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俺たちに明日はあるか続々ゾク編

「おばぁちゃん、友達、しばらく住んでても良いかなぁ?」
「いいよ。にぎやかになるね。お前が、来てくれてから、
とっても、助かっているよ。電球は替えてくれるし、買い物は行ってくれるし、
大助かりだ。」

「そうか、良かった。おばぁちゃん、自転車誰かいらん人ないかな?余ってないかな?」
「自転車か、お隣さんに聞いてみよか?なんでも、納屋に押し込んでいるからね。」おばぁちゃんは、そう言って笑った。

しばらくすると、自転車が僕のうちに届いた。
お隣のお嫁さんが、電動自転車を買ったので、子育てしていた時の後ろに子供を乗せる台がついたピンクの自転車が、来た。

「お、すげ!こんなの乗ったら、子持ちに見えるかな?」
「ムリ、ムリ、ムリ。」
と言って二人で、笑った。

「この台どうする?」
「つけとく、。」ショーは答えた。
「なんで?」
「子持ちに、見えたい。」

ショーは時々、よくわからん人だ。
普通は、カッコいいことをしたいと思ったりするんだと思う。
高そうなサイクリング車に乗っていると自慢したり、
ショーは、そうでなくて違う考えを持っている。
だから、好きなんだと思う。

お父ちゃんが、農業小屋に来た時に、ショーを連れて行った。
「おじさん、お久しぶりです。」
「おー、元気やったか?」

「しばらく、お世話になります。」
「おー、ゆっくりしたらいいよ。どうせ、部屋は、空いてるんやから。」

お父ちゃんの目を見て、ショーは吹き出すのを我慢しながら、
「ぷっ、おじさん、男ぶりが増しましたね。」

俺は、「よく言うわ。」と心の中で思いながら、同じようににやけていた。
お父ちゃんは、違いがわかってもらって嬉しそうだ。
なんでやねん。

「おじさん、バイトの口があったら、教えてください。」
「え、もう、働くんかい。」

「はい、トキオ君にばかり負担を押し付けるのは、悪いから。」
「今晩、みんなが来るから、聞いてみるわ。」
「お願いします。」

ショーは、昔から礼儀正しい。
まともな躾をされていない、俺と大違いだ。
お父ちゃんと、お父ちゃんの仲間とだけ付き合っていると、
こんな返答はできない。

「トキオ、歌詞できた?」
「え、お父ちゃん作ってくれるの?」

「もちろん。俺は、単細、いや天才ミュージシャンですから、。
どんな歌詞でも、お手の物さ。」
「ありがとう!俺、頑張るわ。」
「じゃ、できたら言えよ。」

「トキオ、歌作るの?」
「うん。」

お父ちゃんが、乗り気になってくれたので、俺は嬉しかった。
お父ちゃんは、音楽と女にしか興味がない。
歳になっても、まだ、女にモテようとしている元気なおっさんだ。
今まで、あまり話が合わなかったけど、初めて話し合えた気持ちになった。

以前の話は、こちらから。

#大人のぬりえ #コメディ

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