自然から得るパワー
表参道にあるGYRE GALLERYにて開催されていた写真家の高木由利子さんの展示を見て、とてもうらやましいと感じた。
高木さんはこの作品制作を通してどれだけ自然のパワーを得られたのだろうか。
わたしは去年の秋に、イチョウの葉を線画で描いた。根本から枝分かれして外に広がっていく葉脈。試行錯誤して描き進めると、徐々にイチョウの線と仲良くなっていく感覚がある。そして線を理解できた(描き上げた)時はとても大きな興奮がある。物理書を読んでイチョウの葉を解説できるようになったわけではない。だけど、自然の持つ人為性が一切ないすべてが美しく関係しあった線、そんな線を描けたときは心から嬉しい。自然からすごくパワーをもらう。
高木さんはこの作品制作を通してどれだけ自然のパワーを得られたのだろうか。桜を捉えることは地球を捉えることに近いと感じる。もうとんでもないことを成し遂げられている。最高の気分だろうと思う。高木さんはこの十年あまり、桜の儚さや潔さに翻弄されながら撮り続けているとフライヤーに描かれていた。十年の壮大な結晶を展示を通して見ることができてとても幸せ。
高木さんは、散った桜が、地面と空気と光と調和している生の姿を切り取られていた、すごくすごく美しい。散った桜の花びらを、平面というより地球規模の球面として捉えられているように感じた。生きている桜の花びらを写真に収めている。
4月下旬、地面に散ったピンク色の花びらと共に、
桜の木は嬉々と緑が生い茂っている。
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