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適応障害は逃げでも甘えでもないという話【少しでも理解が広まりますように】

皆さん、本日もお疲れ様です。

こぺ(@otohumental_ko)です。
この記事を訪れていただき、ありがとうございます。

僕は2019年8月末に初めて適応障害と診断されました。
そして、休職→復職→再休職を経て転職し、2020年5月から現在の会社で勤務しております。
しかし、2020年10月に適応障害が再発してしまいました。2020年12月より休職する運びとなりました。

あなたは今、このような疑問や不安を抱えていませんでしょうか?

・適応障害と診断されたけど、これで休むのって逃げかも...
・周りの人は頑張っているのに私だけ苦しいのは逃げ?甘え?
・適応障害で休んでる奴いるけどただの甘えじゃないの?

「適応障害」

最近、この言葉もうつ病同様、聞いたことのある方が増えていると感じています。
それに比例して適応障害を患い苦しむ方や、もしかしたら適応障害ではないかと不安に思う方も増えてきたのではないでしょうか。

しかしそんな中、まだまだ世間の適応障害に対する理解が追い付いていないように思います。「うつ病とは違うから平気」といったような軽い捉えられ方すらされている印象を受けます。
※うつ病ですら甘えという人もいるようですが

適応障害は決して逃げでも甘えでもありません。

そのため今回は、精神疾患の中でも特に甘えだと思われがちな適応障害とはどんな病気なのか、そしてなぜ甘えだと思われてしまうのかを、僕自身の経験も参考にしつつお伝えしようと思います。

「適応障害は甘えだ」といった誤った認識は当事者を苦しめ、より大きな問題(うつ病や自殺など)に発展するリスクを含んでいます。

この記事を読んで、適応障害で苦しむ方が少しでも楽になったり一人でも多くの方が適応障害について知ってくれたりしたら幸いです。

※僕は専門医ではないので様々な医療機関のサイトを参考にしています。引用等が多くなってしまうかと思いますが、可能な限り誤った情報の拡散を防ぐためですのでご了承ください。

また、この記事の内容も絶対的なものではなく、一意見として捉えていただければと思います。

では書き進めてまいります。

逃げや甘えだと捉えられがちな適応障害とは

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適応障害という言葉は知っていても、実際どんな病気なのかを知っている人は少ないと思います。
そこで適応障害について知っておいてほしい特徴を、以下の4点に分けて簡単にお伝えいたします。(既に知っているという方は飛ばしちゃってください)

◆適応障害の概要
◆適応障害を発症する原因
◆適応障害の治療法
◆適応障害とうつ病との違い

読んでみて、もし思い当たる節のある方は医療機関(心療内科・精神科)の受診を検討してみてください。早期の対応が症状の悪化を防ぎ、回復期間も短くて済むようになります。

僕は会社に向かおうとする途中で息切れや動悸、突然涙が出てくる、脚が動かなくなる等の症状があり、心療内科を受診しました。あなたには、ここまで状態が悪化する前に足を運ぶことをオススメいたします。

◆適応障害の概要

適応障害とは、ICD-10(世界保健機構の診断ガイドライン)によると「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。
(引用:厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス)

つまり環境の変化や人間関係など、ある特定のストレスが自分のキャパシティを超えてしまうことが引き金となり発症するんですね。
※結婚や昇進などの本来ポジティブに捉えられることでも、その変化に耐えきれなければ大きなストレスとなり得ます。

どれだけストレスに強い方であっても、それを超えるストレスがかかれば適応障害を発症する可能性は十分にあります。

そして抑うつ感や焦燥感、不安やイライラといった精神的な症状に加え、動悸や頭痛、全身の倦怠感などの身体的な症状も現れ始めます。

また、物事に集中できなくなったり飲酒が増えたりするなど、能力の低下行動面の問題が現れる場合もあります。

◆適応障害の原因

適応障害は原因となるストレス要因が明確な場合が多く、ストレス要因の発生から3か月以内に発症すると言われており、ほとんどのケースではそのストレス要因を取り除けば症状が治まります
(参考:はたらくヒントをお届け まいにちdoda)

適応障害と診断された方や、適応障害かもしれないと感じている方は3か月以内に起こった辛かったことを思い起こし、それを生活から取り除いてみましょう。

もし、職場等で相談しても取り除けない場合、休職・転職といった思い切った行動も視野に入れる必要があるかもしれませんね。

◆適応障害の治療法

ではどうやって治すの?という疑問が浮かび上がってきますよね。
ポイントは以下の3点です。

・ストレス要因の除去
最も効果的かつ重要なポイントです。原因となったストレスがある限り症状が改善されることはなく、悪化していく一方です。
まずは症状を和らげるためにストレス要因を除去しましょう。
・カウンセリング(認知行動療法)
ストレスから距離を置くと症状は緩和されますが、どんな環境にもストレスは必ず存在します。カウンセリングでは、ストレスに対する考え方や受け止め方といった自身の内面に焦点を当て、適応能力を高めていきます
・薬物療法
症状が治まらないことにはカウンセリングなどの段階に進むことができません。そのため不安感や不眠などの症状に対しては薬物療法が効果的です。しかし、根本的な解決には繋がりにくいです。
上記2つをしっかりと実践するのが望ましいです。

