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映画レビュー#018 『浅田家!』(2020年)

もう何年も前、ひと昔もふた昔も前のことだけど、社会人となり初任給でフィルムカメラを買ったのを思い出した。

母親が家族写真を撮るのが大好きで、子供の頃は本当に恥ずかしくて嫌だった。どこに行っても「はい、そこに立って」って言われて写真を撮られ、「もういいよぉ」って思っていたのを思い出した。

小学校低学年の頃まで、当時の家の近所にあった写真屋さんに行って、家族写真を撮ることがあった。七五三のようなイベントだけでなく、特にコレという理由がなくても年に1回ぐらい写真屋さんに行っていたと思う。「なんでだよぉ。めんどくさいなぁ」って思っていたのを思い出した。

今思うといい両親だったな。父よ母よありがとう。


「あぁ、写真っていいな。デジタルでもデータで見るだけではなく、ちゃんとプリントしないとなぁ」って思わされる映画でした。

『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督作品。と書いていますがまだ観ていないんだ。観たいと思っていたんだけど。というわけで中野量太監督作品は初。
ニノの映画も初めて観た。映画というかドラマ含め演技観るの初めて。嵐は好きだけど、嵐のメンバーが出ている映画やドラマ観たことはなかった。
ニノ、良かった!

映画は木村伊兵衛写真賞を受賞するまでの前半と、3.11以降、写真洗浄活動に取り組む後半で雰囲気が変わるのだが、浅田政志その人の視線や浅田家みんなの温かみのある距離感は変わらず、辛い場面があっても最後まで優しい気持ちで観ることができた。

写真って何だろうな。なんで私の母親はあんなに写真を撮ってアルバムに纏めていたんだろう(もう手元になく見れなくなってしまったことに対して、ずっと小さな後悔がある)。
ただその場面を切り取っただけなのに、それだけじゃないのはわかっている。でもそれ以上踏み込んで考えるとわからなくなる。だから写真って好きだな。カメラも好きですが、やっぱり写真が好きだなって改めて再確認できた感じ。

浅田家の皆さんが魅力的すぎる。父親も母親も兄もみんな好き。みんな優しさと強さが交互ではなく同時に塊となって発せられている。なんだろうなあの家族。
若奈ちゃんも大好き。いい人すぎ。そして政志のこと好きすぎ。素敵な二人だった。
それ以外にもいい人ばかり出てくるけど、グッときたのが出版社の社長さん。すごく良かった。
菅田将暉、渡辺真起子、北村有起哉などもみなさん存在感あって良かったです。

劇中で使われる浅田家の写真、写真集とそっくりだな、と思っていたらやはり浅田政志本人の撮影によるもので、しかもパンフレットには写真集レベルでしっかり掲載されているので、パンフレットおすすめです!
写真集は見たことあるんだけど、持ってないので買おうかな。

しばらく使っていないフィルムカメラを持ち出すか、デジカメでもiPhoneでもいいけどデータで保存してある写真をプリントするか。何かしたいなぁと思わせる映画でした。あ、何ならチェキ持ち歩くのでもいい。プリントして「モノ」となった写真が欲しくなりました。

写真って動かないし音も出ないけど、動画以上に動きや空気が伝わり、音が聴こえてくるのが魅力。背後にあるストーリーも全部伝わる。

鑑賞日2020年10月17日(劇場)

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