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暮らしに活かす野口整体あれこれ



□暮らしの中でのちいさな負担を探す


整体教室では、よく使う手技から愉氣、疲れにくいからだづくりの氣功体操などをお伝えし、施術でも、施術後にはその方に合った
ご自宅でやって欲しい整体術をお伝えしています。

野口整体を『暮らしに活かす』とは、
『日常のどういったシーンで、何をしたら良いのか』を選択し、実際に自分でやれる。
ということが大切。
また手当てや愉氣を行うだけでなく、不調をうまないような生活の見直しが必要な場合もあります。たとえば、エアコンとの付き合い方や、食や衣服の選択、時間の使い方、住まいの環境を整えることです。

肩こり、首こり、腰痛、膝の痛み、便秘などの不調や、
名前のつく病、
たとえばガンや認知症、鬱だったとしても、
自身の暮らしで積み重ねた、一見ちいさな負担の数々が生み出したものです。

病の最中であろうとも、身体は常に
『良くなろうとしている渦中にある』
ということを忘れてはなりません。

整体には、さまざまな技があります。
痔の調整や、逆子のなおしかた、火傷の治療など、そんなことまで整体の技が使えるの?というものや、一生使いそうにない変わり種の技まであります。


逆に、実際に施術でも使う頻度が高く、ご家庭でもやりやすい整体の技は多くあります。必ずしもそのシーンごとにその部位に反応があるわけではありませんが、その点をふまえて、ご自身の身体を触れてたしかめるキッカケにして下されば幸いです。

今回は施術でもよく使う、現代人の
日常のお困りごとシーン別で手当て法をいくつかご紹介します。





シーン1□食べ過ぎ、飲み過ぎのとき□


食べ過ぎ、飲み過ぎが積み重なりによって引き起こされる不調、病は現代人にとても多いんです。

例えば肩こり。
整体では、頚椎6.7番の三側、下頸という場所があります。ここはお腹が疲れてくると張る場所で、肩に位置しています。
同じように、腰にもお腹が疲れると張る場所があります。張って痛む腰を揉んで、一時的に良くなったとしても、食べ過ぎ飲み過ぎによるお腹の疲れが改善されなければ、同じ不調を繰り返します。

毎日一升瓶を空けているとか、
毎日カップラーメンや甘いものを食べているとか、悪習慣として定着してしまっているほどであれば、腹をくくって不必要な習慣は見直す必要があります。

わたし自身も食べることが大好きです。
焼き芋、たこわさ、だし巻き、山椒、鳥刺し。
好きなものは沢山あります。

一日の活動量が多ければ、腹が減り、
一日の活動量が少なければ、腹は減りません。
歳を重ねて活動量が落ちてくると、食も細くなるのは当然のことです。
「12:00だからお昼ご飯を食べよう」
というように、時間で縛って食べたりせず、
お腹が空いた。という身体的な要求が出てから食べる。ですから、食べる回数、量、食事内容、決める必要はありません。
たまにはカップラーメンも、甘いものも食べます。その代わり、食べ過ぎ飲み過ぎた不必要なぶんは、整体をして排泄できる身体にしておくようにしています。

ではまずは、
□甘いものを食べ過ぎた
□辛いもの(刺激物)を食べ過ぎた
□外食が続き味の濃いものばかり食べ過ぎた
□お酒を飲み過ぎた、二日酔いを避けたい
□中毒症状や、薬などの副作用を緩和したい


そんな時によく使う整体術がこちらです。

□肝臓の調整 (整圧・愉氣)


肝臓は、栄養分を分解、貯蔵する役割をしています。食べものを消化する胆汁を出したり、有害なものを解毒するはたらきもしています。

肝臓のはたらきの良し悪しは、肝臓自体の弾力、やわらかさにあらわれます。圧したり、愉氣をすると、かたく働きが鈍った肝臓が本来の働きを取り戻してくれます。


肝臓の整圧
呼吸によるお腹の浮き沈みにあわせて
圧をかけてパッと抜きます。
(長野県松本市での整体教室にて)
相手の肝臓側に正座して行います。
触れ方、圧する、型など、
さまざまなコツがあります。



肝臓は、右肋骨のすぐ下。
自身の手のひらより少し大きいサイズです。


また、記事では紹介しきれませんが、
肝臓の経絡、ツボ(整体では調律点といいます)は脚にも多くあります。肝臓自体の愉氣や整圧のみならず、脚の観察も実はとても重要です。


