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9月5日、イギリス・ルネサンスを彩ったヴァージナルは、南のサウンドだった?!

イタリアのチェンバリスト、ジュリア・ヌーティが、フィレンツェ、ルネサンスの宮殿、ルチェッライ宮の屋根裏から見つかったという、16世紀のヴァージナルで、ダウランドなど、イギリス・ルネサンス、爛熟期の作品を弾く、"The Fall of the leaf"。

ダウランド(1563-1626)のリュート・ソングを、当時の作曲家たちが鍵盤楽器用にアレンジしたものに、その当時の作曲家たち、マーティン・ピアソン(ca.1571-1651)、ジョン・トムキンズ(1589-1638)、ウィリアム・バード(1539/40-1623)、トマス・キャンピオン(1567-1620)、トマス・モーリー(1557/58-1602)ら、イギリス・ルネサンス、爛熟期を彩った面々の作品を幅広く取り上げながら、ピーター・フィリップス(ca.1560–1628)のアレンジによる、カッチーニ(1551-1618)の「麗しのアマリッリ」(当時、すでに、国境を越える人気作だった?)も!ちなみに、アルバムのタイトル、"The Fall of the leaf"は、マーティン・ピアソンの「落葉」から...

同じく弦を爪弾く構造ながら、チェンバロより、深く瑞々しいサウンドを放つヴァージナル... そのチェンバロと似て非なるマジカルなサウンドは、ちょっと他の楽器には探せない異質感すらある。で、そこから流れ出すイギリスならではのキャッチーなメロディー!で、チェンバロより、明らかに流麗に音楽が紡がれ... だから、"イギリスならでは"、が引き立つ!

とはいうものの、このアルバムの主役は、イタリア製のヴァージナル... ヴァージナルというと、イギリスのイメージが強い(かのエリザベス1世も好んで弾いた!)のだけれと、ヴァージナルがイギリスで好まれていた頃、それらみなイタリアからの輸入品だったとか... つまり、この魅惑的なサウンド、イギリスにおいては、南を喚起させるサウンドだった?

という視点をもたらしてくれた、ヌーティ。フィレンツェ、ルチェッライ宮の屋根裏部屋から見つかったという、1590年頃製作のヴァージナルを、クリアなタッチで瑞々しく鳴らし、魔法掛かった音楽を繰り出す!で、その魔法に、南の異国感を掘り起こし、生まれる、新たなジューシーさ、ますますヴァージナルの虜に...

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