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変わらないものの中で、変化を求めた『Catch the Beer』

変化を求める。


年齢、性別、人間関係、育った環境。人間は、さまざまな要素によって構成されている。中には外界的要因が大きく、自分だけではどうにも変化させられないものもあれば、自分の意志一つで変えられるものもある。
変わっていくことが良いこともあれば、変わらないことが良いこともある。
それでも、どうしても人は変化を求めてしまう。同じであり続けるのではなく、新しい自分に出会うため、新しい深みに出会うため。

1000年という時間。


そして変わらないものの中で変化をすること、新しい挑戦をすることは、容易なことではない。
鹿児島県からおよそ60km南に位置する屋久島。島のおよそ90%が森林となっていて、美しい自然が今もなお保存されている。

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そして屋久島は樹齢1000年を超える屋久杉の自生地としても有名だ。島のおよそ20%がユネスコ世界自然遺産に登録されていて、この屋久杉を一目見ようと、連日多くの人がこの巨大な離島「屋久島」へ足を運んでいる。
1000年以上もの間、訪れる人々を見届け続けてきた屋久杉の圧倒的な存在感。これまで一体何人が心を揺さぶられたことだろう。樹齢1000年を超える屋久杉を目の前にすると、人間とは、自分とはいかにちっぽけな存在であるのかと痛感させられる。
これこそが、1000年という時代を経ても変わらないものだ。


屋久島初のブルワリー『Catch the Beer』


そんな屋久島で、変化を求めた者がいる。それが、江川竜彦・きよこ夫妻だ。田舎暮らしに憧れ、綺麗な水に魅了され、千葉県からこの屋久島へ移住してきたのが2011年。

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それから時を経て2017年10月、いつかビールを造りたいという夢が形になった。
屋久島初のクラフトビールブルワリー『Catch the Beer』が誕生した。これまでビールは外のものを飲むという屋久島の人々の生活に変化をもたらした。
100リットルほどの小ロットで製造しているマイクロブルワリーであるため、ほとんどが島内で消費され、島外では入手困難なクラフトビールとなっている。
世界各国から入手している新鮮で香り高いホップ、そしてこだわりの麦芽。さらに副原料には、屋久島の特産品であるタンカンや枇杷、パンションフルーツ、そして自家栽培のコリアンダーシードやレモングラスなどが使用されている。
この大自然屋久島だからこその地の素材の味、風味が光るクラフトビールだ。
そして、全ての工程を手作業で行っており、ボトルコンディション(瓶内で二次発酵)製法を採用。絶妙な軽さの自然な炭酸と泡が特徴だ。
屋久島の苔やシダ、土壌などから採取された「屋久島天然千寿酵母」が瓶の中で生き続け、人工的ではなく、自然に発泡するのだ。


SENJU


特に注目したい銘柄が『SENJU』である。「屋久島天然千寿酵母」とwyeast社の「3726 farmhouse ale酵母」を使用。通常の3倍という長い時間をかけてゆっくりと発酵されている。
副原料は、酵母の特長を殺さないようシンプルさにこだわり、自家栽培無農薬のレモングラスが使われている。

レモングラス


グラスに注ぐと少し濁りのある黄金色が美しいことに気づく。豊かな泡立ちの中から、フルーティーなレモングラスの香りが漂う。
香りの通りスッキリとした口当たりで、柔らかな酸味と苦味が穏やかに混じったような、スパイシーな味わいが印象的だ。フルーティーさの中にあるどっしりとした苦みもまた魅力的だ。
ボトルコンディション製法ゆえに、瓶をあけるまでの時間や気温などによって変化していき、一本一本微妙に違うものに仕上がる。そんな変化を楽しんでみるのもまた良いだろう。

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変化への、後押し。


人間とは、変化を求める生き物だ。そしてそれは江川さんご夫妻が製造するクラフトビールにも当てはまるものかもしれない。
変化とは時に怖いものである。しかしその怖さの先には、きっと私たちが見たことのない時間や空間が待っているはずだ。

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屋久島というずっと変わらない土台で育まれ続けてきた自然の中で、変化を求めて誕生した『Catch the Beer』は、変化を恐れる私たちの背中を押してくれるだろう。


文:フジタ マナ


・Instagram
https://www.instagram.com/catchthe_beer/?hl=ja
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