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自然から得るパワー

表参道にあるGYRE GALLERYにて開催されていた写真家の高木由利子さんの展示を見て、とてもうらやましいと感じた。

chaoscosmos

カオス(混沌)から、何らかの働きの元に、
コスモス(秩序=宇宙)が誕生したであろうと、
私は長い間漠然と想像していた。
つまり、混沌と秩序はどちらかと言うと、
私の中では因果関係に近かった。

とあるきっかけで、自然現象をレンズを通して
捉えていくうちに、もしかすると
カオスとコスモスは同時多発的に
共存しているのではないか、
と言う「気づき」が生じてきた。

宇宙の摂理は、私たちが日常的に
漠然と受けてめているよりも、
遥かに複雑で綿密で意外性に富んでいるようだ。

それぞれの物質、生命の特性(現象)は、
この宇宙に存続するための
方法論なのかもしれないとも思う。

どの現象が時として、レンズを通して
視覚的に現れることがある。
肉眼では見えない、あるいは気づかない
自然現象に潜んでいるMMM※を、
ある時からカメラというメカニズムを介して、
ささやかなメッセージとして受け取るようになった。

そのメッセージを、私は
chaoscosmosと呼ぶことにした。

chaoscosmos vol.1 -icing process- に引き続き、
vol.2 -sakura- を発表します。

※ M:magical M:mysterious M:miracle

高木由利子 写真展 chaoscosmos vol.2 -sakura- 展示内文章より


高木さんはこの作品制作を通してどれだけ自然のパワーを得られたのだろうか。

わたしは去年の秋に、イチョウの葉を線画で描いた。根本から枝分かれして外に広がっていく葉脈。試行錯誤して描き進めると、徐々にイチョウの線と仲良くなっていく感覚がある。そして線を理解できた(描き上げた)時はとても大きな興奮がある。物理書を読んでイチョウの葉を解説できるようになったわけではない。だけど、自然の持つ人為性が一切ないすべてが美しく関係しあった線、そんな線を描けたときは心から嬉しい。自然からすごくパワーをもらう。

高木さんはこの作品制作を通してどれだけ自然のパワーを得られたのだろうか。桜を捉えることは地球を捉えることに近いと感じる。もうとんでもないことを成し遂げられている。最高の気分だろうと思う。高木さんはこの十年あまり、桜の儚さや潔さに翻弄されながら撮り続けているとフライヤーに描かれていた。十年の壮大な結晶を展示を通して見ることができてとても幸せ。

高木さんは、散った桜が、地面と空気と光と調和している生の姿を切り取られていた、すごくすごく美しい。散った桜の花びらを、平面というより地球規模の球面として捉えられているように感じた。生きている桜の花びらを写真に収めている。

4月下旬、地面に散ったピンク色の花びらと共に、
桜の木は嬉々と緑が生い茂っている。

⚪︎高木由利子さん公式サイト 
⚪︎GYRE GALLERY
高木由利子 写真展 chaoscosmos vol.2 -sakura- カオスコスモス 弐 - 桜 -
会期 2024年3月1日(金) - 4月29日(月)
会場 GYRE GALLERY | 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F


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