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9月7日、知られざるトゥールー... ルネサンスが黄金期を迎える前の初々しさを伴った麗しさに、心洗われる。

ヴォイチェフ・セメラード率いる、チェコの古楽ヴォーカル・アンサンブル、カペッラ・マリアーナの歌で、15世紀、神聖ローマ皇帝、フリードリヒ3世の宮廷礼拝堂のカントール、トゥールーの作品集。

ヨハネス・トゥールー(fl.1450–80)。
詳しいことはほとんどわからない作曲家... いや、初めてその存在を知りました。で、おそらくフランドルで生れ、フランドル楽派のひとりに数えられるだろうと... で、トゥルネー司教領(フランドル伯領に隣接... )の聖職にあり、ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝、フリードリヒ3世(在位 : 1440-93)の宮廷礼拝堂のカントールを務めたことが記録に残っている。

というトゥールーの、フランス語で歌われるシャンソン、4曲に、ラテン語で歌われるモテット、4曲、それから、4声のマニフィカト、ミサ「私の目」が取り上げられ、聖俗の両面で、知られざる作曲家の姿を掘り起こすのだけれど... アルカイックな詩情を湛えるシャンソンに、温もりを感じさせるやさしい響きで聴く者を包む教会音楽、惹き込まれます!

フランドル楽派、最初の世代の、まだ複雑化していないポリフォニーの素直さ、ルネサンスが黄金期を迎える前の初々しさを伴った麗しさが、トゥールーの音楽を特徴付けるのか... シャンソンにしろ、教会音楽にしろ、得も言えずやさしい!で、そのやさしさ、フランドル楽派にして、何かひと味違うのかも... 後のウィーンを予感させるスウィートさ?

というトゥールーを聴かせてくれたセメラード+カペッラ・マリアーナ。シャンソンでは器楽も用い(器楽合奏によるものも... )、色を添え、トゥールーの音楽をより多彩に響かせる。何より、やわらかな歌声で織り成すクリアなハーモニー!その素直なハーモニーに心洗われる思い... で、トゥールー、なかなか興味深い。

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