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『ウルトラマンブレーザー』第10話「親と子」


『ウルトラマンブレーザー』第10話「親と子」…何という重厚な物語なんだろうか。
 この気持ちをきちんと整理しなければ、今日のこの物語を観て思い感じたことを言葉にできないとさえ思った。
 ひとりの語り部となるために…。

 絆、生命の大切さ…ドラマでは何も語られることはなく、ただただ容赦のない現実がこれでもかと叩きつけられた。
 力あるものが、弱者を追い詰め、ただ苦しめていた…そんな “ 虐め “ にしか見えない構図が “ 行われるべき正義 “ なのだろうか。
 …こんなに悲しい気持ちにさせたウルトラマンの物語は初めてだ。

ヒルマ一家


 ゲント隊長と、奥さんのサトコさん、2人のお子のジュンくん…仲睦まじい家族水入らずなひと時から物語は始まります。

 TVに映しだされた赤子の姿に、ゲントの中でブレーザーが反応を示す…しかし、その意図は解らない。

ゲント隊長の左眼に宿る光…
その正体は…


「謎の卵発見!」のニュースが流れ、明日の休日、何処へ行きたいと尋ねるゲントに、息子のジュンはTV画面を指差し「ここへ行きたい」と言う。

 次の日、ヒルマ一家が共に訪れたのは山梨県 鬼涌谷。そこは、ジュンが希望した謎の卵が発見された場所だった。

山梨県 鬼涌谷で謎の卵と遭遇


 謎の卵から怪獣の赤ちゃん(ベビーデマーガ)が誕生する瞬間に立ち会ったヒルマ一家、しかし眼前で、防衛隊による強制的な捕獲が始まる。

 抗う術さえ知らないベビーデマーガの悲痛な鳴き声に呼応するかのように、熔鉄怪獣デマーガが現れる。
 我が子の元へ歩を進めるデマーガ。

 地球防衛組織SKaRDの創設者であるGGF日本支部司令部参謀長「ハルノ・レツ」は、防衛隊にデマーガへの攻撃を命じる。
 開始される容赦のないミサイル攻撃に、身を挺して子を守ろうとするデマーガの姿。

赤く発光するブレーザーストーン


 避難途中、幾度となくブレーザーストーンが赤く発光する。それは、ゲントに何かを伝えようとしているかのようだ。
 ブレーザーの意思が、再びゲントの左眼に宿る。
 状況を見守るゲントの左腕に、自身の意思に反し突如ブレーザーブレスが出現する。

ゲントの左手に現れるブレーザーブレス


 ジュンは言う。
「なんか違くない…」
「違うって何が…」

 サトコが尋ねる。
「あの怪獣…やっつけなきゃダメかな」
「あぁ、やっつけないと怪獣に街を壊されたら、皆んなが困るだろ」

 ゲントが答える。
「わかってる…皆んなを守るのが防衛隊の仕事でしょ、それはわかってるよ」
 ジュンが続けて言う…その最中も防衛隊の執拗な攻撃は続いている。

「でも…怪獣だって同じだよね…赤ちゃん守りたいだけだよね…それが悪いことなの」
 ジュンの言葉にゲントは絶句してしまうのでした。

 サトコとジュンの避難を優先し、ひとり現場へと踵を返すゲント。
 その手の中にはブレーザーストーンが輝いていました。

 徒歩で避難するサトコとジュン。
 2人の背後から聞こえる雄叫びがひとつ。
 2人が振り返ると、そこには出現したブレーザーの後ろ姿が…。

(なんやかんやの時間です)

なんやかんやの瞬間です

 ゲントがメダルを再装着し、レインボー光輪から冷凍の気が発せられ、体表が冷却されデマーガの動きが封じらます。
 ブレーザーがスパイラルバレードで止めを刺す寸前、親へと近寄るベビーデマーガの姿を認めブレーザーの “ 左手 “ が、スパイラルバレードを持つ右手を押さえつけ、攻撃をやめさせようとします。

この時、いったい誰と誰が戦っていたのか

 いったい、この時に起きていた現象はなんだったのだろうか。
 そして赤と青の発光現象が齎したものとはいったい…。

 考えられることは3つ。

① ゲントの意思にブレーザーの意思が反発し静止を促し抗っていた。

② ブレーザーの意思にゲントの意思が反発し静止を促し抗っていた。

③ ゲントとブレーザー以外の第3の意思が強制的に介入し、それに対しゲントとブレーザーが抗った。

 それは、一切の説明も、解説も、ナレーションすら無いこの番組だからこそ描かれた衝撃のシーンでした。

ブレーザーの中で何かが起きている

 そして防衛隊の第三次ミサイル攻撃に対してブレーザーが取った行動です。
 それは願いにも似た咆哮でした。
 わたしには、いま護らなければいけない生命を優先する為の行動に見えました。

咆哮するブレーザー
あなたには何と聞こえましたか



 最後に再びスパイラルバレードが握られた手は右では無く“  “ だった。
 やはり「神の左手、悪魔の右手」なのだろうか…。
 まるで、己れの葛藤と相容れぬ確執の果てにあるものを、自らの手で掴み取るように…ブレーザーはデマーガ親子をとこしへの眠りへと誘った。

ブレーザーの背中は
まるで父の背中のようでした

 それにしても参謀長「ハルノ・レツ」はいったい何者なのだろうか。
 わたしには、物語の始まりでみた印象とは異なる “ 別の何か  “ にさえ思えた。
 まるで毒を纏ったかのような、あの異質な雰囲気…それは執拗な敵意なのか、或いは強烈な悪意なのか。
 それとも何らかの理由によって、人間こそが悪となり得るということなのだろうか。


 大人には難しいことを、大人よりも確かに未熟でしがらみの無い子供だからこそ言える、そんな純粋でいたいけな気持ちがジュンくんの言葉にはあったように思います。

 大人の立場と行動、建前と本音、三者三様の考えがしがらみとなって、分かり合えないから、争いは止まない。
 そんな大人に疑問を持つ子供が正論を言う…皮肉にさえ思えてしまう、多分これが現実なのだろう。
 しかし、これは紛れのない絆を描いた、親子の重要なエピソードだ。

 わたしは、ジュンくんがゲント隊長に言った最後の言葉を忘れないだろう。

「きょうのブレーザーよかった…今まででいちばんよかった」 



 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。感謝✨✨

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