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ゲーム「TROUBLESHOOTER」で大風呂敷を見た

 自分はSRPGの一つであるXCOMのファンだ。そして最近はXCOMのシステムを受け継いだXCOMライクがじわじわとSRPG界に広がっている。「TROUBLESHOOTER:捨てられた子供たち」もその一つだ。他と違う事といえばこのゲームが本家XCOMすら凌駕する野心を持っていた事だろうか。


『TROUBLESHOOTER』は概要から難しい。

 『TROUBLESHOOTER』は2020年4月23日にPCでリリースされたSRPG。
 XCOMの遮蔽システムファイナルファンタジータクティクスのCTシステムを合わせて、舞台を超能力が普及した近未来の別世界にしたゲームだ。
 プレイヤーはトラブルシューター事務所を立ち上げたアルバスたちを操り凶悪事件が頻発する風壁地区で犯罪組織と相対する事になる。

ゲームトレーラー。トレーラーはイメージです。

 …この時点でごちゃごちゃしてどんなゲームかわからないという人。あなたは正しい。要素一つ一つを分解して説明していこう。

すぐにわかる『TROUBLESHOOTER』のシステム

 このゲームでは物陰に隠れると敵の攻撃が当たりにくくなる遮蔽システムがある。壁に隠れなければ敵からの一方攻撃がキャラクターに降り注ぐ事になる。
 次にCTシステムだ。それぞれのキャラは素早さが決まっており、その素早さによって行動順が決まる。早いキャラになると遅いキャラが動く前に二回動く事もよくある。

 そして上記全てを壊すのが特性システムだ。条件を満たすと即座に再行動、路上の中心で弾丸をものともしない鉄壁のタンクを作る事も可能。特性を組み合わせて最強のトラブルシューターチームを作り上げるのだ。

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この画像だと、PCであるヘイシンは敵が動く前にもう一度行動が可能。これも特性のおかげだ。

 後、装備のトレハンにオンライン要素にペットの厳選とあるが全て書くとキリがないため割愛する。

すぐにわかる『TROUBLESHOOTER』の世界

 かつて三つの国家が争った世界大戦があった。戦争終結後、三国家は一つの決定をする。激戦区だった地域に中立都市を共同で設立し、経済を回復させよう。その街こそがヴァルハラだ。そしてそのヴァルハラ全土で警察の手に負えない凶悪事件が多発。最も治安の悪い風壁地区では三つの犯罪組織と一つのカルト教団、さらに超能力生物の獣害が問題となっていた。
 そこで市政府は民間にも治安維持に参加できるトラブルシューター制度を立ち上げ、力のある超能力者や戦士は犯罪者と終わりのない戦いをすることになっていく…

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 ここで気になったかと思うが、この世界は普通に超能力が使われてる。超能力生物は超能力資源の為に追いやられていたりする。要するにカッコイイもの全部詰めた都市って事だよ!

 なおシステムと同じように世界観も他に重要な事が山ほどあるが割愛する。

『TROUBLESHOOTER』はおもちゃ箱をひっくり返したようなもの

 ここまでで薄々感じてきただろうがこのゲーム、好きな事を詰め込みすぎてて風呂敷をまとめきれてないのだ。
 例えば即座に再行動を簡単に許した特性システムとのバランスを取る為、このゲームは非常に多くの敵が配置され中々テンポが悪い。SRPGではどうしても少数の強い敵よりも多数の普通の敵が強いのはわかるが…そしてその中を周回する必要が出てくるので周回も中々大変だ。

 そして風呂敷をたためきれないのはストーリーにも表れてしまっている。このゲームのラスボスは三大犯罪組織の一つ白虎。そのボスを見ていこう

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うん、適正レベルよりも10も下の時に出てきたから今更強くない状態なんだよ…何回もコテンパンにしてきた上で、こいつ倒したらスタッフロール流れた時のあっけなさは凄かった。さっきまでは別の犯罪組織が新局面に入ったりとかしててワクワクしてきたところに、とりあえずキリがいいしこいつラスボスで!って言われたらどうすりゃいいんだよ!ポカンだよ!それにPVに出てきたあいつまだ仲間になってなかったんだぞ!なんかいつの間にかケリついてるみたいなキャラもいるし消化不良を促進してんじゃねえぞ!せめて!ラスボスならラスボスらしく新しく強いユニット見せてくれよ!いや出たけどあいつらコンパチじゃねえか!なんでそれでラスボス名乗れると思ってんだよ!盛り上げろや!

 失礼、取り乱してしまった。とにかく彼らとは強い因縁のあるキャラが仲間におらず、オーガの巣を破壊したら魔王やヴァンパイアのその後を見せられて終わったと言えば伝わるだろうか…俺たちは魔王やヴァンパイアの事が知りたかったのに…

『TROUBLESHOOTER』はビジネスを考えてくれ

 インディーゲームは作者の好きをぶつけられる場と評される事がよくある。それで言えばこのゲームは好きの塊で出来ている。ただし、一切研磨されていない。
 インディーゲーム市場は苛烈を極める。そんな中で評価されるのはコンセプトがまとまったコンパクトなゲームが多く感じる。ビジネスとして考えるなら最低限、完成の道筋を立ててほしい。俺は結局『TROUBLESHOOTER』が好きだからこそ有終の美を飾ってほしいし儲かってほしいのだ…。

定価2500円なんで…ちょっと寄付すると思って…

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