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11月9日、ロシアの軛から脱しようと市民が動いた、ウクライナのマイダン革命を、やさしく深い歌声で包んでの、感動...

ミコラ・ゴブディッチ率いるキーウ室内合唱団が歌う、現代、ウクライナを代表する作曲家、シルヴェストロフの合唱曲集、『2014年、マイダン』。

キーウに生れ、キーウで学び、ソヴィエト支配の抑圧下も、ウクライナ独立後の混乱も、キーウを拠点に活動してきたシルヴェストロフ(b.1937)が、今年、2月に始まるロシアによる軍事侵攻を受け、今、ベルリンに避難している。そういう状況から見つめる、シルヴェストロフの音楽... この戦争の起点とも言える、2014年、ウクライナの親ロシア政権を崩壊させたマイダン革命に寄り添う作品、『2014年、マイダン』...

2014年、マイダン革命を目の当たりにし、衝撃を受けたシルヴェストロフの、彼流のルポとして、その年に作曲された、4つのサイクルからなる、合唱曲集。19世紀のウクライナの詩人で、近代ウクライナ語文学の創始者とも言われるタラス・シェフチェンコ(1814-61)の宗教的な詩を中心に、ウクライナへの祈りを籠めた新たな聖歌集となる。

で、その音楽、シンプルにして穏やかなハーモニーが編まれ、遠い昔、ラジオから流れてきたような、懐かしい雰囲気が立ち込める。そんな歌声に触れていると、夢の中を彷徨っているようで... この何とも言えぬおぼろ感!まさにシルヴェストロフのア・カペラ... 一方で、じわっとエモい波が押し寄せる瞬間もあり、ア・カペラなればこそのパワーが、革命を成した市民の力と共鳴するのか、深く、感動にも包まれる。

という『2014年、マイダン』を聴かせてくれた、ホブディッチ+キエフ室内合唱団。これまでもシルヴェストロフのア・カペラ作品をリリースしてきた彼らだけに、その独特な音楽世界を表現するのはお手の物... いや、彼らだからこそ出し得る、ふんわり感、たまらない!けど、そのふんわり感が、グっと密度を持つようなところもあって、革命への共感、じわりと感じられるのか... 感じ入る。

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