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ツンデレ妹

俺って、特殊な人間だろうか?
昔から、ずっと思ってたことがある


「ツンデレ妹が欲しい」
これって、案外、1人っ子の皆は考えないだろうか?
俺も、1人っ子だ
兄妹がいる人は「別にいても変わんないよ~」
なんて言ってるけど、俺はそうは思わない
ていうか思えない
この思考に陥る過程を書かなければ

それは中学生のころにさかのぼる
ちょうど、家にインターネットがつながり、俺も電子の世界に飛び込んだ
そして、興味のあることをいろいろと調べてみた
「のびハザ」「ホラゲー」「マイクラ」
今書いてみると、何とも中学生らしい、検索結果だ(笑)


そこから、しばらくして、俺は、とある女子に恋をした
名前は憶えていない
だけど、この恋が、妹が欲しいと思ったきっかけだった事はしっかり覚えている。


恋が実らないと察したのはすぐだった
俺が恋した女子は、いわゆる「クラスのマドンナ」のような存在
バスケ部のイケメン男子と付き合い始めたのだ
いやぁ…きついっす(´;ω;`)
どうして、どうして・・・?
俺は、君のことを愛せるよ?
俺は、君に優しくできるよ?
俺は、誰よりも君を知ってるよ?


メンヘラじゃねぇか(笑)
まぁ、そんな俺、恋が実らなかっただけで、あきらめきれるわけもなく。
横目でその娘を見たり、一緒にデートをしている妄想をしたり・・・
でも、そんなことを考えれば考えるほど、むなしくなるだけ・・・
この満たされない気持ち、俺はそれをインターネットにぶつけた
何か、俺の恋をかなえてくれる、いや、恋をしていると思わせてくれるものはないか?


自分が恋をしていると錯覚させてくれるもの
ついに見つけた
「恋愛シュミレーションゲーム」
それまで、俺は女の子がキャッキャウフフするゲームに嫌悪感を抱いていた
所詮は画面の中で動く、空想の産物
だが、そんな固定観念は音を立てて崩壊した
その中では、主人公を必死に思い続けるヒロインたちの姿があった
こんなに真剣に主人公のことを思い続けるヒロインたちに俺は恋した
恋愛趣味レーションゲームのいいところは、「自分の頭の中で都合のいいように考え方を変えられる」という事。
例えば、ヒロインが
ヒロイン 「あんたなんて…あんたなんて大っ嫌い!!」
そういったとしよう
これをリアルで言われたらどう思う?
終わった(´;ω;`)
この一言に尽きる
だが、恋愛シュミレーションの場合、この言葉は都合のいいように頭の中で書き換えることができる
「ほぅほぅ…この女の子は"ツンデレ"属性を持ってるんですか…」
実際、俺のツンデレという読みは当たった
このゲームのオチは結局「大っ嫌い」というヒロインの言葉は、主人公に素直になれないあまりに言ってしまったいわゆる「愛情表現」だったのだ

自分には、こんなにも愛おしく、大切にしたい恋人ができたの初めてだった
画面の中だったけど…
だが、同時に、そのヒロイン達に求める愛はどんどん重くなっていった


もはや、通常のシチュエーションでは満足できなくなっていた自分がいた
「幼馴染ね、ハイハイ…まぁ、王道ルートだわな」
あまりにも、恋愛ゲームの毒に酔いしれた俺は、ついに普通の恋では満足できなくなった
そこで、出てきたのは「いもうと」という存在
恋愛シュミレーションゲームでは大体と言っていいほど、「いもうと」がいる
そして、親はなんか知らんけど「いない」か「海外出張」「旅行」中
そんな中、いもうとは主人公に恋をしないはずもなく
「お兄ちゃん…大好き…」
こういう言葉を投げかけてくる
初めて聞いた時は何とも言えない高揚感が襲ってきたのを覚えている
それは、何というのだろうか…こう、言葉に言い表しがたい
悶絶した
「お兄ちゃん」という響きが最高だった
「恋愛シュミレーションゲーム」とは、男の主人公と攻略可能なヒロインがいて初めて成り立つもの
しかし、「いもうと」が攻略ヒロインに入っていることはあまりなかったり、サブヒロイン扱いのことが多かった
そんな中、はじめて「いもうと」を攻略できるゲームを見つけた
その時に俺は初めて
「あぁ…この妹は俺がいないとダメなんだな…」
そう思った
ずぼらな俺が誰かから求められるはずもなく、「求められる」というのも初めての体験だった
呼び方が「お兄ちゃん」なので感情移入もしやすい
まるで、自分が呼ばれているみたいだ


それから、おれは、次々に妹系ヒロインをかたっぱしにネットから調べて、動画を見た
それから、俺の中の妹という概念は「ツンデレ」で「兄思い」の二つになった
これがなければ妹とは呼べない!そう思っていた


時は進み、高校に進学した俺
まぁ、ありきたりの進学校だ
そこで、俺はある驚きを覚えた
それは、「俺以外、必ず兄妹がいる」という所だ
これには驚愕
先生が「じゃぁ、このクラスで兄弟がいる人いる?」
と言ったとき、俺以外全員が手を挙げた
ちょ、ちょっと待って、なんか、俺だけはぶられてない(´;ω;`)
だが、親には感謝している
1人っ子な分だけ、俺に愛情を注いでくれたのだから


高校での生活も慣れてきて、友達も出来たある日
俺はその友達との日常会話で、好きな女子、タイプなどいろいろと語り合っていた
そこで、俺はつい言ってしまった
「俺、妹がいたら彼女にしたいわ」
それを聞いて、友達はビックリ
運が悪いことにその友達はちょうど妹がいたのだ
だが、その友達は俺の考えに引くわけでもなく笑ってくれた
友達「マジ(笑)なんでよ?」
俺「なんか求められてる感じするじゃん?それにツンデレだし」
友達「ツンデレじゃなくて"ツン"な?"デレ"はねぇよ(笑)」
俺「え?」
友達「妹にも彼氏はできるし、いつかは兄離れしていくんだよ…」
なんだか友達の目は少し悲しそうな目をしていた
お前も、もしかして、俺と同じく…?

結論、恋愛シュミレーションゲームに出てくる妹なんてリアルにはほとんどいない
でも、俺は、まだ信じている
兄思いのツンデレ妹はどこかに存在していて、きっと、お兄ちゃんを愛してくれているのだろうと…


もし、この読者の中に妹がいる人はぜひ、妹を大切にしてあげて欲しい
もしかすると、いつもツンツンしている妹はあなたに素直になれないだけかもしれない


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