◆うつ病との違い

頻繁に混同される適応障害とうつ病ですが、両者の違いについては簡単に表で見ておきましょう。

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(出典:飯田橋メンタルクリニック うつ病と適応障害との違いについて)

最大の違いはストレスから離れた時の反応ですね。また、薬の効果についても違いがあるようです。適応障害と診断され、大量のお薬を処方されるようであれば、その効果や副作用についてはきちんと主治医の先生に確認しましょう。
適応障害とうつ病は同じだと思われがちですが、別物ということが分かっていただければ幸いです。

簡単にはなりましたが、これで概ね適応障害がどのような病気なのか理解できたでしょうか?

ここからは実際に、「適応障害は甘えなのかどうか」という本テーマに触れてまいりましょう。

結局のところ適応障害は逃げ?甘え?

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冒頭でも述べたよう逃げでも甘えでもありません!

何回でも言います。様々な意見があるとは思いますが、僕は「全くもって甘えではない」と考えています。

適応障害は適切な対応と治療を進めることで改善していくべき、れっきとした病気です。

甘えだと軽く考え、我慢したり放置したりするのは症状が改善しないだけではなく、更なる悪化の原因にもなります。

適応障害と診断されても、5年後には40%以上の人がうつ病などの診断名に変更されています。つまり、適応障害は実はその後の重篤な病気の前段階の可能性もあるといえます。
引用:厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス

上記のように適応障害はうつ病へ発展する危険性も含んでおり、早い段階で適切な対応によって改善する必要があると考えられています。

またしっかりと治療をせずに環境を変えても、同様のストレスに晒されてしまえば再発することもあり得ます。

そのため、病気の全てを外的要因のせいにするのではなく、ご自身の内面にいも目を向けていくことが重要です。そのためにカウンセリング治療などによって本人のストレスに対する適応能力高めていく必要があります

これだけ潜在的なリスクを含み、完全に治すにはしっかりとした治療が必要な病気であるにも関わらず”甘え”の一言で片づけられてしまうのはあんまりではないでしょうか。

しかし、世間には当然様々な見解があります。

僕も自分が適応障害を患うまではこのように思っていました。精神疾患はメンタルが弱い人間が甘えているだけであって、これまでの人生を普通に過ごしてきた自分とは無縁なことだと。

だからこそ辛い時にも頑張りましたし、気合いが足りないだけだと自分を責めました。そうすると、案外すぐに壊れてしまいました。

しかし身をもって適応障害を経験したことで、適応障害(その他精神疾患)は誰にでもなる可能性があるもの、かつ本当に辛く苦しいものだと認識を改めさせられました。

そしてその経験から、適応障害は決して”甘え”なんかではなく、気合いや根性だけでどうにかなるものではない!と声を大にして皆さんにお伝えしたいです!

適応障害が逃げや甘えだと言われる4つの理由

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ではなぜ、そんな適応障害が”逃げ”や”甘え”といったような捉えられ方をするのでしょうか。その理由は以下の4つだと考えています。

◆ストレス要因を取り除けば症状が改善される
◆同じ状況下でも問題なくこなせる人がいる
◆適応障害という診断に明確なラインがない
◆適応障害を患っている本人が甘えだと思っている

◆ストレス要因を取り除けば症状が改善される

恐らく最大の原因はこれでしょう。
適応障害の人はストレス要因を前にしたり、想像するだけでも「うっ」となってしまいます。しかし、それさえ取り除ければ回復傾向が見られます。

