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個性の輝きを知る春限定醸造ビール  『九州CRAFT 金柑』

個性とクラフトビール

ひでじ新外観1000

個性的であろうとしなければならないという圧力をどことなく感じる中、個性とは何を指すのか、何を以て個性と呼ぶのか、その解釈は難しい。

他と異なろうとすること自体がもはや没個性であり、かといって奇をてらった思考や存在ははじかれる。ここ日本において、肯定的な意味合いをもって個性的であることは至難のわざだ。

そしてそれはまた、人間においてだけではなく、クラフトビールの世界でも同様のことが言える。

“drinkability(ドリンカビリティ)” という言葉をご存知だろうか。これはビールの評価基準の1つで、「飲みやすさ」と直訳される。ビールにおいて重要な要素の1つだ。癖がなく、さらりと飲みやすいビールが、ドリンカビリティの高いビールと言える。

24年の歴史の中で培われてきた、宮崎ひでじビールブランド

そしてこの ”drinkability” を、単に「飲みやすい」ではなく、「体が自然に求めてしまう」、「何杯飲んでも、美味しい」と解釈し、そんなクラフトビール生産を目指すブルワリーが存在する。

宮崎の北部、祖母傾山国定公園「行縢山(むかばき山)」の麓、森をぬうように清流が流れる豊かな自然の中に佇む宮崎ひでじビールだ。

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九州の豊かな自然環境の中で育まれる、上質な天然水とフレッシュな自家培養酵母を使用したクラフトビールが美味しい。また、「オール宮崎」目指したビール造りにも取り組んでおり、麦芽や酵母、そして醸造タンクまでも宮崎産を使用するというこだわりぶり。

モルトとホップのバランスを徹底的に追求し、スッキリとした飲み口と爽やかな苦味、やわらかいコクの調和が見事に実現した「太陽のラガー」をはじめ、まさに綺麗な味わいのビールがここ、宮崎ひでじビールから多数生み出されている。

宮崎ひでじビールは、1996年の創業以来、口蹄疫に鳥インフルエンザと次々に襲いかかる試練を乗り越えながらも、地域との関わりを大事にし、地域と共に世界基準を目指してきた。

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「日本らしさ」「宮崎らしさ」を追求し続けて20年、2017年に宮崎ひでじビールは、世界基準と名乗るにふさわしい賞を受賞した。宮崎県産和栗を使用したインペリアル・フレーバードスタウト「栗黒」が、イギリスで開催された「ワールド・ビア・アワード2017」にて、スタイル別世界1、そして最上位であるカテゴリー別世界1の「ダブル世界1」に輝いたのだ。

宮崎の名が世界に響き渡った瞬間だった。

新しいカタチ「九州CRAFT」

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前述したように、「個性」はここ日本において認識が漠然としていて、肯定的な意味合いで捉えられることが難しい。そしてそれはもちろん、クラフトビールにおいても同じことが言えよう。

他と違い、尖った個性的な存在は、ともすれば受け入れられない。

しかし、これまでに培ってきた圧倒的な基盤、クラフトビールとしての基礎の土台が固まっている宮崎ひでじビールだからこそ、個性が花開くのである。

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受賞の翌年の2018年に、宮崎ひでじビールが生み出した新しいクラフトビールのスタイル「九州CRAFT」。ドリンカビリティの高いビールでありながらも、1本1本、個性がきらりと輝いているブランドだ。

宮崎から九州へとフィールドを広げ、九州産大麦、ホップやフルーツなど、九州にこだわった原材料を使用。九州だからこそできる、九州の恵みを醸すビールブランドが誕生した。
ただ愛され、飲みやすいだけのビールを作るのではなく、既成概念の枠から離れ、これまでにはなかった九州の特産品と組み合わせるなど、地域の恵みを醸し、伝え、ジャパニーズクラフトビールの新しい可能性を探る。そんな、地域と共に創りあげるプロジェクトでもある。

麦畑にて

九州の素材にこだわり、主原料には九州産大麦、香り付けには九州産ホップを使用したラガーや、九州各地の柑橘や果物など、九州の恵みを凝縮したクラフトビールがラインナップされている。

伝統的なビアスタイルからは外れているかもしれない。しかし、宮崎ひでじビールという確固たる基盤の上では、それらは個性として輝くのだ。

THE・爽快感 フルーツエール「九州CRAFT 金柑」

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そして今回注目しているのが、「九州CRAFT 金柑」だ。冬の終わりから今にかけての季節限定で、宮崎にて旬を迎える特産品・金柑。宮崎の金柑でしか出せない上品な香りとほのかな酸味が次のひと口を誘う。その後にやってくるのは、金柑の香りと、爽快感。口の中いっぱいに宮崎の壮大な景色を感じることができる、産地ならではのフルーツエールだ。

そして、おそらく最初のひと口で感じていただけるはずだ。「あぁ、これこそが美しい個性だ」と。無理に目立とうとするでもなく、奇抜なことをするでもない。

ただただ「宮崎ひでじビール」らしく、ただただ「九州CRAFT」らしい。個性の本来あるべき形の「らしさ」を感じることができる。

自分らしく

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個性とは何なのか、それはきっと、飾らないその人「らしさ」の表現なのだろう。没個性と言われる由縁は、個性的であろうと根を詰めすぎるその焦りから来るものかもしれない。

ただ真っ直ぐに、自分らしさを表現することの大切さに気付かせてくれる、それが宮崎ひでじビールのブランド「九州CRAFT 金柑」だろう。

他と異なるもよし、他と同じもまた一興。自分の感性を信じ、自分らしく生きていたいものだ。

文 : フジタ マナ

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