マガジンのカバー画像

演奏動画

15
運営しているクリエイター

#無伴奏

Jacques Ibert / Piece pour flute seule - イベール/フルートソロのための小品

Jacques Ibert / Piece pour flute seule - イベール/フルートソロのための小品

イベールの作品を演奏するときは、脳裏にいつも地中海の景色が広がります。ハバネラ、フラメンコ、美しい夕日が沈む海岸・・・。ルイロット4代目と黄金期のオールドヘインズ、2本の古いフルートで吹きました。ヘインズはロットを継承したと言われていますが、現れる音楽には異なる趣があります。このロットは120年位前、ヘインズは60年位前の楽器です。これだけ古いと、楽器自身の意思で勝手に歌い始める時があります。それ

もっとみる

Luciano Berio / Sequenza I - ルチアーノ・ベリオ/セクエンツァ I

ベリオは、戦後の前衛音楽を代表する作曲家です。1958年に、名手ガッゼローニのために書かれた 「セクエンツァ I」 は、その後、ハープやヴァイオリン他、様々なソロ楽器のために書かれた 「セクエンツァ」 シリーズの1作目です。ここでベリオは不確定的記譜法を導入し、拍子や小節のない書法を作り出しました。何度演奏してもインスピレーションを促され、古さを纏うことなく色褪せない名曲です。いつものカメラと、i もっとみる

武満 徹/巡り -イサム・ノグチの追憶に-

友人の彫刻家であるイサム・ノグチの死を悼んで書かれた作品。たえまなく旅を続けた彼の生涯を象徴するかの様に、フルートは多くの異なった場所を放浪するかのごとく巡リ、苦しみのある響きがノグチへの深い思いを感じさせる。

イサム・ノグチの代表作、"energy void"には、20世紀の激動の時代に東洋人と西洋人の混血児で、しかも非嫡出子という出生から国際的な彫刻家に大成した、複雑で空虚な思いからの霊気が
もっとみる

クロード・ドビュッシー「シランクス」

「シランクス」は、ドビュッシーがムレイの舞台劇『プシュケ』の付随音楽として作曲したフルートの名曲です。シランクスはギリシャ神話に登場するパンの笛です。性豪の牧神パンが純潔の象徴でニンフ(精霊)のシランクスを見初め、それから逃れようとシランクスは川辺の葦になる。風が葦を通り抜け、悲しげな旋律を鳴らし、パンは葦を切り取って楽器を作る。「シランクス」はそんな物語のある音楽です。