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『ウルトラマンブレーザー』第11話「エスケープ」は次回へのエール


『ウルトラマンブレーザー』第11話「エスケープ」を観て、ようやく第10話「親と子」に張られた伏線と意図の正体が見えてきたように思います。


 ご挨拶〜✨
 第11話をご覧になってから読んで下さいね✨✨✨


 今回は趣向を変えて、前回の「親と子」の記事からポイントとなる箇所を抜粋し、順を追い解説しながら考察していきたいと思います。

⚠️❶ゲントがストーンを再装着し…
⚠️❶▶︎第10話の対デマーガ戦開始時、ブレーザーのインナースペース内で、ゲント隊長から見た視界の描写がありました。
 ゲント自身の左腕にあるブレーザーブレス、右手にはニジカガチストーン、ストーンはブレスに挿入されます。これはゲントの意思によって為されているという描写ではないでしょうか。
 出現したレインボー光輪をバリアーとし降り注ぐ火炎弾を防ぐと、光輪の回転を変化させ冷凍のようなものが発せられ、デマーガの体表が冷却され、その動きを封じ止めを刺すためのスパイラルバレードを展開します。多分、ここまでの一連の動作はゲント隊長の意思によって為されていた…だからこそ、この直後にブレーザーがとった行動が、不和の音律となって、みて取るものの心に違和感を与えたのではと考えました。

⚠️❷いったい、この時に起きていた現象はなんだったのだろうか。
⚠️❸そして赤と青の発光現象が齎したものとはいったい…。


 考えられることは3つ。

① ゲントの意思にブレーザーの意思が反発し静止を促し抗っていた。

② ブレーザーの意思にゲントの意思が反発し静止を促し抗っていた。

③ ゲントとブレーザー以外の第3の意思が強制的に介入し、それに対しゲントとブレーザーが抗った。

 前回、ブレーザーに起きた謎の現象に対し上記3つの可能性を示唆しました。
 しかし今回改めて考察すると、①の可能性が高いと感じました。ちなみにあの時点では、わたしは③の可能性も否めませんでした。しかし論外でしたね。

 ネットでは以下のふたつに意見が別れているようでした。

◯ゲントの意思が、原始的な狩猟本能を持つブレーザーを阻止した説

◯怪獣を災害と割り切ったゲントに対し、何らかの意図からブレーザーが阻止した説

 さすがネット民、素晴らしい洞察力です。

 さて、話しを戻しましょう。
 冷却によって動きが封じられたデマーガへ、スパイラルバレードで止めを刺す寸前、親のもとへと駆け寄るベビーデマーガの姿を認めた刹那、ブレーザーの “ 左手 “ が、スパイラルバレードを持つ右手を押さえつけ、攻撃を阻止させ、更に顔面を殴り、頭を鷲掴みに押さえ込むなど…ふたつの意思が対立している描写でした。

 ここで3つ、懸命な諸氏に思い出して欲しい事柄があります。

 先ず1つ目、冒頭のアバンで、ブレーザーがゲントの身体を借り、その目を通してテレビのニュースの赤ちゃん特集を興味深そうに見ていたこと。

 次に2つ目、変身前にブレーザーストーンが赤く発光した時の事です。ゲント隊長の目が再び青い光りを宿し、遥か遠くのベビーデマーガを視認します。この時、ゲントの腕にブレーザーブレスが出現したこと。
 さらに、アースガロンの攻撃に晒されたデマーガの身体に隠れ怯えていたベビーデマーガの姿も、ブレーザーはゲント隊長の目を通し見ていたこと。
 ※ 赤く発光したブレーザーストーンの意味は未だ判りませんが、ブレーザーの “ 怒り “ や “ 地団駄 “ のようなものだったのかも知れませんね。

 最後の3つ目、息子ジュンとの会話の際、
「あの怪獣、やっつけなきゃダメかな?」の問いに対しゲント隊長は…、
「あぁ…やっつけないと、怪獣に街を壊されたらみんなが困るだろ」 と、飽く迄も人間の側に立った発言をしていたことです。

