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Mリーグと雀荘メンバー

①麻雀荘の従業員として働くとは?

まずは麻雀荘で働くということはどういったことかを説明しよう。

麻雀荘の従業員とは通称メンバーと言われる。主な仕事(今回は一般のオンレートで働くメンバーを指す)は接客業、サービス業に分類される。買い物や洗い物、飲み物出し、ゲーム代を頂くや掃除などの業務から、ゲームをするお客さんの数が足りない場合に自分のお金で麻雀を打つ本走。トイレや食事の際に代わりに打つ代走などがある。

基本的には他の仕事に比べればやる事も対してないしぶっちゃけて言ってしまえば金銭面やメンタル面以外はとても楽な部類の仕事になる。ただその仕事を長年やってきた人間としてはこれから先若く未来のある人間がその門を叩いてしまうことはなるべく避けてほしいと思っているからこそ今回の記事になっている。

②雀荘メンバーの給料

で、1番大事なのはここだろうか?

一度やってみたいや、好きな麻雀が打てて楽で良いよななんてよく聞くし実際に言われたことのあるメンバーは多数いると思う。私自身も数え切れないほどそんな声を聞いてきた。だが実際にやってみるか?と言いたい。

例えばの例で、時給1100円を貰って600円のゲーム代の良く見かける1.1-3(ピンのワンスリー)という東南戦でゲーム代を全て自分持ちで働いた場合どうなるか。

まず未だに多くの雀荘というのは昔ながらの週6日1日12時間勤務というのが普通みたいな考えがある。それにのっとって12時間を25日働いたとすると月間300時間。

それに1100円を掛けると33万円という給料になる。ここからフリー雀荘ではゲームを打たなければならない。仮に200ゲームほど打ったとすると12万円になる。どれだけ打つかは店は環境によって大きく変わるがその昔私が働いていた店ではこのシステムで400本近く打つことになった、400本打つと24万円のゲーム代を払う事になる。

ただ実際にはGB(ゲームバック)というシステムだったり手当みたいなもので多少は違いが出てくるし、役職が付いたりしてプラス分で貰えるものも出てくるが今回は考慮しない。

まずこのGB、勿論だが多いに越したことはない。当たり前だが払うゲーム代が少ない方が自分の為になるのは従業員だろうが客だろうが一緒だからだ。

単純にさっきを例に出すとフルバックなら24万がなくなる。ハーフバックなら1Gあたり300円返ってくることになる。簡単に計算しても凄い得なことがわかると思う。

しかし週6、12時間働いてそれだけだ。自分の時間なんてもんは限りなくないし疲れて寝たら終わっちまう。だから俺は基本的には週6の店で働くことをススメない。さらに言えば12時間も長い。8時間〜10時間がベスト。まぁこれは実際には難しいだろうから妥協してもアリだが絶対条件はGBの有無、そしてその金額。

まぁ雀荘のメンバーになる人間には何かしらの訳があったり麻雀に狂っちまってたりするから自分の時間イコール麻雀って考えになることもあるから一概には言えないが、あくまで長年働いてきた人間の考えだ。

俺は強いし上手いから1円も負ける気がしないって思うならまずは必ず自分の成績をデータとして付けてみると良い。お客さんとして打っている成績を付け、メンバーなら月の成績を細かく付けてみるといい。そして付けた結果自分の平均着順を知ることが出来る。おおよその目安だが東南戦なら2.38、東風戦なら2.40(これはあくまで目安だが実際にこー言った数字を出すのは難しいし、また祝儀比率の違いによってもブレは出る)を切れるなら麻雀業界を覗いて見るのも良いと思う。あくまでメンツや状況にもよるが2000ゲームも打てばある程度の目安は出来る。

そこまでして初めて給料の残るメンバーになれる。雀荘のメンバーは遊んで打っている訳じゃあない、毎日己の数字とだけ戦っている。長い目で見ることが出来、努力し続ける気持ちがないと必ず負け組になってしまう。

勿論おススメは絶対にしないがここまで見てまだやりたいと思うなら最低限の数字を己に課してから挑戦して欲しい。

③メンバーとしての生活

実際にメンバーとしての生活は正直楽だし楽しかったりする。長いこと同じ所で働けば家族以上に時を共にすることになるし飯を食うにしても一緒になる事が多い。

だから長いことこの世界から抜けられなくなってしまう人も多い。勿論好き好んで長くいる人もいるしこの業界じゃなきゃ生きてないタイプの人間もいる。だからこそ他で自分のスキルを最大限発揮できる人間ならその方が生産性が高いと思う。この麻雀界という世界で仕事が出来たとしても麻雀がめちゃくちゃ出来たとしてもそこまでだからだ。先の見え辛い世界だって事はこの世界にいる人間なら多くが知ってると思う。

生活していく上で飯を食ったりなんだってのは雀荘は優れている。簡易的な飯が沢山あり実際にそれらを食べる事ができる。仕事が終わって同番の同僚と安い酒飲みながらあの客はどうだ、あの時の手牌はどうだったなんてたらればしながら飲む酒は美味い。だから自然と麻雀打ちの多くは麻雀が語れない人間と共にするより麻雀を語れる人間と時間を共に過ごす事が多くなる。楽だし、楽しいからだ。

私も実際そうだった。若かりし日には麻雀が話せるやつと過ごす以外の時間が無益に思えていたりもした。どれだけ強くなれるか、上手くなれるかそんな事ばかり考えていたように思う。

だがそれじゃあ何も成長はない。人は多くの世界に目を向け学び成長していかなければならない。多くの普通に働く方らと同じように夕方過ぎに仕事が終わり居酒屋でビールを傾けながらあの上司がなんて話す普通の生活に長く居すぎると戻る事が出来なくなってしまう。

④メンバーとして生きていく

ここまで読んでまだ読んでるって事は相当麻雀が好きかやってみたいか、やっているかだろう。

個人的にはこの仕事をしている人間が基本的に好きだ、なおかつ生き残っている人間にはそれなりに努力が必ず見えるからだ。

何度も言ってきたが雀荘のメンバーの生活は全て自分次第だ。負けりゃ金がない、勝ってもロクな使い方を学ばない。だが誰でも同じだと思うが同じ仕事をして1万円か10万円かって言ったら10万円の方が嬉しいだろ?

