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日記:『テスカトリポカ』の刺激はトレーニングに有効か?

土日は、案件が他人によってどうこうされることが少ない静寂の時間だ。だから土日こそ仕事をするべきと思う。

代わりに平日に休む。「休める!」と思った日が休日だ。今日、火曜日がその日だった。

この頃の忙しさでたるんでしまった肉を引き締めるため、日中は筋トレとランニングのトレーニングセットに時間を割いた。オーディオブックで『テスカトリポカ(佐藤究)』を聞いていた。残り1時間のところまで聞いた。

とても面白い構成を取った物語だ。主要人物が、各章で順々に描かれたのち、物語の歯車が急に動き始める。主要人物と思われたメキシコ人と日本人は、スッと裏方にまわる。物語の部品は余すことなく開帳されるが、どのようなメカニズムで駆動するのか……その全容が掴めないから恐ろしい。

ありきたりの形容で大変恐縮だが、まさにジェットコースターのようだ。「くるぞ…くるぞ…」と急降下の気配を我々は知っている。しかし、いつ・どの程度・どんな風にといった情報は事後的に知るのみである。

30代に入ってから、ようやく最近の海外文学を読むようになった。海外文学の形式の自由度には本当に驚かされる。特に、中国・韓国はスゴい。日本の文学賞では審査員から忌み嫌われそうな新しい記述方法をどんどん実践している。

「内容の面白さが本質、というのはそうだけど……形式があんまりにも変わらないと無形重要文化財のような趣だね」と思ってなかなか勝手にやきもきしていたが……『テスカトリポカ』の構成のは、日本文学の”モード”を守りつつ、気合いを感じた。「いっちょカマしたろ!」と、作者の荒い鼻息が聞こえてきそうだ。スゴくスゴくスゴく、感銘を受けた。アメイジング。

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