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大海より掬われるミネラルに誘われて 仙酔ドラフト

酒飲みは塩を求める


塩。それは酒飲みにとって手放しがたいものだろう。
味覚の足腰であり、まさしく食の生命線と言っても良い塩。
その加減によっては、絶妙にキレの良い酸味を醸し出す。
それにつられて人々は舌から喉へと酒を流し、いつの間にかベロンベロンになっている。

という風にこれを書いているだけで、
涎が止まらなくなっているのは秘密である。

日本酒を少量の塩を肴にして飲む人すらいると聞く。
どうやら口直しとして塩をなめたあと日本酒を飲むと、再び香りだかい風味を感じられるようになるそうだ。
(流石に高血圧、腎臓病が待ち受けていることを恐れずにはいられない)

そんな塩だが、
酒を飲むとなぜ塩辛いものが食べたくなるのか知っているだろうか。
決して単なる味の相性などのせいではない。
人は、アルコールの摂取後、それを足掻くように分解しようとするが、
そこで使われるのが亜鉛だ。
亜鉛は塩に多く含まれるため、もっと塩がほしいと求めることそれすなわちは必然であり、
人間の身体的にごく一般的なことなのだ。

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つまり、今回紹介するビールは人間の、いや、酒飲みの本能的な欲求に忠実に応えられるビールと言っても大袈裟ではない。塩分の摂取量に気を遣っているあなたにもおすすめできるだろう。
その名も仙酔ドラフト。クラフトハートブルワリーが製造している。

ミネラルそのもの 感謝の塩


クラフトハートブルワリーは株式会社クラフトハートピアが運営する広島県福山市仙酔島在所の醸造所だ。2015年にビール事業を立ち上げ、ベネフィットホテル福山にて販売を行っている。より身近にクラフトビールを置いてほしい、クラフトビールで日常を楽しんでいただきたい、この想いが実現できないか模索し続けているブルワリーである。

彼らのいる仙酔島という場所は、パワースポットとしても有名であり、坂本龍馬ゆかりの地でもある。「仙人が酔うほどに美しい」ということから付けられた名前で、所々に展望台が見られる。そこからの景色は、誰もが名前の由来に納得がいくものだと言われている。

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そんな仙酔島で造られるのが「感謝の塩」だ。
これは工房で一人の職人が作り出す、100%天然海水を使用した塩である。
海水から不純物を取り除く作業を手作業で行っているため、大量生産は極めて難しい。しかし、塩はキメが細かく仕上がる。
満干差4mにも及ぶ仙酔島にて、満干時のみ大量の海水を瀬戸内海から汲み上げたのち、大量の時間を用いて、文字通り手塩にかけてじっくりと煮込み続けて造られるこの塩は、口に含むと淡く甘みが感じられる。
健康にも良いとされ(100%海水からできた塩に限る)、ミネラルが足りないと感じているそこのあなたにも優しい塩であろう。酒飲みの必須アイテムとも言える。

その塩を贅沢に使用するのが、今回紹介する仙酔ドラフトである。

100%海水塩を使用 仙酔ドラフト


仙酔島で造られた感謝の塩を使用した仙酔ドラフト。
本来酒と塩は相性が抜群、だとしたらシンプルに入れてしまおうという魂胆でできたのがこのビールだ。
100%海水塩を使用することで塩ならではのコクと旨味が生まれており、華やかなホップの香りと相まって堪らない味わいを持つ。

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普段からビールを飲むときは塩味を本能的に求める人間にとって、
ホップと塩を合わせもったビールというのは止まらずに飲めてしまうのだなと思った。
後味に塩の重みがあり、そのことも飲み応えを増幅させる。
ブルワリーさんの思惑通り、まんまとおかわりにおかわりを重ね、しまいに自分がさっきまで酒の海底に沈んでいたかのように酒浸しになっている。

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そこでやっと気づく。
スタンダードであり特別、その二面性を併せ持つこのビールに関しては、
常に普通に飲んでしまうのではなく、
感謝の塩が誘発する自己の欲求を抑えながらも、感謝の塩たる何かを実感しながら飲むことが求められるのだと。

そのためおすすめの飲み方は、
一杯目は冷蔵庫でキンキンに冷やしてゴクゴクとスタンダートなビールの飲み方で爽快感を味わい、
二杯目は少し時間を置いてじっくり味わいながらチビチビ塩の旨味を確かめるように飲むことである。

塩と寄り添う


昔は賄賂として塩を送っていることがあったそうだ。
塩はお金と同等の価値があったのだろう。

現代においては、塩は調味料として位置づいているように、我々にとって塩の存在はもはや当たり前のものだ。
それは、味覚の最も前の方から下支えをしてくれる反面、
ほとんど常に口に含んでいるため、時として過分な塩が我々の身体に刃を向けることすらある。
しかし、そんな現代でも塩の存在を卑下することは不可能に近い。
塩は生きていく上で(特に酒飲みには)欠かせないものであり、これからもおそらく僕らの生活に何が何でも寄り添い続けるだろう。

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そんな風にして良かれ悪しかれ塩を当たり前に思っているからこそ、
たまには普通にスーパーに売っている惣菜を肴にするのではなく、
トリュフ塩などをつまみながらビールを飲んでみるのもいいと思う。

その前に、感謝の塩や仙酔ドラフトを試してみて欲しいとは思うが。


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