 この3つの事柄は、どちらが右手で、どちらが左手か…その謎を解くための伏線だと考えました。

⚠️❷▶︎ この時に起きていた現象は、いったいなんだったのか…それはゲント隊長の意思とブレーザーの意思に齟齬が生じたからであろう。

 怪獣には怪獣の都合がある、それは分かるし状況によっては事態を憂慮した判断もやむを得ない。しかし如何なる理由があろうと、人と共同体コミュニティからなる社会を守るため、怪獣は排除対象としなければならない、それは人類保護という非常に大人な観点が、ゲント隊長の行動原理なのではないだろうか。
 ゲント隊長は怪獣を倒すことで、逃げ遅れた人や自分が守らねばならない人達を守ると判断したのでしょう。

 片やブレーザーはかなり野生的で、凡そ文明という概念とはかけ離れた、謂わば “ 蛮族に於ける狩人かりうど的な本能 “ によって突き動かされていると思うのです。
 そのブレーザーが、人間の赤ちゃんに興味を示したこと、デマーガとベビーデマーガを親と子と認識したこと。
 野生とはある意味、命のやり取りだと思います。弱者が強者の餌食となる、それは自然の摂理なのでしょう。しかし、連綿と受け継がれた生命の連続体である生物にとって最も大事なことは “ 子  “ を、 “ その小さき命 “ を守ることではないでしょうか。
 ブレーザーはより純粋な存在である “ 小さき命 “ と “ 子  “ を守ろうとする遺伝子に組み込まれた本能に惹かれたのかもしれません。

 ゲント隊長には妻子がいて、本来なら何を優先すべきか判っているはずなんです。しかし彼には様々なしがらみがあり、それに捉われているため視野が狭窄し、自分の中のもうひとつの存在であるブレーザーの真意すら見えず、不信感さえ抱いてしまいます。

ブレーザーストーンを見つめる
ゲント隊長…その心には疑念が…


 ブレーザーが己を抑え付けてまでゲントを止めたのは、本当に守るべきものの存在に気づいて欲しかったから…なのかも知れません。

 余談ですが、実際に左手を動かす右脳は動物的本能を持ち感情を扱う。
 右手を動かす左脳は論理的で理性を扱うと言われています。(以下、参照のこと)

 左利きの方は右脳をよく使うようです。
 直感力、空間認知力に優れ、五感で感じた感覚を頼りにし、動物的本能を持っている。
 集中力、決断力、想像力、問題解決力、そして、見たものを記憶してそれをイメージする言われています。
 理屈っぽく、コミュニケーション能力が乏しいという反面もあります。

 右利きの方は左脳をよく使うようです。
 言語力、理論的、計算力、物事の分析力に優れています。正確性が高く、現実的、科学的理解があり、可能性を追求するタイプ。
 理性的で計画性があり、先読みをするとされています。
 感性やコミュニケーション能力があるが、複雑なことは苦手という反面もあります。

 ゲント隊長は云うなれば “ 理性  “ の右手
 ブレーザーは云うなれば “ 感情  “ の右手
 何か腑に落ちた感じがしますね。

⚠️❸▶︎そして赤と青の発光現象が齎したものはいったい…何だったのか?
 ブレーザーがスパイラルバレードを掴み投擲する右半身は銀色の体色です。
 左半身には、DNAの二重螺旋を表す赤🟥と青🟦のラインが複雑に配置され混在しています。
 ゲント隊長の瞳に現れるブレーザーの意思は青い光なので、おそらく青のラインはブレーザーを表し、赤のラインがゲント隊長を表しているて思われます。
 ふたつのラインが、何かを主張するかの如く激しく発光しあったのは、理性と感情のぶつかり合いだったのかも知れませんね。

 さて、漸く第11話「エスケープ」、宇宙電磁怪獣・ゲバルガです。
 第11話が始まっても、左手の意思がどちらのものだったのかハッキリと語られることはなく……。

 (なんやかんやありまして〜✨✨)

