ホテルの結婚披露宴でサルモネラ食中毒
先日、神戸市内のホテルの結婚披露宴でサルモネラO9(オーナイン)による食中毒が報じられていました。
豪華なメニューとともに、どの食品がサルモネラに汚染されたのだろうかと興味深く見ました。
一見して、原因となる可能性のあるメニューが「中トロマグロ黄身醤油、漬けいくら、神戸牛と雲丹のお寿司仕立て、明石蛸の祝い寿司、丹波栗のモンブラン又はベルガモットショコラのムース、ケーキ」などと並んでいました。
私は、保育園における食中毒に関心を持ち食中毒事例を追いかけていますが、原因食品が不明となるケースが多いですね。これは、いろんな食品がサルモネラ属菌食中毒の原因となる可能性があり、潜伏時間が2日以上と長くなるケースがあるのも一因になっていると思います。
また、サルモネラが比較的乾燥に強く、器具を汚染した菌が長く調理場内で生存していることも寄与していると思います。
私のブログ「今日の疑問」では次のような事件を取り上げました。各種食品が原因となっていることがうかがえます。
◇ チョコレート製品に関連して複数国にわたり発生したサルモネラ属菌感染アウトブレイク(2022/05/22)
◇ 洋生菓子によるサルモネラ属菌食中毒|三重県(2021/10/30)
◇ アメリカの37州で発生したサルモネラ属菌食中毒の原因食品はタマネギでした(2021/10/23)
◇ 「春雨のあえもの」によるサルモネラ属菌食中毒 特養で1名死亡/沖縄(2021/05/03)
◇ イベントで提供されたタンドリーチキンによるサルモネラ属菌食中毒(2019/04/26)
◇ 直売所のうなぎの蒲焼によるサルモネラ食中毒(2018/07/31)
◇ 生のスプラウトを含むサンドイッチによるサルモネラ食中毒 (2018/03/09)
◇ 乳児用調製乳に関連して複数国にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Agona)感染アウトブレイク (2018/03/01)
◇ 「オニオンスライス卵黄落とし」が疑われるサルモネラ属菌食中毒事例 (2017/10/26)
◇ 「きゅうりの浅漬け」によるサルモネラ属菌食中毒 (2017/07/21)
◇ どうしたら「冷やしうどんとカットしたオレンジ」でサルモネラ属菌食中毒をおこせるの? (2017/11/06)
【追記】「黄身醤油」が悪かったようです。
原因となったホテルの「お詫びとお知らせ」によると、婚礼コース料理の保存検食の中からサルモネラ菌が検出されたため、ホテルとしては中トロマグロの黄身醤油が原因と判断したようです。
このホテルが、きちんと保存検食をとってくれていたことが原因究明に結びつきました。
黄身醤油はみりんを煮切り、冷めたら醤油、卵の黄身を混ぜて作るみたいです。味醂のアルコールも飛ぶし醤油の塩分も薄まるし、卵がサルモネラ血清型O9(おそらく、S.Enteritidis)に汚染されていて、調味料と混ぜられたことにより思いのほか増えたものとも思われます。
卵内容がサルモネラO9に汚染されている割合は、近年では市販鶏卵の0.0027%(3万7千分の1)程度とか言われますが、運悪く遭遇してしまったようです。
食中毒に関しては「加熱しないものにはリスクがある」ということなのでしょうね。
余談ですが、比較のために食中毒の原因となるカンピロバクターの場合、農林水産省による,食鳥処理中に出荷される鶏群のカンピロバクターの保有状況の調査によると,5月から12月に行われている調査では保有率は50%以上です。鶏肉も調査によって異なるのですが 50%がカンピロバクターに汚染されていると考えています。
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