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資生堂が16年ぶりのV!!

本日、令和4年12月27日(日曜日)に開催された『第42回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝)』は、資生堂が大会記録(2時間13分3秒)を更新する2時間12分28秒で、創業150周年の年に16年ぶりの優勝を飾りました。

『第1区』で木村友香選手が強い向かい風が吹く中、序盤から独走し一気に優勝への流れを作りましたね。
これぞまさに『駅伝』というレース展開を見せて、『1+1』が『2』以上になる強さが光ったレースだったと思います。
『第3区』を任された東京オリンピックマラソン8位の一山麻緒選手は、『マラソン』では結果を残す中、本来得意としていた『駅伝』に対して不安を抱える中、大量リードをもらって精神的には余裕を持てたことが、逆転されても大きく引き離されなかった要因でもあった気がします。
『第5区』を昨年に続き任された五島莉乃選手は昨年の自身の記録に挑み、若干力が入りすぎている気がしましたが、その積極的な走りが、2位以下を大きく引き離すことにつながったので、また一段階上のレベルでのトラックレースも期待できそうです。

2連覇を逃し、準優勝に終わった積水化学は、エースの新谷仁美選手が、『第3区』で、廣中璃梨佳(JP日本郵政グループ)の中学時代から続いていた『駅伝』での連続『区間賞』を止めましたが、『個人』としては結果を残しましたが、先頭を追いかける展開の中、『駅伝』というレースとしては序盤に廣中選手にリードを許してしまったことが、資生堂を相手に貯金を作れなかったように感じました。
『マラソン』で『日本最高記録』に挑戦する通過点というのもあるのでしょうが、以前のような後半潰れるのを恐れない走りが見られなかったのは、一ファンとして少し残念でした。
それでも、昨年優勝のゴールテープを切ったアンカー『第6区』の佐々木梨七選手は、昨年とは違い2分以上の大差をつけられてもらった襷を受け、昨年に続く『区間賞』を獲得し、資生堂との差を詰めてゴールしたのは強さを感じましたね。昨年の自身の記録を上回り、区間歴代最高まで6秒まで迫る好タイムでした。

3位に入ったJP日本郵政グループは、『第1区』の和田有菜選手が区間6位とやはり駅伝に強いところを見せたことと、エース区間の『第3区』で、廣中選手トップに立ったことが大きかったですね。
こちらも優勝した資生堂と同様に『駅伝』らしいレースを見せてくれたチームだったと思います。

今大会、最も『駅伝』の醍醐味を見せてくれたのが4位に入り、目標としていた来年のシード権獲得となる『クイーンズ8』を上位で決めたエディオンだったと思います。
特に、オリンピック代表が揃った『第3区』を任されたキャプテンの西田美咲選手の粘り強い走りが、後半の追い上げにつながったと思います。
前半は九電工の選手の後ろにピッタリとついて体力を温存し、パナソニックの選手に逆転を許しましたが、区間9位としっかりとまとめたのはベテランらしい走りだったと思います。
後半のエース区間を昨年続き任された細田あい選手が、区間2位の快走で一気に順位を上げると、アンカー区間の『第6区』では、デンソーから移籍してきた新戦力の矢田みくに選手が『第6区』でダイハツとのデットヒートを制して区間3位の走りを見せており、今後の更なる飛躍が期待されるチームだと感じました。

5位のダイハツは、『第1区』の松田瑞生選手が区間5位と上位でタスキを渡してくれたことと、『第3区』のエース区間を任された加世田梨花選手がオリンピックランナーに物怖じせずに積極的に食らいついた走りで区間3位と上位に食い込んだことが大きかったですね。
エディオン同様に、若手とベテランがバランスよく襷をつないだことが、昨年に続く5位で『クイーンズ8』に入ったことにつながったと思います。