電磁怪獣・ゲバルガと
近接戦闘するアースガロン

 アースガロンで出撃したアンリとゲント隊長でしたが、ゲバルガの電磁攻撃を受け機能停止になってしまいます。
 アンリは気絶し意識不明。
 ゲント隊長が現状の打開策を思案していると、左手首にブレーザーブレスが出現。

機能停止したアースガロンのコクピット内で、
出現するブレーザーブレス

 出現したブレーザーブレスに目を向け
「この状況じゃぁこれしかないか.…」
と、投げやりな言葉を吐き、ストーンを取り出すとデマーガ戦で体験した記憶が蘇る。(他者が自分した行為というのは、得てして強烈なイメージとして精神に負荷を掛けます)
 ゲント隊長はストーンに向かい…、
「今日はほんと頼むぞ…」
と呟きブレーザーへと変身します。

 このことから、怪獣に止めを刺そうとしたのはゲントであり、ブレーザーがそれを制止したことが判ります。
 ゲバルガとの戦いでスパイラルバレードを用いようとしたゲントの意思に反し、再びブレーザーの意思が宿った左手がそれを抑止します。
 ゲントの意思とブレーザーの意思は、一体化せず独立もしない不安定な状態となり…、デマーガの時と同じ「2つの意思が1つの身体を御そうとしあう現象」と為り、ブレーザーを襲います。
 正に、同時に響く2つの音が、協和融合しない状態…不協和音です。

 ブレーザーがゲバルガへの攻撃を制したのには、デマーガとベビーデマーガの時とは異なる別の理由かあると考えます。

 ブレーザーは、自身の存在さえ危ぶまれ状況の中、ゲントの意思を抑えながら、ゲントの命を守ろうと戦場からエスケープするのでした。

 宇宙電磁怪獣ゲバルガを前に、成す術のなかったブレーザー、ヒルマゲント。
 両者を繋ぐのはただ一つの使命、それに手を伸ばす強固な意思。
 次回、ウルトラマンブレーザー
「いくぞ ブレーザー!」
 手にしたのは雷も断つ剣。

チルソナイトソード✨✨




 🌀おまけ 其の壱/越監督・談話

 越監督は、第10話「親と子」について、
「話の流れとしては “子供が理不尽な目やいじめに遭ったりして泣くような状況に対して、ウルトラマンが怒る” という所から話を作っていき、最終的に『命に向き合う話』になった」と、語っています。
 さらに最終的な答えは視聴者に委ねているとも…。

 第10話にてブレーザーの顔のかさぶた部分(アレってカサブタだったんだ)を光らせてからの咆哮は…、
「最初ブレーザーのデザインを見た時、やってみたかったのが『蒼い炎』と『口を開ける』演出であり、どうせやるならちゃんとやらないと意味ないよねとの意図で、それをするにはどうすればいいかと思案する中で、それなら怒りの表現に決めて、声を上げた攻撃方法も、子供の目の前で親デマーガを殺そうとした防衛隊への怒りを表している」と語っています。
 これは、デマーガに止めを刺すことを躊躇し、自らその行為を止めたのが、ブレーザーの意思であることを仄めかしているのでは…。

「野性的かつ最短距離で相手を攻撃する」とアクション部にオーダーした結果出来上がったのがブレーザーのあのファイトスタイルだそうです✨✨

 🌀おまけ 其の弐/「アバン」て何?

 アニメや映画など映像作品において、オープニングが流れる前に “ フリ “ のようなものありますよね。
これを「アバン」もしくは「アバンタイトル」と言います。
 このアバンで流される映像は、物語の前日譚であったり、意図的な伏線のようなものだったり、物語のクライマックスシーンの先見せだったり、視聴者に疑問を抱かせるようなシーンもあり、前回までのあらすじの場合もあります。
 本編前に流すことで、視聴者がその物語に入り込み易いように手助けをしたり、或いは単純に注意を惹きつけるために用いられます。

 アバンはフランス語で「〜の前に」を意味する「Avant」という単語からきています。「アヴァン」と記載することもあります。
 英語圏では「Cold open(コールドオープン)」や「Teaser(ティザー)」などが使われます。


 最後まで読んでいただきありがとうございました♪感謝✨✨






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