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7月24日、民俗音楽×現代音楽、で、ノルウェーを旅する。

ノルウェーの民俗楽器、ハルダンゲル・ヴァイオリンを弾く、異色のヴァイオリニスト、クリシュナ・ナガラジャが、ノルウェーの民俗音楽をベースに新たな音楽を紡ぎ出す、"Tales from Norway"。
Challenge Classics/CC72914

インド系イタリア人、ナガラジャ... バロック・ヴァイオリニスト(ヴィオラも弾く!)として、イル・コンプレッソ・バロッコなど、ピリオド・オーケストラで演奏する一方、ケルト音楽や北欧の民俗音楽にも関心を寄せ、シベリウス音楽院でワールド・ミュージックを学び直したという異才。そうした背景から生み出される、新たな現代音楽!これが新鮮なのです!

まずは、フィンランドの弦楽四重奏団、Meta4の演奏で、弦楽四重奏のための「ストリンガー」(2020)。それは、ノルウェーの民俗舞踊、"スプリンガー"と、弦、"ストリング"を合わせたタイトルとのこと... で、その通りの弦楽器のヴィヴィットさから繰り出される活きの良いリズムが最高!が、その活きの良さ、次第に、北欧の自然に溶けてゆくような展開を見せ...

人間臭い民俗音楽が、北欧の現代音楽へと変容してゆく様、魅力的で... 楽しい北欧旅行が、圧倒的な北欧の自然に抱かれて、魂を揺さぶられるような経験をする、そんな感覚だろうか?からの、無伴奏ハルダンゲル・ヴァイオリンのためのノルウェー組曲(2019)。で、ますます揺さぶられ...

ハルダンゲル・ヴァイオリン、ノルウェー西部、ハルダンゲル地方に所縁のある楽器で、ノルウェーではハーディングフェーレと呼ばれるとのこと... その味のある響きから繰り出される、イニシエの歌のような、踊りのような... シンプルだからこそ深く、何か遠い記憶を呼び覚まされるようなナガラジャが奏でる音楽は、もうノルウェーを越えてしまっているのかも...

"Tales from Norway"、物語というよりは、どこか旅を思わせる... どんどん北欧の深奥へと分け入ってゆくような... Meta4のヴィヴィットな演奏から、ナガラジャの弾くハルダンゲル・ヴァイオリンの古楽味のある深み... 絶妙なリレーを経て、描かれる、ノルウェーのサウンド・スケープ。やがて、極北ならではの根源的な風景に辿り着き、圧倒された。


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