6位と大きくジャンプアップした豊田自動織機は、実業団駅伝デビューとなった『第1区』の田中希実選手が、木村選手のハイペースにはついていかず、昨年区間賞を獲得した岡本春美選手(ヤマダホールディングス)と2位グループで進め、区間2位と好発進したことが大きかったです。
終盤の『第5区』・『第6区』は、それぞれ区間13位・12位と我慢のレースとなりましたが、最小限の遅れで済みました。
今回補欠に回った後藤夢選手とともに、トラックが主戦場の選手の活躍がチームに勢いをつけてくれた、お手本のようなレース展開でした。

7位のパナソニックは、1区こそ13位と出遅れたものの、続く『第2区』はベテランの内藤早紀子選手が『区間賞』を4人で分け合ったものの、9位にジャンプアップして反撃の狼煙を上げると、復調してきた『第3区』の渡邊菜々美選手が区間5位と力走し7位まで上げると、こちらも序盤でレースの流れを作る、教科書通りのレースを進めることができました。
以前は連覇もしたことのあるチームなだけに、『クイーンズ8』に入り、予選かとなる『プリンセンス駅伝』を免除になったことで、来年は本選となるこの大会に合わせた調整ができるので注目ですね。

『クイーンズ8』最後の1枠の争いは、最終区間で逃げる九電工を逆転して、第一生命グループが獲得しました。
若手の選手が伸びてきたと思ったら故障するという悪い流れが続いていて、ここ数年シード権を失っており、山下佐知子監督は背水の陣で思いで大会に臨んでいたのではないでしょうか。
序盤から終盤にかけて、ずっと我慢の展開で、僅かに入賞圏外でレースを進めていましたが、その我慢が実った形となりました。
エース区間の『第3区』で小海遥選手が区間4位と好走したことも大きかったと思います。
こちらもエディオンパナソニックと同様に予選会が免除されるので、来年は上位争いが期待されます。

5秒差の9位と僅かにシード権に届かなかった九電工は、来年もまた予選会に回ることになりました。
過去には、九州の実業団は強いチームが多かったイメージがありますが、今大会に出走できたのは僅かに2チーム。
予選会では、古豪の京セラに本大会出場目前で棄権となるアクシデントはありましたが、九州勢の活躍を往年の駅伝ファンは待ち望んでいるのではないでしょうか。

総合結果

優勝 資生堂 2時間12分28秒
2位 積水化学 2時間14分29秒
3位 JP日本郵政グループ 2時間15分15秒
4位 エディオン 2時間15分47秒
5位 ダイハツ 2時間15分49秒
6位 豊田自動織機 2時間16分15秒
7位 パナソニック 2時間16分26秒
8位 第一生命グループ 2時間17分39秒

区間賞

【第1区】区間歴代最高タイム:23分21秒
 木村友香選手(資生堂):23分29秒

【第2区】区間歴代最高タイム:10分7秒
 佐藤成葉選手(資生堂)、卜部蘭選手(積水化学)、太田琴菜選手(JP日本郵政グループ)、内藤早紀子選手(パナソニック):10分11秒

【第3区】区間歴代最高タイム:33分20秒
 新谷仁美選手(積水化学):34分8秒

【第4区】区間歴代最高タイム:10分53秒
 ジェプングティチ・ジュディ選手(資生堂):10分54秒

【第5区】区間歴代最高タイム:31分28秒
 五島莉乃選手(資生堂):31分40秒

【第6区】区間歴代最高タイム:20分48秒
 佐々木梨七選手(積水化学):20分54秒

こうしてみると資生堂は『区間賞』を6区間中4区間もとっていますし、2位の積水化学も3区間で『区間賞』を獲得しているので、やはり『2強対決』と言われていたのは間違いではなかったのでしょうね。
総合力で中盤『2強対決』に割って入ったJP日本郵政グループは、中学時代からの連続『区間賞』記録こそ途絶えましたが、重荷にも思えた枷が外れたであろう廣中選手の今後の活躍がますます楽しみですね。

今大会で『クイーンズ8』に入れなかったチームはもちろんのこと、予選会で敗退してしまったチームの選手の皆さんの巻き返しを期待して、来年の大会も楽しみにしています。