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12月2日、グランド・オペラを予感せさせる、魅力、盛りだくさん!ケルビーニの『レザバンセラージュ』。

ハンガリーが誇るピリオド集団、ジェルジュ・ヴァシェジ率いるオルフェオ管の演奏、フランスの新世代、アナイ・コンスタンス(ソプラノ)、パーセル合唱団らの歌で、ケルビーニのオペラ『レザバンセラージュ』。
Bru Zane/BZ1050

フランス革命の前年、1788年、音楽の都、パリへと乗り込んで来たイタリア人、ケルビーニ(1760-1842)。革命の混乱で、巨匠たちがパリから離れると、その穴を埋めるように頭角を現し、時代の気分を汲み取った救出オペラ(横暴な国家権力から愛する人を救う!)で、一世を風靡!かのベートーヴェンも影響を受けるほどだったが、ナポレオンが政権を掌握すると、そのお気に入り、ナポリ楽派によるイタリア・オペラに押され、活躍の場が減ってしまう... そうした中、フランス・オペラで勝負を賭ける!

1813年、第一帝政末期、パリ、オペラ座(当時は帝国音楽アカデミー... )にて、皇帝、ナポレオンの隣席の下、初演された、『アバンセラージュ一族、またはグラナダの軍旗』。中世イベリア半島、イスラム系の王国、グラナダ王国を舞台に、アバンセラージュ一族の若者、アルマンゾールと、彼に反発するゼグリ家の姫、ノライムの恋の行方を描く物語... 

革命期の切っ先鋭い救出オペラからすると、幾分、後退した印象もある『レザバンセラージュ』。帝政期の保守化が反映しているのか?いや、フランスの伝統、リュリ以来のトラジェディ・リリクに立ち返るようなドラマティックさがあり、充実のバレエ・シーンに、ここぞで盛り上げる合唱と、グランド・オペラの萌芽を見出せる!で、その聴き応え!

という『レザバンセラージュ』を掘り起こしてくれたヴァシェジ+オルフェオ管!フランス・バロック担当のイメージがある彼らだけれど、ロマン主義の入口でも見事!というより、彼らのハンガリーの音楽性、よりロマン主義と相性いいのかも... そして、ノライムを歌うコンスタンス(ソプラノ)、アルマンゾールを歌うモントヴィダス(テノール)ら、歌手たちも最高!いや、もう、魅力、盛りだくさん!

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