3月25日、いや、もう、アコーディオンで、アイスランドで、現代音楽... が、おもしろかった!"Fikta"。
アイスランドのアコーディオン奏者、ヨナス・アウスゲイル・アウスゲイルソンが、アイスランドの現代の作曲家による協奏曲から独奏曲まで、多彩なアコーディオン作品を弾く、"Fikta"。
DACAPO/8226720
スペクトル楽派的音響の波間に顔を覗かせる、ポップなフレーズ、アコーディオンのお洒落感が魅惑的な、フィヌール・カールソン(b.1988)のアコーディオン協奏曲に、ソプラノとアコーディオンが織り成す、表現主義的ヴィヴィット(『月に憑かれたピエロ』を思い起こさせる?)さ、アトリ・ヘイミル(1938-2019)の歌と間奏曲、エレキ・ギターとパーカッションとのスリーピースが、ロックっぽさを生む、ソルケル・シーグルビョルンソン(1938-2013)の"Mobilissima visione"、そして、アコーディオンという楽器が持つ可能性を存分に引き出す、2つの独奏作品、アトリ・インゴルフソン(b.1962)の"Radioflakes"と、アルバムのタイトルになっている、フリドリク・ルグレタル・グズムンドソン(b.1993)の"Fikta"... という5作品。
いや、もう、アコーディオンで、アイスランドで、現代音楽です。とんでもない僻地へやって来てしまったなと、そんな感覚にもなる"Fikta"なのだけれど、そこから聴こえてくる音楽は、思いの外、多彩!いろいろな、おもしろさ、詰まっている!で、取り上げる5作品には、現代音楽としての実験性を失わず、現代の音楽としての現代性がしっかりと息衝いており... また、アイスランドを代表する作曲家、レイフス(1899-1968)に始まり、シガーロスに至るまで、アイスランドの音楽のDNA、そこかしこに窺えて、実に興味深い!で、アコーディオンならではのヴィヴィットさ、人懐っこさが、アイスランドの音楽に絶妙にフィット、ケミストリーを生む!
そんな、"Fikta"を聴かせてくれたアウスゲイルソン... アコーディオンを器用に繰って、小気味良さからスペイシーなあたりまで、存分に聴かせる!そうして、この楽器の可能性に、今さらながらに驚きつつ、魅了されることに... で、アウスゲイルソンばかりでない"Fikta"の魅力!協奏曲ではエルヤ・アンサンブルが縦横無尽にサウンドを織り成し、歌曲ではオェルノルフスドッティル(ソプラノ)が深みのある歌声で魅了し、ショウ(エレキ・ギター)、アナグノスティドゥ(パーカッション)が、またいい味を醸し出して盛り上げる!いや、おもしろかった。
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