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2月18日、フランス、第二帝政期、バブリーな時代の"美"、忘れられた宝石としてのアリアに、酔わされる!

注目のコロラトゥーラ・ソプラノ、ジョディ・デヴォスが、ピエール・ブルーズの指揮、ブリュッセル・フィルハーモニックの演奏で歌う、19世紀、フランス、忘れられたアリアの数々... "BIJOUX PERDUS"。
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19世紀半ば、パリのオペラ・シーンで活躍したというマッセ(1822-84)の『ガラテー』(1852)から「竪琴の歌」で始まり、マイアベーア(1791-1864)、『ディノーラ』(1859)の「影の歌」が続く... いや、「影の歌」なら、時折、聴くけれど、マッセって、誰?となる、"BIJOUX PERDUS(忘れられた宝石)"。見事、定番のフランス・オペラを外してくるのです。で、マッセ、マイアベーアの他に、オーベール(1782-1871)、アレヴィ(1799-1862)、アダン(1802-56)、トマ(1811-96)のオペラからのナンバーが取り上げられる。そう、忘れられてしまったアリア... けど、それら、まさに宝石!

それは、ナポレオン3世の時代(1848-70)を飾ったアリアの数々で... イタリアのベルカント・オペラの影響が窺えるコロラトゥーラの至芸に彩られつつ、より磨き抜かれたものを感じさせるフランス・オペラのコロラトゥーラ... 超絶技巧にして、より繊細に表情を織り成し、麗しさこその音楽を響かせる!で、イタリアのドラマティックさとはまた違う感覚が印象的... いや、第二帝政期、多くの問題を抱えつつも、バブリーに飾り立てられた時代の"美"がそこにあるのかも... 半端無いフランス的洗練の極み!極まって、展開される無邪気な"美"の結晶に、ただただ、息を呑むばかり...

いや、デヴォス(ソプラノ)がすばらし過ぎる!クリアで、キラキラとしていて、クラッシーでありながらどこか甘やかさも感じられる歌声... 美しいことに徹する純粋さに貫かれたそのパフォーマンス、存分に忘れられた"美"を引き立てて、まさに宝石!その宝石を際立たせる、ブルーズの指揮、ブリュッセル・フィルの演奏!19世紀、フランス・オペラならではの美麗さ、しっかりと引き出し、聴き手をかつてバブリーだったフランスへと誘う。いや、第二帝政期の光の部分だけを味わう、背徳感... その唯美主義の浮世離れした"美"に、酔わされる。

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