ではメンバーとして生きていく上で大事なことを伝える。

1、日々強く上手くなる努力をしろ

自分が上手いと思ってる人でも良いし成績を残してるやつでも良い。見て聞いて学べ。勝って成績を残してる人間は必ずこの麻雀というゲームにおいて見えなくても努力をしている。だがこの努力ってのが麻雀においては難しい。何したら良いんだ?ってなるだろ。だから打って学ぶのが1番良い。負けた傷は必ず自分の為になる。どんな強い奴も負けて今がある。

2、成績を必ず付ける

これは実際めんどくさいし負けてると付けたくなくなるなんて声も聞く。だが付ける。そーした時に初めて自分が平均着順がどれほどで1ゲームあたりどれだけの収支なのかを学べる。この1ゲームあたりっていうのが数字で戦ってる人間にはとても大きい。もし不調の波が来たとしてもこの数字を見て必ず収束すると己を信じられるからだ。麻雀は技術以上にメンタルが相当大事だ。

3、自分に枷をかける

これはプラスを叩けるようになってから意識して欲しいが、自分に対して厳しい内容を付ける事が成長に繋がる。例えばだが未だに私は東風戦では地獄単騎待ちや引っ掛けリーチは打たない、親を流すもしない。東南戦では満貫以上の手は全部リーチ、着順変えない、4→3は基本しないなんかを課している。別にこれをやれとは絶対に言わない。すげー損するからな。だがこれをするに対して成績を残す為に必ず努力するし枷では無く自分の成長の為だと思えばプラスになる。

4、辞めないで続ける

さっきまでと矛盾してしまっている見出しだが。やるならとことんやった方が良い。麻雀ってのは気の狂ったくらいやらないと強くならない。青春も何もかも賭けて初めてぶっ壊れた強さをもてる。持った先が幸せかどうかはわからないけれども。自分もその強さを昔は求めたが今は無い。生きていけてしまうという感情に負けてしまったからだ。だがこの先この世界に居座ろうって考えてるなら辞めずにやり続けて欲しい。本当に強い人ってのは見ていて楽しいからな。

⑤最後に

長く書いたが実際はもっと沢山書きたい事がある。だが今回はここまで。何故今回このような記事を書いたかと言えば自粛している最中や立番してる時に余りに暇だった為一応最高峰と言われるMリーグを見たからだ。

あまりの打牌の酷さや内容にこれが最高峰と言われるままじゃマズイんじゃない?って思ったからだ。この世界に長くいると相当努力してきた奴もいる、その姿を彼らからは何も感じ取れなかった(中にはちゃんとしてるプロも勿論いる)事が悲しかったのかもしれない。

もう好きという感情はこのゲームに対して失ってしまったがかけてきた熱量は相当だったからもしかしたら腹が立ったのかもしれない。

ただMリーグというものが起こした功績は凄いと思っている。今回がこけたらもう麻雀業界の発展は無理だろうと思うくらい凄い力の入りようだしこのコンテンツに対してこれ程までやってくれる所はもう出てこないかもしれない。だから見せ物なんかじゃあなく本当にまじめにこのゲームに向き合ってる強いプロを見つけて欲しい。

ファン獲得も大事だし麻雀人口の拡大、社会的地位の確立なんかも勿論大事だ。だがプロを名乗るならその努力の結晶が見える対局をお願いしたい。

麻雀知らない勢だけでなくこのゲームに大事なものを賭けてきた人間にも伝わる麻雀を打って欲しいと思う。

今後麻雀というコンテンツがどこに向かっていくのかはわからないが個人的にはオンレをやらないと強くならないと思っている。理由は簡単、常にワンミスで諭吉が消えてくってなったら必至になるだろ?確かにノーレート勉強会や座学でも学ぶ事はある。だがあくまで基本の牌効率や手順なんかを覚えた先に麻雀がある。デジタル、オカルトをとやかくいう気はないがデジタルがあって初めてオカルトというものが存在する。

人は痛みから学ぶ。あがるセンスを競ってるゲームであり失点を減らすゲームだと思っている。だからこそミスして打ったやあがり逃しがダイレクトに痛みとして伝わる事で通常よりも早く成長できる。

放銃した牌姿なんかを常に覚えておき(出来たら頭じゃなく身体で覚える方が良い)次に似た局面で同じ轍を踏まないよう気をつけていく。それの繰り返し。

もしこの先麻雀が今よりも世間に認知されたなら、今必死に麻雀人口獲得を目指し頑張っている方達には尊敬の念を送る。だがプロ麻雀打ちと言われるからにはそれだけの実力と知識、実績を持って欲しいとは思う。

あとは麻雀というゲームは試行回数を増やして初めて目に見える力の差が出る。一回勝負じゃ漫画の世界じゃあるまいしわかりっこない。だから今のプロシステムにも違和感を覚えている。まぁ長々と書いてきたが今の日本において麻雀というゲームはまだまだ認知されてはいない。自信を持って職業麻雀打ちだと言える人なんかそうそういないだろ?







ありがとう!!