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気の長い火星人たちの道楽

火星中にお金が溢れていた。じゃぶじゃぶ音がするくらい。ビルが建ち、会社が増えていった。

「我々は」と火星人たちはつぶやく。「夢を見るのがダイスキダ」

「バブルだ!気をつけろ」と警鐘を鳴らすと、すぐ撃ち落された。炎上という名の弾丸で。バン!

どこから弾は放たれた?そこにはだあれも居やしない。鳥がいっぱい飛んでいるだけ。

「我々は」と火星人たちはつぶやく。「右肩上がりがダイスキダ」

ある日、すぐそこの未来のラジオ波が告げるんだ。「栓を抜くよ!じゃあああ」ってね。

流しちゃいけない、堪らない!とみんなバケツを買い占めだす。新聞は「バケツショック」の大見出し。

「我々は」と火星人たちはつぶやく。「調子に乗るのがダイスキダ」

もちろん、バケツじゃ到底受け止めれない。お金なんてそんなもの。お金なんて奈落へGO。みんなも奈落へ追いかける。やめとけと言っても追いかける。底の底まで追いかける。

崖はこんなに急なのに。ロープもピッケルも持たずにどうするの?

おうい、と呼んでも誰も振り向かない。

「我々は」と火星人たちはつぶやく。「気がとってもナガクテネ。ソンナニ急イデ、ドコイクノ?」


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