足の水掻きの分厚さの観察・調整。
冷えたときも分厚くなり、
愉氣をするとうすくやわらかくなります。
足の水掻きの調整でも
触れ方や型、意識、目線などが重要です。
愉氣のやり方、刺激のいれ方を学ぶことで
疲れにくく美しい所作がおのずと
身についてきます。
(長野県上田市での整体教室にて)


続いて、

□浮腫みを解消したい
□肝臓のとき同様に食べ飲み過ぎた
□リンパが張っているとき

そんな時によく使う整体術がこちらです。

□腎臓の調整 (脇腹ひっぱり・愉氣)


腎臓は、血液を濾過して、余分な塩分や水分など老廃物を尿として排泄するはたらきがあります。腎臓の疲労が溜まると、腎臓周辺のお肉、脇腹がかたくなります。例えば、たくさんお酒を飲んで脇腹がいつもよりかたくなったときは、やわらかくなるまでひっぱっておくと、翌日お小水が出やすくなり、二日酔いになりにくくなります。


脇腹のかたさ比べ
様々な人の脇腹に触れると
やわらかさが人によって
全然違うことがわかります。
お酒を飲む前、飲んだ後でも
脇腹のかたさは変わります。
続けているとだんだんやわらかくなります。
脇腹ひっぱりは初心者の方でも
実践しやすく、おすすめです。


腎臓の場所は、腰の少し上。
自身のにぎりこぶしサイズで、左右に2つあります。

腎臓は、自身のこぶしサイズの臓器です。
愉氣や手当ての際には、実際に臓器は
見えませんが、細部までイメージして
氣を通すと、通りがよくなります。


また、腎臓は腰椎3番という腰の骨と関係が深く、この腰椎3番はからだを捻る動きをするときに動く骨です。
つまり、逆をいうと、からだをよく捻っていれば、脇腹もやわらかくなり、腎臓に刺激が加わり、活性化させることが出来ます。


捻る動きの補助


また、リンパ節を直接調整するセルフケアとしてやわらかいボールの使用をオススメすることもあります。
腋窩リンパ(脇下)を調整すると、腕の上げ下げが格段に楽になる方もいらっしゃいます。

mikasa
プレイグラウンドボールという
子供用のドッヂボールで
腋窩リンパの調整




シーン2□眠りが浅いとき□

眠ったつもりでも、1日の疲れがその日のうちにとれない。
その積み重ねから引き起こされる様々な不調や病も多くあります。

眠りが浅くなる原因は、
大きく分けて2つのパターンである可能性が高いです。

1つめは、頭の疲れ。
つまり、頭が忙しいという状態。
2つめは、呼吸器(胸部)の疲れ。
つまり、呼吸が浅くなっている状態です。
または、その両方である場合も多くあります。




□頭の調整(頭蓋骨の溝そうじ、愉氣)

頭の疲れは、頭皮のやわらかさにあらわれます。
頭皮がほどよく動くかどうか確認するのもいいですし、頭を叩いてみて音の高低を聞いて疲れ具合をはかることも出来ます。
(美味しいスイカを見分ける時と同じように)

寝不足が続いたり、鬱状態で頭がボーっとした状態が慢性化すると、頭が弛緩し、頭皮がブヨブヨになり膝のお肉くらいつまめるようになります。

逆に、頭が忙しく緊張した状態が続くと、太鼓の皮のように頭皮がはりつめ、叩いて音をたしかめるとカンカンと、甲高い音がします。


さまざまな人の
頭皮のやわらかさを比べてみます。
(愛知県名古屋市での整体教室にて)
頭を叩いてみて
音の高低を聞いています。
緊張しているか、
弛緩しているか。

頭の調律点もいくつかありますが、よく愉氣をするのは、後頭部です。
風邪をひいて発熱したとき、熱を上げきるためにも後頭部に愉氣をします。

また、頭蓋骨は5つの骨から出来ていて、
その骨と骨とのつなぎ目、ラムダ縫合と呼ばれる溝を掃除するように愉氣をしながら親指をスライドしていく手技なんかもあります。

頭の疲れも、頭のみならず、
手腕にも頭の調律点がありますので、結局は全身を検査、調整していくことになります。

上肢第二調律点
合谷というツボです。
頭・胃・腸の調整につかいます。


□呼吸器の調整(メンタル、心臓、胸部)


