見出し画像

2018年、大阪ビレボア公演の思い出⑦(終) 2022/02/28

〜2021年に解散した某韓国アイドルグループの推しとの思い出を綴るnote〜

私の3日間の大阪遠征、最終日の公演は1人での参戦だった。

ふと見回すと日曜日ということもあり、前方の座席はほぼ東京からの遠征組が占めていた。

嫌な予感がした。

公演開始と共にその予感は的中する。

まるで大阪のファンを威圧するように、東京のファンたちは異様に大きな掛け声をしていた。
(KPOPでは、曲に合わせてファンが掛け声をコールする)

一糸乱れぬ、という言葉がぴったりなほど。
まるで示し合わせたかのように、異様な光景だった。

私も普段は掛け声をするのだが、この日はあまりの異様さに圧倒されてしまい、怖くて声が出せなかった。
この場から逃げたい、と思った。

多分、一部のヲタクたちは大阪のファンを威圧するためにわざと大きな声で掛け声をしていたのだと思う。
新大久保の公演では今までこんな状態を見たことがない。
その雰囲気に触発された他のヲタクたちが、つられて大きなコールをしていたんじゃないかと思うのだ。
まるで扇動され、操られているようなヲタクたち。

公演の後、知り合いのヲタクたちは今日の公演の掛け声が凄くて楽しかったと言っていた。
私はそんな風には思えなかった。

「大阪のファンは掛け声が出来ないから、メンバーたちも東京のファン最高って思ったよねきっと」
そう話すヲタクたち。

なぜ張り合おうとするのか。
彼らは新しいファンを獲得するために大阪に来たのだ。それを既存のファンが妨害するようなことをしてどうする。。 

こんな雰囲気、私は全然楽しくない。

公演の中盤にソロのコーナーがあった。
前日に推しがソロを匂わせていたから、期待していた。ドキドキ。

メンバーたちが舞台袖に下がり、ステージの中央に椅子が置かれた。

そして、推しが出てきて椅子に座る。

ああ、やっぱりソロは推しだった。
とても嬉しかった。

イ・ハイの『Breath(ため息)』を歌った。
しっとりと、寂しさの中に優しさを感じるバラードは、推しの声によく似合っていた。

推しは客席にあまり目線を送らないタイプだ。
こういう小さなライブハウスで歌うアイドルは、ファンと目と目を合わせることで人気が出るものだと思うが、推しはそういうことが苦手だった。

この日も椅子に座って俯きがちに歌っていた。

近くに座っていた同ペン(同担)さんが泣いていた。
とても素敵なソロステージだった。
私の気持ちも浄化されたような気がした。

しかし、公演後の特典会もこの異様な雰囲気は続いていた。
ファンにサインをするメンバーに向かって、客席に座る一部の東京のファンたちが煽るような奇声を上げていた。

メンバーたちがその声に反応するまで、しつこく声を掛け、反応が返ってくると大袈裟に笑い声を上げていて異様だった。

大阪のファンに、自分達はメンバーとこんなに仲が良いのだと見せたいのだと思う。
隣に座っていて、その異様さに恐怖を感じた。

サインの列に並んでる時も、私は手の震えが止まらなかった。
早く帰りたい、、この場から離れたいと思った。

推しのサインの順番がきて、私は前に進んだ。

ハ・ル! ハ・ル!


推しは私の名前を歌うように口ずさんで迎えてくれた。拍子抜けするくらいご機嫌だった。

「ソロステージがとても素敵だったよ」と感想を伝えた。

推しはイヤイヤをするように首を横に振って、

ダメ、全然ダメだった。
次はもっと上手く歌います。


「そんなことないよ、とっても素敵だった。感動した。」
推しはいつも褒めると否定するのだが、嬉しそうな反応をするところが可愛いかった。

ハルさん、こんな風に聴いてたね

そう言って、私のモノマネをした。
確かにそうやって聴いていたから、笑ってしまった。
客席を見ていないようで、ちゃんと見てるんだなと意外でもあった。 

「今日、ソロが聴けてとても嬉しかった。大阪に来て良かった」と伝えた。


金曜日の特典会で、ハルさんにいつまで大阪にいるか訊いたら、日曜日までいると言っていたでしょ。ソロを聴いてもらえると思って、すごく嬉しかった。

そう言ってくれた。
私は幸せな気持ちで満たされる。

ハルさん、何か聴きたい曲はありますか?

突然の質問で驚いたが、頭に浮かんだ曲名を伝えた。

あー、、それは、、すごく難しい曲だからぁ、、、
でも練習して、いつか歌います。

そんな風に言ってくれるとは思わなくて、プレゼントをもらったような気分になった。
本当に歌ってくれたら嬉しいけど、それは望みすぎだとわかってる。
ただそう言ってくれる気持ちが、嬉しかった。

「じゃあ、明日の朝、東京に帰るね。東京で待ってるね」そう言って会話を終わりにした。

最後の団体サインはものすごい列になっていて、会場の閉館時間も迫っていたから、慌ただしく進んでいった。

メンバーたちに別れを告げ、東京でまた会おうねと伝えた。
推しとは個人サインでちゃんと話せたから、団体サインでは気持ちに余裕が出来た。

スタッフに急かせられながらも、推しは

そうだ。いま僕たくさん運動してます。
もっと鍛えて、バーンっとかっこよく、セクシーな感じ?
期待してて!

そう得意げに言っていたのだが、私はマッチョは嫌いだった、、、、、

「やだやだ、運動しなくていいよ。可愛いままが良い」
泣く真似をしながらそう言うと、推しは狼狽えていた。

なんで?なんで?かっこいい方がいいでしょ?

鍛えるのが嫌だという反応がくるとは予想していなかったようで、理解できないという表情だった。

私「かわいい方が好き」
推し「なんでーーーー?!」

それが大阪最後の会話になってしまった。

もっと、キュンとする会話で終わりにしたかったなという思いもあるが、楽しく終われたからヨシとしよう。

公演で感じたヲタクたちの異様な雰囲気を、最後は忘れることが出来た。

こうして3泊4日の大阪遠征が終わった。
大阪へ来て良かった。

いつまでも忘れられない3日間。
私の宝物の思い出。

終。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?