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東京オリンピック陸上競技/女子10000m決勝

日本人選手が出場する、国立競技場での陸上競技最終種目となった『女子10000m』決勝。

日本からは、新谷仁美選手(積水化学/岡山県出身)、廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ/長崎県出身)、安藤友香選手(ワコール/岐阜県出身)の3選手が出場。

今大会、国立競技場では、日本女子選手の頑張りが目立っており、このレースも目が離せない種目。

3選手の中で、廣中選手は、『女子5000m』予選で自己記録を更新し、同決勝では日本記録も更新していますが、2レース続けて14分台で走った疲労の度合いが気になるところ。

この種目の注目は、昨日の『女子1500m』決勝で銅メダルに終わり、三冠の夢は消えたものの、中長距離三種目でのメダル獲得のかかる前・世界記録保持者のシファン・ハッサン選手(オランダ/29分06秒82)と、現・世界記録保持者のレテセンベト・ギデイ選手(エチオピア/29分01秒03)の今季ハイレベルな世界記録更新している2選手の対決で、昨年、日本記録を大きく更新した新谷選手のタイムも30分20秒44と驚きましたが、この2選手の記録は衝撃的な世界記録更新でした。

シファン・ハッサン選手は、このレースが6レース目と疲労が残っているのに対し、5000mの世界記録保持者でもあるレテセンベト・ギデイ選手はこの種目1本に専念ですから負けられないところです。

スタートすると、日本選手の廣中選手が先頭に立ち、新谷選手が2番手につく展開となりましたが、廣中選手のペースが速いこともあり、新谷選手は集団の中に入り、1000mの通過は3分02秒93。

新谷選手は追い込みすぎるところがあり、メンタル面が気になりましたが、ずるずると後方に下がっていき、集団から遅れていきます。

廣中選手の2000m通過も6分04秒台と、1000m3分2秒前後のハイペースでレースを進めます。

ここから、ペースがやや落ちて、2800mを過ぎると、レテセンベト・ギデイ選手が先頭に立ち、3000mを9分10秒台の通過、廣中選手は5番手で粘ります。

新谷選手の集団は、9分22秒前後での通過した様子。

先頭集団は、4000mを12分10秒台と、一気に1000m3分にペースアップし、廣中選手は集団後方で粘りますが、じわじわと離されていきます。

中間点となる5000mを先頭は軽々と15分08秒23と更にペースアップし、5人にまで絞られました、廣中選手は早くもトレードマークの帽子を外し、15分15秒台で8位争いを繰り広げていました。

新谷選手は15分54秒台で22番手くらい、安藤選手が15分57秒台で25番手ぐらいと、かなり苦しい状況となっています。

リタイアする選手が次々出るような気象条件の中、先頭集団はビルドアップしていくようにペースアップし、6000mを18分04秒と異次元の走りで4人にまで絞られます。

7000mを過ぎると、先頭争いは3人に。
レテセンベト・ギデイ選手の後ろをピタリと、シファン・ハッサン選手がついていきます。
3番手のバーレーンの選手も、シファン・ハッサン選手と同じ、元々はエチオピア出身で、エチオピア選手の素質の高さがうかがえます。

3人になってからは、先頭集団のペースは落ち、ラスト1周勝負に。
レテセンベト・ギデイ選手は先頭を引っ張り続けて、途中イライラしているような所も見せていましたが、余力はなく、残り100mの争いを制したのシファン・ハッサン選手で29分55秒32、2位に29分56秒18でカルキダン・ゲザヘグネ選手(バーレーン)と上位2選手が、蒸し暑い気象条件の中で30分を切るハイレベルな結果となりました。

日本勢は、序盤のハイペースを作った廣中選手が、先頭から落ちてくる選手を拾っていきながら、後半も粘って、31分00秒71の自己新記録で7位入賞。
オリンピックの大舞台で走った3レース全てで自己新記録をマークできたのは、大きな自信につながったのではないでしょうか。

新谷仁美選手は22位、安藤選手は23位と、4人の途中棄権者が出る中、最後まで走り切りました。

国内レースでは、次々に他の選手を周回遅れにしていく新谷選手が、周回遅れになったのは衝撃的でした。
日本代表になったからには走り切らないといけないという強い意識があったとは思いますが、精神的に走れる状況ではなかったのかもしれません。
これが最後ではなく、また、強い新谷選手の走りを観られることを、一ファンとしては願うばかりですが、少しゆっくりと猫に癒されて、心身が充実した状態の新谷選手を待っています。

安藤選手も、マラソン代表を目指していたところから、10000mに切り替えて、スピードへの対応という点で後れをとってしまいましたが、次のレースに気持ちを切り替えて、駅伝やマラソンでの活躍を期待したいと思います。