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弥栄 伊織(音羽屋)
2023年7月13日 18:16
酷く寝苦しい夜だった。 瞳孔が闇に乗じて開き、夜目が利いていくのが分かる…。 くらくらと視界が揺れた…。 ねっとりとした夜気が、眼球に纏わり着く嫌な感覚がある。 ぐっと力を込め目蓋を閉じた。 涙腺から流れだした液体が眼球を潤し充していく。 暫くしてゆっくりと眼を開くと、液体の膜に視界が暈け、一筋の涙が眼頭から溢れ落ちた。 いびつに歪んだ視野が弾け、一瞬だけ闇の濃さが増したようだった