『呼吸器』と一言にいっても整体でさす呼吸器というのは、呼吸器である肺に加えて、心臓、メンタルなども含まれます。
不安や緊張から、勝手に心臓がドキドキしたり、自然と胸に手を当てていた。という経験は皆さんあるのではないかと思います。

呼吸器の疲れによる代表的な不調が、アトピー性皮膚炎です。
小児性のアトピーにお困りの親御さんのご相談など多いですが、アトピーは肝臓や腸のはたらきを意識して食生活を見直ことも大切。
しかし一方で、呼吸器の疲れをオフしてあげることも同じくらい大切です。
呼吸器の疲れ、
つまりメンタル面、精神面です。
お子さんの食生活を気にするあまりきびしくあれこれ注意していたり、
アトピーを心配しすぎて親が子離れ出来ずに過保護でいると、子どもの心の欲求自体が小さくなり、知らず知らずの間に抑圧され、

デトックスが出来ない。出したいものを出せない。
→老廃物を呼吸器(皮膚)から出す 
という症状がうまれます。
親子関係の在り方も、身体に関係してくるという一例です。


呼吸が浅くなる原因もさまざまで、
□メンタル、精神的な疲れ
□加齢による心臓の疲れ
□季節的な理由(湿度が高い梅雨や夏の時期で息苦しいなど)による呼吸器の疲れ
□運動のし過ぎによる呼吸器の疲れ
□筋トレなどでついた胸筋がつきすぎて、胸の動きが悪くなっている
などが考えられます。

原因によってアプローチも変わってきますが、やはり便利なのは愉氣です。
胸と背中をはさむように手当てをします。
息を吸うと胸が膨らみ、
息を吐くと胸がしぼむ。
その浮き沈みの動きが大きくなるまで行うのが、ひとつの目安です。

運動的なアプローチとしては、
肩胛骨の可動域が広がると、呼吸もしやすくなります。
肩胛骨の調整の手技もありますが、
手軽なセルフケアとして肩胛骨回しを入念にやっていると、呼吸も深くなり肩こりの改善も多く見られます。

また、マニアックな技で、
尾骨の調整という技もあります。
犬や猫には尻尾があり、驚いたりこわがったりすると、尻尾をくるんとまるめます。
同じように、人間にも退化した尻尾が残っていて、それが尾骨です。

なにかショックなことや、突然の事故など、
予期せぬことが起こった時に尾骨がまるまり、そのままになってしまっている方がいます。
尾骨の丸まりを調整すると、自然と呼吸が深くなります。





□まとめ : すこやかさの秘訣は、庇いすぎずに好きに生きること


今回は、
シーン1 食べ過ぎ飲み過ぎの時
シーン2 眠りが浅い時

二つの日常のお困りごとで使う整体あれこれについて書きました。

いずれも小さなお悩みととらえられがちですが、その積み重ねや身体の各部位の偏り疲労が、様々な不調やこりの要因になる。
ということがお分かり頂けていれば嬉しいです。

整体のあれこれを暮らしに取り入れる大前提として、
□身体に真摯に向き合うこと
□忙しい日常で時間がとれないならば、自身の身体に時間をさけるような工夫をまずすること
□『自ずと良くなる』というのは、早く良くなるスピード感が大切ではありません。自身の身体の成長を『余裕をもって待つ』姿勢を大切にすること

以上が重要になります。

手数は本来少なければ少ないほど良いです。
整体にかける時間は少なければ少ないほど、やりたいことに専念出来ますし、少ない刺激で身体が自ずと良くなるようになります。
不調が多く重度であるほど、身体にかける期間はある程度必要になります。

肝臓がどこにあるかわかる、ツボや経絡を知っている。
知ることは必要ですが、それだけでは身体は変わりません。なにか不調でお悩みなら、実際にやってみるしかない。
どうせやるなら、改善するまで楽しんで続けられる方法を選ぶほうが幸せだとわたしは思っています。



すこやかな小さな子どもは、重さやだるさ、不調なんて感じず遊んでばかりのものです。私たち大人もそうだったはずです。本来人間というのは、好きなことしか続けられない生き物です。

自発性な要求を大切にして、
腹が減れば食べて、
眠たければ寝て、
動きたいように動く。働く。
それが自然な人間の姿です。

すこやかさが目的になって、ルールに縛られ、好きなことをないがしろにしては、本末転倒です。
好きなことを思いきりやり続けて幸せに生き抜くために、整体を活用して下さい。


本日も、ありがとうございました。


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