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「巣」

朝から雨。このまま静かな雨ならいいのに。見上げる空はいつもよりずっと低く迫って来ています。肩にズシリと重さを受け取ってしまう。早々に除湿にしてサーキュレーターで部屋の空気を搔き廻す。巣ごもりしている鳥の気分の合間に白湯をカップに注ぎます。今朝はたっぷり水分を補給しよう。除湿しながら水分補給。そしてサーキュレーターは景気よく回転中です。

小さな心地のよい巣のなかで見つけた2本の映画。どちらもアマゾンprimeの「あなたにおすすめ」のラインナップ。最近のアマゾンprimeさん本当にいい仕事をしてくれます。私のデーターがだいぶ吸い取られているのかと思うと少々落ち着かない気持ちにもなるけれど。この仕事っぷりにだんだんと最初の頃にあった危機感が飼い慣らされています。

迷わず「山のトムさん」を見ようとこころが騒ぐ。2015年に放映されているんですね。原作は石井桃子さん。児童文学の作家さんです。主演女優は小林聡美さん。東京での暮らしを終えて田舎暮らしを始めた家族のお話しです。家族も小林聡美さん演じるハナさんとその友人とちいさな娘さん。あと、ハナさんの甥っ子。あとあと、途中からネズミ退治の為に家族となった猫のトムさん。

一緒に暮らせる人たちが何となく一緒に暮らしている。緩さに包まれているようで。無言の約束を守りながら今ある暮らしを大切にしようとしていた。映像は畑の実りやコツコツだけど順調に形になる暮らしがメインだったけれど。自然と共に生きる大変な様子が見えない所にあることを想像する余地があったのは。映像に流れていた時間と私の時間が別物じゃなかったからかな。


ハナさんが書き物をしている机の脇にあった書棚に目をやると。ピーターラビットと仲間たちを見つけました。ピーターの仲間たちがたくさん出てくる本です。隣にはピーターの生みの親。ビアトリクス・ポターさんの生涯が書かれた本も並んでいました。ハナさんはいったいどんなものを書く仕事をしているのだろう。ハナさんのことばをいつか読んでみたい。ハナさんが読んできた本とハナさんの仕事はことばで繋がっているんだな。

ハナさんの小さく纏まった書斎がなんとも魅力的です。さり気なく見えるあの空間は長くことばと向き合ってきた人がことばの世界にスッと入れる場所。原稿用紙の匂い。鉛筆の匂い。もうひとつことばがうまれる時の匂い。いいな。

私、一冊の本が届くのを待っています。これまたアマゾンさんが凄いのお話しになりますが。発注から配達状況までスマホで確認できてしまうのですよ。で、待っていますのは。「百合と薔薇」サブタイトルはゲーテ=シュタイナー的自然観察への誘い。に誘われた私です。

つい先日、若いご夫妻とお話しする機会がありました。そのときお二人が読んでいた本が。私が誘われた本なのです。この日は久しぶりにシュタイナーの話しをして思いがけずに盛り上がったのです。なんでもこの本を買ったのは奥様で。読み切ったのは興味の無かった旦那様だったといいます。

二人が帰った後。なぜか無性に読みたくなって発注するに至ったのです。本の内容を教えてもらっていた時には買う気もちになるなんて思ってもいなかったのに。この衝動はどこから来たのだろうか。

こまごまとした掃除と料理の間で楽しむ私のこと。巣ごもりに例えていたけれど。巣作りの方がピンと来る。映画を見たりNOTEでことばにしたりって。籠っているっていうか。自分を作っている作業だな。自分を作るって巣を作ることと同じじゃないかな。

還暦を前に巣作り真っ最中。
いい感じです。


来た来た^^


若いご夫妻が運んできてくれた本。
私の新しい扉を啓く鍵に違いない。
縁は異なもの味なもの。ですね。





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