僕は休職中に飲みに行く元気もありましたし、基本家でもケロッとしていたので、「お前本当に病気かよ」とか「もう働けるんじゃない?」と言われたりもしました。

でもいざ復職のことや今後のことを聞かれると、呼吸が乱れ、不安や焦りで胸がいっぱいになってしまうんです。

確かに、「仕事に行くのは辛いけど遊びには行ける」という状態は甘えていると捉えられても仕方ないのかもしれません。

適応障害の最大の特徴ともいえる点が、甘えというイメージを助長してしまっているのかもしれませんね。

◆同じ状況でも問題なくこなしている人がいる

ストレスの許容量やストレス耐性は人それぞれです。
同じ仕事量や環境でも、それを苦痛と感じる人もいれば普通にこなせる人もいます

前職の営業時代、同じ支店で同期の女の子も僕と同じように飛び込み営業やテレアポを必死に行っていました。ほとんど仕事量や条件は変わらないはずだったんです。

でも僕は2か月で折れてしまいました。その後も同期の女の子は普通に仕事をしていましたが、僕は一向に立ち直れないまま会社を去りました。

こうした同条件やもっと厳しい条件をこなしている人がいる一方で、耐えきれずダウンしてしまえば周囲から甘えていると思われてしまう部分はあるかもしれませんね。

また、仕事は辛くて当然といった風習も、「頑張れるやつが偉くて頑張れないやつは甘えている」といった環境を生み出しているのではないでしょうか。

◆適応障害という診断に明確なラインがない

あなたはインフルエンザだと診断されたら会社に行きますか?
普通は行きません。このことに違和感を感じる人は恐らくいないはずです。

それはなぜか。明確にウイルスの陽性反応が出て、病気であると完全に認められるからです。

しかし適応障害の場合、そういった白か黒かといった明確な線引きはほとんどなく、診断もかなり難しいものなのです。

その点が他の病気とは異なり、「病院に行けば誰でも適応障害と言われる」「それは単なる甘えなのではないか?」という捉えられ方に繋がっているのだと思います。

◆適応障害を患っている本人が甘えだと思っている

100歩譲って、精神疾患を経験したことない人に「適応障害なんて甘えじゃん」と言われても「知らんくせによく言うわ」と思えます。

※相当傷つくので絶対に言わないでください

でも適応障害を患っている人は、自分自身で甘えていると考えがちです。

「ん?」と思うかもしれないんですが、この気持ちはよく分かりますしそういった方は本当に多いです。

同じ環境で同じ業務量をこなしている同期がいるのに、僕はすぐ限界を迎えてしまいました。でも仕事を休んでいたら体調が良くなりましたし、楽しいことも普通にできました。

これでも甘えじゃないのか?

大丈夫。それでも決して甘えなんかではありません。

今の環境や業務内容、人間関係があなたに合っていないため、それらが大きなストレスとなってあなたの限度を超えてしまっただけです。
休んだら体調が良くなるのもストレス要因から距離を置いた効果です。適応障害の特徴なんです。

ただ、相当苦しんでいるご本人が甘えだと思ってしまうくらいですから、周囲の理解を得ることは中々難しいことなのかもしれません。

以上のような理由からまだまだ逃げや甘えだと捉えられがちな適応障害ですが、この考え方では症状の改善どころか、更に重大な問題へと発展していきます。

適応障害を単なる逃げや甘えで片づけることのリスク

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適応障害を”甘え”という言葉で片づけてしまうと、下記のような問題が生じます。

◆治療に専念できず、うつ病などに発展するリスクがある
◆自己肯定感が格段に低下し、人と接するのが怖くなる

それぞれ見ていきましょう。

◆治療に専念できず、うつ病などに発展するリスクがある
適応障害も病気なので、当然治療を進めることで改善することができます。カウンセリングにより適応能力を高めたり、考え方に柔軟性を持たせたりすることで、次に同じようなストレスに晒された場合でも適応できるようになる場合があります。

しかし単なる甘えに過ぎないと考えてしまえば、当然病気として治療しようという気にもならないでしょうし、それを理由に休養をとろうともしないでしょう。

ただし、それではいつまで経っても解決することはありません。それどころか症状はますます悪化し、”うつ病”へと発展する恐れすらあります。
適応障害は病気であると認識し、今あるストレスから離れて休養をとり治療を進めましょう。

◆自分を認められず、人と接することが怖くなる
適応障害を患うと、以下のように自分のことを過剰に卑下することが増えます。

・どうして自分だけ頑張れないんだろう
・自分だけ休んでていいんだろうか
・使えない奴だと思われているんだろうな、、、等

その上で、適応障害は甘えだという考えに触れてしまえばどんどん自分のことを認めてあげられなくなります。

すると、全員が自分を「甘えた奴」という目で見ているような錯覚に襲われ、人と接することが怖くなります。回復する希望や再び社会に戻ろうという活力が失われてしまうんです。

このように適応障害を甘えと片づけてしまうことは、更に根深い問題を生み出す恐れがあることを理解していただき、ご自身にはもちろんのこと、他人に対する優しさを忘れないでいただきたいと思います。

まとめ:大丈夫。適応障害は逃げでも甘えでもないよ

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ここまで、適応障害という病気の概要や甘えだと捉えられてしまう理由などをお伝えしてきました。そして何度も申し上げますが、適応障害は単なる甘えではなく病気です。

このことを全ての人に理解してもらうのは難しいかもしれません。ほとんどの方には想像すらつかないかと思います。

しかし適応障害という病気はいつ誰が発症してもおかしくない病気です。だからこそこの記事を読んでくださったあなたには、適応障害が甘えではないということを理解していただきたいんです。

そしてご家族やご友人がなってしまった時には良き理解者として、決して甘えではないとお伝えして支えていただければと願っております。

「休んでいいんだよ」
「居場所はそこだけじゃないよ」

そう声をかけてあげましょう。近くにいてくれる人の一言で、当事者の気持ちのありようは大きく変わります。

僕もまだまだ適応障害と向き合いながら、精神状態に波のある日々ではありますが、皆さんと共に闘っていければと思っておりますのでよろしくお願いします。

今回の記事はここまでとさせていただきます。
お読みいただいた方々、本当にありがとうございました!
一人でも多くの人が心身共に健康であることをお祈りしております。

ではまた次回の記事で(^^)/



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