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【映画】初恋だって笑わないで「麗しのサブリナ」

初恋は叶わないって、いつ誰が言い始めたのか知らない。だけど、初恋をしているときは「そんなことない」って思って生きてきた。女の子の多くがそうだと思うし、この映画のヒロインもそう。

ずっと好きって本気で言えなくなったのは、いつだった?

[あらすじ]富豪ララビー家の運転手の娘サブリナは、ハンサムな次男デイビッドに叶わぬ恋をしていた。身分違いを諦めさせたい父親のすすめでパリに留学。二年後、誰もが振り向く美しい女性に成長して戻ってきた彼女に初恋相手のデイビッドは…?

古い映画なので画面はモノクロ。身分違いって単語が出てくるたびに、ちょっと古めかしい雰囲気がする。たぶん、この時代のお金持ちと庶民の間にある隔たりって、現代の私たちには想像が難しいくらいの差。

運転手の娘でしかないサブリナも、初恋相手のデイビッドから「使用人の娘」くらいにしか思われていない。子どもの頃から知られているから、余計に女性扱いされないの。こういうところって、時代が進んでも変わらないのかも。

デイビッドは裕福な女性との結婚が決まっていたから、サブリナは恋を諦めて留学先であるパリへ旅立つしかなかった。

だけど、ここで折れないのがサブリナの魅力なのだ!

パリから帰ってきたサブリナは、洗練された美女に成長していた。そして初恋を諦めていなかった。婚約者がいるデイビッドを魅了した彼女に、堅物な長男ライナスも心を奪われて、ついに三角関係に!

ここまでで気づいたかもしれない。この映画は、富豪の長男次男との恋が描かれるシンデレラストーリー。しかもコメディという見やすさ抜群のシナリオで、二時間弱があっという間にすぎる面白さ!

主人校サブリナを演じるのは、みんな大好きオードリーヘプバーン。今も愛されているけれど、当時の熱狂ぶりも凄まじかった。映画が公開されると、女性たちがサブリナの格好を真似しだしたの。

雑誌やモードコレクションではなくて、映画が流行を生み出すってすごい。パンツスタイルが有名だけど、サブリナが遅れてパーティーに現われた時の刺繍入りドレスがおすすめ!

白い刺繍だと花嫁衣装に見えてしまうけど、ここでの刺繍は濃い色だから花嫁ではないって暗示なのかな。美しさと儚さのなかに、守られるだけではない強さが見え隠れしている気がして大好き。

さすがヘプバーン。上品で、愛嬌があって、画面にいるだけで華やぐから、次はどんな衣装なんだろうってワクワクしながら観られる。

見た目だけではなくて演技も魅力的。サブリナの心が変わっていく様子に心をつかまれた。子どもの時からの初恋が、いつの間にか「特別」でなくなってしまったと気づいた彼女の動揺に揺さぶられた。

彼女が選ぶのはデイビッドか、それとも…?

美しいサブリナの恋がどんな終幕を迎えるのか、ぜひその目でたしかめて!