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11月10日、21世紀の不穏、晴らすかのような、モモテンコ、21世紀の聖歌の透明感、クリアさ...

シグヴァルズ・クラーヴァ率いる、ラトヴィア放送合唱団が歌う、ウクライナ出身の作曲家、モモテンコの、聖歌を中心としたア・カペラ合唱作品集、"CREATOR OF ANGELS"。

アルフレード・モモテンコ(b.1970)。
ソヴィエト時代のウクライナ、リヴィウにて、芸術家一家に生まれたモモテンコ。幼くしてソチ芸術大学でシロフォンを学び、やがてモスクワ文化芸術大学でパーカッションを学ぶも、1990年、終焉を迎えるソヴィエトの混乱を避け、オランダへ移り、ブラバント音楽院で指揮とパーカッションを学ぶ。作曲家としても研鑽を積み、フォンティス応用科学大学で作曲を、ハーグの王立音楽院で音響学を修め、以後、オランダを拠点に活動。

というモモテンコの合唱作品... アルバムのタイトル、天使の創造者(2021)に始まり、シュニトケの同名作に倣ったという、3つの聖なる賛歌(2019)、ハープの伴奏が美しい、子守歌(2021)、ラフマニノフの『晩祷』に倣ったという、情熱的に(2017)、正教会の修道士、アトスのシルーアン(1866-1938)の言葉に基づく、沈黙の神秘(2019)、さらに、ノーベル賞詩人、ヨシフ・ブロツキー(1940-96)の詩を歌う、奇蹟(2022)。という、6作品...

子守歌、奇蹟の他は、みな東方教会の聖歌をベースにしており、東方を思わせる厳かな雰囲気に包まれる。一方で、ア・カペラならではの澄んだハーモニーには、ウクライナの音楽に見出せる透明感が感じられ、また西欧的なクリアさもあり、東西で学んだこそフュージョン感もあるのかなと... おもしろいのは、そのフュージョンが、北欧の合唱作品に通じる瑞々しい美しさを発するところ... で、締めに歌われる奇蹟では、一転、英国の合唱作品を思わせる朗らかなドラマティックさが紡がれて、盛り上げる!

そんな、モモテンコ、存分に楽しませてくれた、クラーヴァ+ラトヴィア放送合唱団。いつもながら、すばらしいです。北欧の、バルトの合唱のクリアさ、水際立っていて、得も言えず、清らか... また、そのクリアさに、人の声ならではのしっとりとした表情も浮かび、聴く者にやさしいのです。理屈抜きで、惹き込まれる。

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