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[感想]ギアーズタクティクスの快適さとXCOM: Chimera Squadの飽きなささ

 カバータクティクスとでもいうべきだろうか遮蔽と射線を考えるのが楽しい「XCOMライク」は最近どんどん広がりを見せ始めている。今やマリオもUBIの手でXCOMをするために銃に手を出したほどだ。

 そんな中、4月の最後はまさかの決戦が起きた。マイクロソフトの看板のスピンオフ、ギアーズタクティクスと電撃発売されたXCOMのスピンオフXCOM: Chimera Squad(邦題XCOMチームキメラ)だ。ここでXCOMファンはこのGWにソシャゲなどそっちのけで側面攻撃をする快感に酔いしれっていた。自分もそのうちの一人である。ここでは両者を遊んだ感想を書きたい。

快適だけど飽きるギアーズタクティクス

 先に手を出したのはこちらだ。Xboxゲームパスに入ってたおかげですぐに楽しむ事が出来た。みんなも入ろう。

ギアーズタクティクスの特徴と良点

 このゲームの特徴としてはマップに区切りがないフリームーブ制、ギアーズらしい接近戦を要求するとどめシステムだろう。正直前者はXBOXだとイライラが隠せないシステムだろう。ポイントクリックに関しては、マウスに到底及ばないのだから。だがマウスさえ使えるのならば、その欠点は払拭され快適となる。それはそれとして、フリームーブの利点が見いだせないのだが。

 次にとどめシステムだ。このゲームでは殺しきらねば敵がダウンする。そこで一人が最後の一撃を「ゴアゴアにゴリゴリに」決めてくれると血の気の多い味方が元気になり行動力が増えてさらに殲滅が捗る。

https://www.youtube.com/watch?v=_yfQgP8VHjw
参考映像ですがゴアゴアのゴリゴリなので注意してください。

 このシステムのおかげでパズルのような連鎖の快感が強くなっており次々に沸く敵をどんどんぶっ潰すという楽しみが生まれる。
 ただ開発は強すぎると自覚しているのか後半になると、トドメでデバフを仕掛けてくる敵が増えてきて「ヘルシーバーガー」のように自分からうまみを消してきたような感覚だ。

 統括すると、このゲームの良点は優等生が作ったかのような丁寧さだ。見た目はゴアゴアなのだが遊べば遊ぶ程、UIが快適で大きなバグも起きず、敵前に出ればボーナスとなるトドメシステムにより、無双感と冷や冷や感の両立を達成している。

ギアーズタクティクスの欠点

 逆に欠点を挙げていくと、ミッションの数の少なさだ。マップ自体はまあまあの量があるのだがやる事が大きくわけて四つしかないのだ。そして水増しのように一定数遊ばないと先に進ませてもらえないので、飽きが加速してしまう。そしてボス以外はストーリーミッションも似たような内容が多い。

 次に翻訳の糞さだ。英語は知っているだろうが軍用語は全く知らないだろうという感じの翻訳ばかり見せられる。「Fire in the hole」は「爆発するぞ!」と言った感じでグレネードを投げ込む時に使われる。だがここでは「穴に撃つぞ!」だ。いやこのゲーム確かに穴はあるけどさ・・・

https://www.youtube.com/watch?v=JdPmwmsWa-8
ukkonが「オーコン」と訳されてるのも気に食わない。だってどっからどう聞いてもウーコンなんだもの。

 最後に、敵の見難さだ。ギアーズの敵であるローカストは遠目から見ても見分けがつきにくい性質をしている。色が茶色と黒で統一されており遮蔽に隠れるものだから動きもそこまで違わない。序盤はいいが敵が増えてくる後半になるとじわじわとうんざりさせられてくる。上二つと違って大きな欠点でなくIP物としてどうしようもない欠点ではあるが欠点は欠点だ。

 そういうわけで、このゲームは遊べば遊ぶごとにつまらなくなってしまう。序盤に出来たパズルのような戦術はなくなり、代わり映えのしない戦場を撃ち続け厭戦感情がたまっていく。開発者はフルメタルジャケットでも作りたかったのだろうか?

XCOM: Chimera Squadの欠点

 対してXCOMの特徴としてはXCOM系でダルかった接敵までの時間を突入モードとして大幅カットした事と電撃発売故のバグ祭りだろう。

 自分は初手でフリーズ、当然のように出る隊員たちの空中浮遊武器消失で装備不可能という事態まで起きた。
 グラフィック設定を下げたらうまく行ったフリーズ、MODフレンドリーにより早速実装された武器消失修正MODにより遊ぶ事は出来たがまあバグの地雷原である。
 さらにUIも不親切であり、行動によるダメージを数字で見せてくれず画面で攻撃範囲内なのにルールでは範囲外という事も多々起こる。

 だが、自分はこちらは一切飽きる事なく最後までやれた。何故か?バラエティに富んでるからだ。

XCOM: Chimera Squadの良点である飽きなささ

 敵は三種類存在し、各組織によって異なる戦術を要求される。進め方によっては敵の出現の仕方も変わりとにかく飽きさせてたまるものかという意地という物が見えた。また、突入モードによって毎回変わるバフデバフもいい味となっている。どのボーナスで戦うか?そのボーナスを最も生かせる戦術は?逆に不利益しかないのであればそれをどうカバーするか。こういう点が戦術脳をフル回転させてくれる。

 キャラクターも個性豊かだ。それぞれが大きなユニークさを持ち、民間人がいるミッションでは巻き込んでしまわないよう能力を渋ってしまう「爆弾野郎」クレイモアや機械特化の「ハッカー」パッチワークと逆に生物への洗脳が得意な「サイキックエイリアン」ヴァージといった真逆の個性のある味方もいる。彼らを適材適所で採用配置できるかというのも腕の見せ所だ。逆に「全員が壊れているので大体クリアできる」というバランスのとり方も中々効いている印象だった。

 このゲームは正直に言うとけっこうヌルい。だがヌルくなった段階になると世界観の下地が進めるモチベーションを与えてくれる。宇宙魔王が去った後、自我を取り戻したエイリアンと共生を余儀なくされた世界では、不和と協調が綱引きをしている。
 敗者となった圧政の手下は能力を抑えられながらも必死に生きていく。勝者となった人類も、長い間のレジスタンス生活で戦いだけの人生に固定されてしまい平和に馴染めないでいる。白と黒でもなく灰色でもない現実のようなグラデーションの世界はフレーバーを読むだけでわくわくさせてくれるのだ。

総評:続ける動機が両者を分けた

 うっすら感づいたかもしれないが自分はギアーズタクティクスはまだ途中だ。その理由は続ける動機がどんどん失われたからだ。とても丁寧なパズルでも一度解いた物は似た物でも可能な限り避けたいのだ。
 粗削りでも乗り気にさせてくれるXCOMは進んでる感覚がとても強かったのもある。一つ事件を終えたらさらなる進展が待ち受けてる。それはまるでドラマを一気見しているような感覚だった。一話一話は映画と比べると短いが一気に飲み干せてしまう。そんな感覚だ。こちらの方がコンパクトで色鮮やかなのだ。
 自分はこのままこの虹の世界を楽しもう。茶色と黒はもう見飽きた。

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