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ドラマ『作りたい女と食べたい女』WEB記事がおかしすぎるメモ

 初めに書いておきますが、商業メディアに掲載されるテレビ番組レビュー記事なんて100%提灯記事であり、ライターもそれでお金をもらっています。利益関係がある以上は当然のことであり、ライターが全肯定するのは当たり前であります。世の中はそれで回っているのですから、そういうものなのです。それは承知の上で本記事を書いていきます。


 上記記事は2月20日の公開で、ドラマ『作りたい女と食べたい女』(以下『つくたべ』)の第24回放送日時の公開記事です。

 目を通してみた時に非常に驚いたのですが、ほぼほぼツッコミどころだらけでした。以下、ひとつひとつ見ていきましょう。


しかし一人で作り、一人で食べる生活を少し寂しく感じる時もあり、「誰かに作りたい」「一人では食べきれない量の映え料理を作ってみたい」と思いを募らせている。

ありきたりが心地よい『作りたい女と食べたい女』が映し出す、”食”と”性”の理想の在り方 | ENTAME next - アイドル情報総合ニュースサイト

 「誰かに作りたい」って、そういうスタートでしたっけ? 「何でも男のためにされる~」とかそういうのを視聴者・原作読者がしきりに言っていたような気はしますが。


食卓に並ぶのは、放送時期に合わせた季節の料理や、登場人物の思い出の味、すぐに真似できるアイデアレシピなど心奪われるものばかり。

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 具体的に何の話をしているのでしょうか? 特に「アイデアレシピ」とはどれでしょう? 唯一アイデアレシピっぽい「かぼちゃプリン」なんて難易度の高い部類かと思いますが。(もしかすると、もち料理のことかもしれません。)


つい「みんなで食べた方が美味しいよ」や「こんなに美味しいのに、食べられないなんて損してる」と言ってしまった経験がある人も多いのではないだろうか。

ありきたりが心地よい『作りたい女と食べたい女』が映し出す、”食”と”性”の理想の在り方 | ENTAME next - アイドル情報総合ニュースサイト

 むしろ『つくたべ』はこの価値観を理想として描く作品のような気がしますが。特に南雲世奈は会食以外での人との関わり方を知らないようですし。


シーズン2からは「食べられない人」の南雲世奈(藤吉夏鈴)、「作らない人」の矢子可菜芽(ともさかりえ)も加わり、

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 いつの間にやら「食べられない人」と呼ばれている南雲世奈ですが、NHKの公式サイトでは“食べたくない女”と明記されていました。

2人と同じマンションに引っ越してくる「南雲さん」役には、今年の紅白歌合戦に出場する人気グループ「櫻坂46」のメンバー・藤吉夏鈴さん。少食で、かつ人前で食事をすることができない「会食恐怖症」の“食べたくない女”を演じます。

夜ドラ「作りたい女と食べたい女」追加キャスト決定のお知らせ - NHK

 原作の公式サイトでも「食べたくない女」と書いてあります。まあ、本当に食べたくなかったら生命活動を停止するだけなんですけど。


シーズン1で印象的だったのは、野本さんが同僚の佐山千春(森田望智)に「女性が気になっている」と打ち明けた場面だ。自分の恋愛対象をカミングアウトするときは、相手にどのような反応をされるのかが一番気がかりな点である。

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 このあたりはあまりおぼえていないのですが、佐山千春は「なんか恋してるって感じですね」って先に意識させた側だったような気がするのですが、どうでしょうか。


野本さんがレズビアン映画を見て「モヤモヤする」「自分はちゃんとしたレズビアンではないのかも」と思ったのも、映画で描かれている同性同士の恋愛が、エンタメとして消費されるために創り上げられた偶像的なものだと感じたからだろう。

ありきたりが心地よい『作りたい女と食べたい女』が映し出す、”食”と”性”の理想の在り方 | ENTAME next - アイドル情報総合ニュースサイト

 ここは視聴者の個々の感想ですが、直後にアセクシュアルレズビアンの話になるので、その前フリと捉えるのが妥当なのでは?


『作りたい女と食べたい女』では、刺激的な運命の出会いが訪れることも、すごくロマンチックな展開が起きることもない。仕事と家の往復、たまに立ち寄るスーパー、マンションの住人との挨拶。時には苦しみを感じたり、些細な幸せを噛みしめたりしながら、いい意味で”ありきたり”な生活がそこにある。

ありきたりが心地よい『作りたい女と食べたい女』が映し出す、”食”と”性”の理想の在り方 | ENTAME next - アイドル情報総合ニュースサイト

 戦後復興期とかの時代じゃないんですから、同じマンションの住人同士が食事仲になるのはかなり“刺激的な出会い”になるのでは…?(しかも、セクシャリティまで合致してしまうというミラクルっぷり。)


物語の中で野本さんと春日さんに交わる人々は、誰かの食や恋愛の価値観を馬鹿にしたり、咎める人はいない。分からないときは話を聞いてみる、「自分はこう思う」と素直に伝えてみる。

ありきたりが心地よい『作りたい女と食べたい女』が映し出す、”食”と”性”の理想の在り方 | ENTAME next - アイドル情報総合ニュースサイト

 「自分はこう思う」と意見を出す箇所ってどこのことを指しているのでしょうか? ひたすら都合のいい発言が飛び出てくるドラマのような気がしますが。


 そういったわけで、ほぼほぼすべての段落に「本当にこのドラマを見たのだろうか?」というものがありました。挙げなかった箇所の「幼少期に自分が望む量のご飯を食べられなかった」も「いや、幼少期と呼ぶには違和感のある、やや成長した10代のころでは?」と思いましたが、そのあたりは重箱の隅をつつくのでやめておきました。しかしそれでもやはりあまりにおかしなレビューです。


 このようにドラマ『つくたべ』レビュー記事には本当に番組を見て書いたのかよくわからないものだらけです。

 特に、春日の実家が酷く、典型的な昭和脳の父親がいる。祖母の介護のために仕事をやめて帰郷を強要する。息子優先、妻と娘をこき使うのが当然と考える父親とは縁を切る決意をする春日。「絆」や「愛」を騙かたる「使役」「隷従」「搾取」には、女たちもNOをつきつけていい。「家族と縁を切ることの肯定」を描く点もドラマとして評価したい。

「作りたい女と食べたい女」season2では連帯から恋愛へ! 食でつながる運命的な出会い。 | ステラnet

 上記記事も、ドラマ『つくたべ』が「子育ての苦労を抱えている子」と「非正規で結婚する様子もなく1人暮らしを続けている子」との対立になってしまったことを無視して男女論に持って行ってるのが謎すぎます。本記事で挙げている1番目の記事は番組を大して見ずに書いているのが伝わってきますが、「ステラnet」の記事は作品内容にかなりしっかりと言及した上で「春日十々子の弟は子持ちになっている」の部分を無視しているのが露骨に意図的です。


 『つくたべ』ドラマというのは、ここまでごまかさないと絶賛できないのでしょうか? そしてそのごまかしをごまかしと認めないまま喜ぶ側もどうかしているように感じます。



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