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10月11日、協奏曲あり、詩篇あり、ヴィヴァルディの"娘たち"のコンサートの充実、今に蘇る!

エイドリアン・チャンドラー率いる、イギリスのピリオド・オーケストラ、ラ・セレニッシマの演奏、クレア・ブース(ソプラノ)らの歌で、"ヴィヴァルディのピエタでの仕事を見つめる、"VIVALDI'S WOMEN"。

バロック期、ヴェネツィアの音楽シーンに欠かせなかったのが、オスペダーレ(孤児院付属女子音楽学校)によるコンサート!ヴィヴァルディが、長年、指導にあたったピエタ慈善院付属音楽院には、ヴィヴァルディの指揮の下、フィーリエ(娘たち)なる大人気の女性オーケストラ、女声合唱団が組織され、孤児院本体の運営費を稼ぎ出すほどだった...

そのフィーリエによるコンサートを再現する、"VIVALDI'S WOMEN"。ヴィオラ・ダモーレ協奏曲(RV 394)に始まり、トロンバ・マリーナ風ヴァイオリンのための協奏曲(RV 313)が続き、コントラルトが歌う『グローリア』へのイトゥルドゥツィオーネ「なぜ矢を」(RV 637)、アルビノーニ作だと伝えられていたヘ長調のヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンとオルガンのための協奏曲(RV 541)、最後に、ソプラノ、メゾ・ソプラノ、コントラルトの3人が歌う、詩篇、第126篇、『ニシ・ドミヌス』(RV 803)。

ヴェネツィアを代表するようなスターも輩出したフィーリエ... その記憶を蘇らせるような、ヴィルトゥオージティに溢れる、花やかなコンチェルト... オペラ張りに歌い、たっぷりと聴かせるイトゥルドゥツィオーネに詩篇... そこかしこに、鬼才、ヴィヴァルディならではのフックが効いていて、どれも魅力的な音楽となっており、またそこに、自ら育てた才能への信頼と、最大限、その才能を輝かそうという作曲家の思い、伝わってくるようで、何だか、やさしい... ヴィヴァルディに父の姿を見る。

そんな"VIVALDI'S WOMEN"を聴かせてくれた、チャンドラー+ラ・セレニッシマ。イギリスのピリオド・オーケストラならではの手堅さが、フィーリエの輝きをソリッドに蘇らせ... 下手にバロック・ロックを繰り出すのではない、確かな聴き応えが印象的... 歌手陣も、バロック期のヴェネツィアの豊潤さ、味わいを以って表現し、いい味を醸す。そんな、ヴィヴァルディの"娘たち"の音楽、素敵です。

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