見出し画像

「人工妊娠中絶は憲法上の権利ではない」と判断した米連邦最高裁の原則論

JBpressに寄稿しました。

米連邦最高裁判所は6月24日、人工妊娠中絶を憲法で保障された権利とした1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆しました。

今回、多数派の判事たちは、「憲法に明文規定がない憲法上の権利」が司法により「発明」されていた事実を問題視しました。それは、米憲法の最冒頭、第1章で定める立法府の目的である市民の政治参加、ひいては民主主義の否定につながるからです。

多数派意見に補足の賛成意見を書いたクラレンス・トーマス判事はさらに、中絶権の見直しに加えて、今後は同性婚など連邦レベルでの合法性を認めた過去の判例を見直すべきだと述べました。なぜなら、それらは中絶と同じく、「憲法に明文規定がない憲法上の権利」の概念に全面的に依存しているからです。

その背景には、1996年に結婚を1人の男性と1人の女性の下で成立するとした米議会の「結婚防衛法」が連邦最高裁によって破棄されたこと、さらに見せしめとしての「差別主義者処罰」の歴史がありました。

それらを振り返り、日本の同性婚運動に与える影響を分析します。ご一読ください。


励みになりますので、よろしければサポートをお願いします!