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ロンドンに来て3ヶ月

いよいよ2022年が終わる12月30日。
クリスマスを終えニューイヤーという最後のビックイベントまで暇を持て余した老若男女がPretに集い、コーヒーを飲んでいる。
そこに日本人男性が一人iPadでこのノートをパチパチと打ち込んでいる。

周りはニューイヤーの花火やカウントダウンパーティーといった賑やかな話題でいっぱいだが、つい最近まで怒涛のイベントラッシュで疲れ切っていた且つ仕事も詰まっていた自分はことごとくお誘いを断ってしまった。
そうしてたどり着いたのがここPret。
初めてのロンドンでの年越しだというのになかなか渋い状況である。

ぽっかりできた暇な時間、年の瀬だし今の自分を労りつつ
ロンドンに来てから3ヶ月の気持ちの変化をメモしておく。

渡英の目的についてはこちらの記事で

知識よりも度胸

ロンドンに3ヶ月いて何が得られたかというと
英語で話す度胸がついたという事だと思う。
それだけ?という感じもするけどこれはかなりの成長だと思っている。

入国初日から1週間、コーヒーの注文ですら毎回心臓バクバクだった。
現地の友達に誘ってもらったパーティーでも自分が話している時
全く単語が出なくなると毎回滝のように汗をかいていた。
そんな自分も気づけば初めて行ったニューヨークのパーティーで
積極的に人に声をかけれるようになったし
初めて参加した展示会では自分の作品についてポンポン言葉が出てきて説明することができた。
英語でのジョブインタビューや
遊びに行ったスタジオでいきなりディレクター3人に囲まれて
自分の作品をプレゼンすることになったりと
渡英当初の自分だったら逃げ出したくなるような状況でも
落ち着いて話せるようになったのはかなりの成長だと思っている。

ただ、一点補足しておきたいのは
ここまで読むとすごく話せてる人みたいな印象を与えてるけど
いまだに英語力は低いということ。
とりあえず話せるようになったのは
度胸というハリボテの自信で自分を鼓舞してきたから。

ここでいう度胸を具体的に説明すると、
インタビュー中に聞き取れなかったことは何回も聞き直すことだったり
オンライン面接だったら分からなかった質問はチャットで文章を書いてもらったりする図太さである。
そこまでやってもらってもいざ話すと本来伝えたいことの50%くらいしか言えなかったりするけど、デタラメでもいいから伝わるまでいろんな単語を使って話す。

自分はいまだに文法や時制も間違えまくる。
最近だと咄嗟にtaughtがでてこなくてteachedとか言ったりもした。
CanもなぜかよくCouldと言ってしまう。
本当にわからない時は単語だけ並べる話し方にもなるし、
それでもダメな場合は最終的に翻訳アプリを目の前で使って読み上げたりもしていた。

それくらい英語の知識はまだまだ浅い。

その知識のなさから渡英当初は毎日自信を喪失していた。
現地の人と話している時も早々にSorryやI don't knowと言って
早々に会話を諦めることが多々あった。
けど、そう言ってしまった時の周りのリアクションや気まずさの方が
かなりキツかった。
しかもSorryと言ったら最後、相手も申し訳なくなって
以降自分になかなか話題を降ってもらえないという負の連鎖が始まる。
そんな経験があるからこそ、分からなくても
とにかく話して会話を止めない方がお互いハッピーだなと身を持って感じてる。

そもそも知識があれば自信がつくし
ハリボテみたいな度胸を使わなくても済む。
でも今の自分はまだまだ知識が足りないので
しばらくは度胸で自分はできてると錯覚させるようにしている。

とはいえ簡単に度胸なんてつくもんじゃないから
結構な荒療治で毎回ドッと疲れてる。
勉強頑張ります。

ビビって全然会話に入れなかった時にずっと眺めていたティーセット

たぶんちょっと話せるようになってる

いつになったら英語話せるようになったと言えるのか。
3ヶ月が経過した今、英語圏で生活することはできるという手応えはあるけど
救急車で搬送された時に相手の質問を聞いて的確に自分の症状を伝える自信はない。
ただ海外生活をするようになって初めて
こういった具体的な「できる・できない」のチェックリストが見つかることに気づく。

・展示会場に自分の作品を速達で送るようにお願いして実際に届いた時
・一人で英語圏の国に旅行して無事家まで帰ってこれた時
どんな伝え方をしたのかといったクオリティは置いといて、
自分の今の能力で発した言葉で求めていた結果が得ることができたのなら
それはもう話せたということにしていいんじゃないか。

ただでさえ落ち込むことが多いので
最近はオッケーラインはかなり低くしてる。
たぶんちょっと話せるようになってるよ自分。

、、、自分を慰めるとこまで書いておいて思ったけど
話すよりも聞く方が何倍も難しいし重要だということを忘れていた。
そもそも聞き取れなかったら話すことすらできない。
ロンドンは本当にダイバーシティで
自分の住んでるエリアはインドやアラビックの人が多い。
ブリティッシュアクセントを聞くことはむしろレアなくらい。
将来ロンドンに来ようと思ってる人はどんなアクセントも聞き取れるよう
ブリティッシュアクセントだけにこだわらない方がいいと思う。

初NY

23歳か29歳か

これは自分が海外に行くならこのタイミングと思っていた時の年齢。
実際には29歳でロンドンに引っ越してきた。

29歳というのは色々な理由がある。
今利用しているビザが30歳までしか使えないという年齢制限があるのは大前提としつつ、1番大きな理由はギリギリ20代のうちに来たかったということ。
あとはこの年齢になるとお金もちょうどいい感じに貯まってた。
そしてコロナも落ち着き始めた時だし、
海外からの仕事も来るようになって色々タイミングが良かった。

