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闇という深淵(改訂版)🌀夏ホラ観(完結編)

🌀夏はホラーが観たくなる(完結編)

 視覚的に恐怖を煽るよりも、意図的な演出で想像をかき立てる恐怖…これ、意外に効果的だと思うのです。

 ホラー映画に於いて、視覚的恐怖は鮮烈です。感性へとダイレクトに情報を叩きつけるような感覚でしょうか。
 その性質上、観た瞬間の恐怖指数は跳ね上がります。
 しかし、その刹那の恐怖がピークとなってしまうため、如何に連続的に、同様の演出を
持ってしても、最初のインパクトを超えるのは難しくなります。
 より過激な演出へと傾倒する場合もありますが、感覚は強い刺激に対して麻痺する傾向にあるため、その どぎつさ にさえ慣れを覚えかねない訳です。
 慣れとは怖いものです(笑)


 対して、ホラー映画に於ける想像をかき立てる恐怖は、画面には映し出されていない、或いは見えない 見えていない、得体の知れない何かの存在感や、その圧、漂う空気感のようなものが、演出によって生み出されます。

 2020年の映画『透明人間』をご覧になった方は、その見えないことへの恐怖を味わったことと思います。

見えないという 新鮮な怖さを
観せてくれた映画でしたね


 薄暗い部屋のなかで、
 明かりの届かない部屋の片隅。
 そこにある闇の、
 その存在感だけが気になり、
 その暗闇をただ凝っと見つめ…

 誰しもが一度は経験したであろう内容を書いたものです。
 べつに怖い事は書いておらず、怖がらせ意図もありません。
 なのに、字面だけで既に怖い感じがしませんか。

隅になりきる猫さん(笑)
お部屋の隅がこんな感じなら、
可愛くてたまりませんね✨✨


 ただ「闇」というだけで、その中に何かがいるような、いままさに闇にのまれてしいそうな…そんな恐怖さえ想起してしまいます。
 これはおそらく「畏怖の念」なのだと思われます。

[※解説]
「畏怖」とは「おそおののく」こと。
 単に怖がるというだけでなく、自然や神仏など、人間の力が遠く及ばない存在から、不気味な威圧感などを感じ取り、恐れおののく様子を指します。
 熟語を紐解くと、「畏」には「怖がること、敬うこと」という意味があり、一説によると、幽鬼や虎に似た恐ろしいものを恐れ憎むことを表しているそうです。
「怖」にも「恐れる、怖がる」という意味があり、恐れの感情が迫ってくるさまを表します。
「畏怖」は似た意味をもつ語をふたつ重ねることで強い恐れを表し、さらにそこに尊敬や崇拝の念が加わった言葉と言えます。


 2002年の映画『ダークネス』は正に「闇」が主役の映画でした。
 この映画を怖くないと思う人は、きっと闇への恐怖心が希薄なのかもしれません。

 真の闇は光さえ届かない



 闇からなにかが現れる…、そんな闇を恐れる行為は、おそらく遺伝子レベルで組み込まれた 生き残るために必要な 警戒態勢のようなものでしょうか。

 火が貴重であった時代、我々の祖先たちは、暗闇から何かが いつ現れ 襲われるかも知れないという恐怖を 常に抱きながら、まんじりともせずに、幾つもの夜を過ごしたことでしょう。
 その刻まれた記憶が、遺伝情報としして受け継がれているため、闇を見ると、無意識に畏怖を感じてしまうのでしょう。
 だから闇が怖いし、夜が怖いのかも知れません。

 想像してみましょう。
 先ず、灯りを点し闇を払うとしましょう。
 夜の闇が粉飾されました。
 しかし、如何に夜を偽りの光で飾っても、その下には影が差すます。
 影が差す先に軈て闇は蟠り…、想像とは斯様にとめどないようですね。

 見えないという恐怖は、意識下に勝手に入り込むようで、否が応でも想像を膨らませてしまいます。
 此方こちら彼方あちらの境界線は正に曖昧模糊あいまいもこで、認識すら追いつきません。
 追いかけてもイタズラに混乱を促すだけ、それはもう混沌カオスですね。

 闇にはカタチは無いの
 カタチが無いから何処にでもいて
 深い淵のその先から
 此方を観ているんだよ

 そんな「闇」が怖くて堪らないのに、怖いもの見たさでまた探して、ひとり嫌々している(笑)今日この頃なのです。


 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




※ [※解説]に於いて…、[Precious.jp」より、その使い方、本当に正しい? 「畏怖の念を抱く」の「畏怖」とは?読み方や意味、使い方など、覚えておきたい基礎知識をおさらい! から、一部を引用させていただきました。 感謝。

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