ダックス・ドリーム
最近、調子がおかしい。いつも変な夢を見る。
たくさんのドナルドダックが俺のまわりでダンスを踊っているんだ。ぐわぐわとよく聞きとれない歌詞を、眉をひそめて歌うんだ。
どうやら、この火星のことが気にくわない様子だ。彼のご機嫌は重力に反比例しているらしい。重力が弱くなるほどドナルドのご機嫌は斜めになった。ただでさえ不機嫌なドナルドだから、とんでもない状態だ。
だから、たくさんのドナルドダックはタッグを組んで、いさめ合おうとしていた。そうしないと彼らは暴発してしまう。それが彼らの社会であり協調らしいと見ていてわかった。よくできたドナルド社会だった。
ぐわぐわ。やがて一匹のドナルドが俺に声をかけてきた。
ぐわぐわ。
よく聞きとれなかったから、俺もぐわぐわ言ってみた。
すると、相手のドナルドもぐわぐわ言って、ぐわぐわ笑っている様子だった。
すっかり俺も気分が晴れて、それでいいじゃないかとお互い握手をした。やっと周りは静かになった。もう踊ることに疲れてしまったらしい。
また明日の夜もこんな調子かと思うと、目が回りそうだ。
でも、それでこそがドナルドダックなんだ。
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