そんな感じで色々29歳でロンドンに来たことを肯定しているけど
本当は23歳ごろに海外に挑戦したかった。
なぜその年齢の時に海外にいきたかったのか。
当時の理由を思い出そうとしたけど
思い出せなかったから多分憧れていただけだと思う。
ただ当時の熱だけはずっと残っている。
その謎の憧れが形骸化して
20代までに海外に行くという使命感を作り出した。

憧れだけで行く、と書いてしまうとなんだか無防備な感じがする。
憧れてるんだ〜なんて言ってしまえば
たちまちその憧れにふさわしい動機・エピソードを求められる。
相応のことを言わないと「甘い」とか「世間知らず」と言われるし
大義名分なエピソードを用意しても今度は自分に対して嘘臭くなる。
本人の熱量を証明するためにそれ相応のエピソードが求められるけど
その材料探しに必死になって手段が目的になり
当初の憧れにすり替わってよく分からない何かになってしまうのは残念だ。

「憧れてるから来ました」が人間味があって純粋で最強だと思う。
今のモーショングラフィックスの仕事もそういったミーハー精神があったから続けてこれたし、今もそのバイブスがある事柄にはすごくシンパシーを感じてる。

自分以外の世のため人のために作品を作るというモチベーションで映像を作ったことはない。
憧れてるからやってきたことだし、自分だったこうするという感性で作りきった上で誰かの琴線に触れたら嬉しいなというモチベーション。
これは最近のリソグラフアニメーションの話であって、それ以前のモーションデザイナー(会社員)時代はオーダーに応えまくるスタイルだったからこそ
その思いが今の制作スタイルに色濃く出ているのかもしれない。

そんなミーハー精神を大切にしてきた結果
今年の11月にビッグなアワードを獲ることができたと思っている。

何事においても憧れの力はすごいからカッコつけて耳触りの良い理由をつけて綺麗事にしてほしくない。人間味のある面倒くさいありのままの理由で貫いてほしい。
これは昔の自分に言ってるのかな。
とにかく憧れの気持ちが残ってたから
こうして海外に住むところまで導いてくれた。万歳。

話がかなり脱線したけど、
20代前半に純粋な憧れを押し通せず
それなりに安定したタイミングで渡英したアラサー(自分)が今ロンドンに。
結果的に日本にずっといたことでキャリアはそれなりに積めたと思うけど
月並みながら若いうちに行っておけば良かったな〜と思う。
もっと刺激的だったかも。
今も刺激的で楽しいけど結構体力的にしんどい時がある。
でも今来れて良かったな〜と思う。これも本音。
何歳に来るのが良いとかないっすよね多分。
一長一短。隣の芝は青い。

Young Guns 20にて

海外は努力がしやすい場所

渡英前の2022年6月、リオくんがDMM英会話とコラボしてインスタライブしているのを見ていた。
「海外とは英語が話せるようになる場所ではなく、努力がしやすい場所」とのこと。
まだ3ヶ月しか住んでいない自分でも本当にそうだなと実感している。
やっぱ努力しないといけねぇですね、、、
仕事は頑張ってるけど、それを言い訳に勉強は疎かにしています。
正直にいうと毎日英単語のduoを一時間くらいパラパラめくって
作業中に英語系youtuberの動画を垂れ流しにしているくらいです。
やらなきゃいけないのやれてない自分の弱さがしっかりと
目の前に現れる環境だからこそ毎日もどかしさを味わっている。 
今思い返してもとても身に染みるライブ内容だった。
まとめはこちら

渡英してから3ヶ月間。
フリーランスとして出国前に引き受けた日本の案件をこなしたり
NYでの展示準備、慣れない英語でインタビュー記事の回答文を作成したりと
平日はほぼ毎日家に引きこもって作業をしてきた。
全然イギリス観光できてないので美術館にも行けていない。
3月になったら行けるかな、、、

PCを立ち上げ、ペンタブをカサカサ動かし、
作業BGMに英語学習ポッドキャストを申し訳程度に流し、
休憩がてらコーヒーを買いに外出
また部屋に戻って黙々と作業
気づけば日本にいた時とほぼ同じ環境をロンドンでも作っていた。

これはとても良くない。
こんな状況が続くなら
無駄に高い家賃、コンビニのない不便な街中、
ずっと曇り空の鬱々とした天気のロンドンよりも
日本にいた方が何倍も快適である。

そう思うと居てもたってもいられなくなり、
12月にモーションスタジオのフルタイム求人に応募してきた。
結果は意外にもサクサク話がすすみ2次面接を経て
フルタイムの前に来年からひとまずフリーとして仕事を発注するから
一緒にやってみようと返事をもらえた。
社交辞令じゃないと信じてる。


場所・環境は本当に大事だと思う。
12月は疲れて引きこもっていたので
自然と日本にいた頃と同じ環境にしてしまっていた。
頑張ったお祝いにクリスマスプレゼントとしてポケモンSVを買って
さらにずっと引きこもっていた。
これだとせっかくロンドンに来てるのに勿体無い。

あと数時間で2023年。
日本はロンドンより9時間早く進んでるから
ロンドンの15時には日本は2023年になっている。
やっぱり遠いところにいるんだなぁとしみじみしている。
2022年の3ヶ月は準備期間だと思って2023年からはやりたいようにチャレンジしていこう。

りおくんコーヒーあざっす


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