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ジェリー・ジェフ・ウォーカーと、ルッケンバックに住んでいた老人の話

ホンドクロウチという人の名前を不意に思い出してググってみたのだけれど、日本語では殆ど何も情報が得られなかった。なんだよクソみたいな情報は山ほどあるのに。

まあ確かにこんな人のことを調べようと思う人もまずいないだろうから仕方ないだろうとは思う。自分もこのホンドクロウチをうまく紹介できるほどにはよく知らない。

彼の美しい横顔はJerry Jeff Walkerの70年代後半のアルバム『A Man Must Carry On』の2枚組見開きジャケットで見ることができる。ライナーノーツを辿々しく読んでみたところによると、ルッケンバックに住んでいたジェリージェフの親友らしい。

このアルバムの中で、詩を朗読している肉声を聴くこともできるけど、いまだに何をしていた人なのかよくわからない。それでもその笑顔と、彼に捧げられているらしいジェリージェフの言葉から、もの凄く魅力的な人なのではないかと想像がつく。

写真のホンドクロウチはかなりの老人だが、この時ジェリージェフは30代だったはず。このテキサスのルッケンバックのゴーストタウンに住む老人に惹きつけられていたのは30代のジェリージェフだけではなく、ウェイロンジェニングス、ウィリーネルソン、ビリージョーシェイバーもそうらしい。

ジェリージェフの曲もいくつかこのホンドクロウチが所有するルッケンバックの施設で録音されたらしい。ニューヨークのFM局のDJが気に入ってヘビーローテーションしたところから人気に火がついたらしい「ミスターボージャングルズ」でメジャーデビューしていたジェリージェフは、それでも都会でスタジオミュージシャンと録音するのは嫌だったらしく、田舎でLost Gonzo Bandやお気に入りのミュージシャン達とのんびりとレコーディングするのが性に合っていたらしい。

彼の音楽を聴けばそれはとても頷ける。わたしがジェリージェフのことがとても好きなのは、彼がつくるオリジナルも彼がカバーに選ぶ曲も、彼特有のそんなのんびりした空気感がしっかり感じられるから。もちろんのんびりしているだけではなく、人間のあまりに人間らしいところをしっかり切り取って聞かせてくれるところが最高なんだが。

そんなジェリージェフが、ルッケンバックのゴーストタウンまで、ホンドクロウチに会いに通っていた理由が多分色々あるはずで、彼の魅力についても、なんか興味あるのでもっと知りたいのだけど、あまり目ぼしい情報がないなと。

この”Morning Song to Sally”は、ナッシュビル録音らしく、ホンドクロウチとは何も関係なくて、とてもパーソナルな曲なんだけど、普遍的な、純粋な、人の悲しみと歌の大切さのようなものが染み込んでくる。



本家 Jerry Jeff


Nancy Griffith のバージョンもとても素敵


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