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わなにかさま(十)

16

「あ、これ?」
ぼくがびっくりして見ているので、丸太を両手に持ち直してぼくに差し出すように見せてくれた。
「これはへしばしら。すげーら?」
「あ、はい」
へし柱にも難しい文字が螺旋状に彫られていた。
「この彫ってあるのって、なんて書かれてるんですか?」
「知らにゃあ」
即答か。
「誰にも読めにゃあだよ。人間の文字じゃないっていう人もいるだよね」
「…それじゃあ」
「わなにかさまには読めるかもしんにゃあな」
人間には読めないけどわなにかさまには読める文字…。
「読めにゃあかもしんにゃあな」
どっちですか。

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