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造園業の入口

建設業の若手人材不足が深刻化している。
神奈川県ではこの問題に対処する為にタスクフォースが立ち上げられているほどだ。

造園業においても人手不足は深刻な問題となっている。
とにかく人手が足りない。求人募集をかけても人が集まらない。若い人で造園業を志す人が少ない。職人さんの高年齢化と併せて、人が減るばかりで増えることがほとんどない。
大塚庭園ではこの問題を払拭すべく、SNSの活用や働きやすい環境の整備などを行っているが、そもそも若者が造園業自体に触れる機会が少なく中々雇用に繋がらないのが現実だ。

実際自分も造園業というものにきちんと触れたのはこの会社に入ってからだし、それまではぼんやりとフリー素材の「庭師」のイラストが脳裏に浮かぶだけだった。その解像度はとても低く、転載を繰り返した画像のようにガビガビとしていた。なんとなく外仕事で大変そうで、体力勝負で男の人ばかり、「親方」みたいな人がいて上下関係が厳しそう。お給料もそんなに良くなさそう。そんなふわっとした印象しかないのだ。
自然にあふれた田舎で育ってこれなので、きっと都会の子たちはもっと解像度が低いだろう。ドット絵くらいじゃないかな。

大塚庭園に入り造園業に触れた今は、解像度がぐんと上がっただけでなく、ぼんやりとあった「きつそう」というイメージがだいぶ払拭された。
弊社においての話にはなってしまうが、体力勝負だけどちゃんと休みもあって、お給料もしっかりした額もらえる。残業はほぼない。人間関係も役割こそあるものの、上下関係バチバチなわけでもなく、協力して仕事をしている。外仕事ではあるがこまめな休憩も取れる。
現状をしっかり見れば、そこまで悪い環境で行う仕事ではないということがわかる。
しかし、若者の思う現場仕事はどうしても、きつい、汚い、給料安いといったマイナスのイメージが払拭できていない。
実際に造園業に触れる機会が少ないし、SNSで話題にもならない。だから「現場仕事」というイメージが先行してしまうのだろう。
そうなると、若者の職業の選択肢の中に造園業は組み込まれにくくなる。

今回、弊社のInstagramでアンケートを取った。
造園業・林業従事者のフォロワーさんを対象に、「今の仕事を志した理由は?」という質問をした。
有難いことにいくつかの回答をもらった。

「たまたま造園にかかわる高校に入って、造園の魅力に取りつかれた」
「屋外で仕事をしたかったから」
「自分で何かを造れる仕事がしたかったから」
などの回答だ。(ご回答くださったフォロワー様方、誠に有難うございます)

外が好き、クリエイティブな仕事が好き、という理由は様々だが、入口には「造園業がどのようなものか」というものを知ることがあるように感じる。
屋外の仕事でも現場仕事はいくつかある。その中で最も自然と共生しやすい林業・造園業を選んでいる。
自然と向き合いながら、美しい景観を造り出すという点で、造園業は非常にクリエイティブな仕事だ。

そして、やはり高校の時に出会った職種は希望の職種になりやすいらしい。
業種について学ぶ機会、それに興味関心が結びついたときに雇用が生まれるという図式がはっきりとできている。さきにあげたタスクフォースの会議内でも、現在建設業に従事している人たちに、「いつ頃建設業を志すようになったか」という質問を投げかけたところ、多くの人が「高校生の頃」と回答したそうだ。
商業高校や変わった科を持つ高校に通うと、確かに仕事に結びつきやすい。しかし、普通科高校だと(広報も普通科高校だったよ)、職業体験などの授業がないし、仕事に触れる機会がバイトくらいなので中々将来まで見据えた仕事に触れることがない。
幸いなことに現代では、SNSというありとあらゆる情報に触れられるツールがある。情報発信が活発なこの時代に即した方法で、若い人に造園業に触れてもらう機会を増やしていけたらと思う。

造園業に限らず、建設業は縁の下の力持ち的な業種だ。脚光を浴びにくいし、普段の生活で目にする機会の方が少ない。
しかし、縁の下の力持ちであるところが最大の魅力でもある。人々の生活空間を造ったり、自然とともに共生するための環境を造ったりという仕事は、最高にかっこいいものだ。
だからこそ、もっと発信していかなければならないのかもしれない。かっこいい仕事を、かっこいいままに。

広報も造園業の魅力の発信、頑張ります。

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