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父の日の「父の遺言」~変化するコロナ禍の遠隔介護

19日の父の日の前日、イチローさん(父・89歳)から「話したい事があるから全員集合」と家族に連絡がはいる。父の日は、施設にいるイチローさんを連れ出し、家族で食事会をしようと話していた。そのお食事会の前に「集合!」の掛け声がかかったのだ。大げさな、と思いながら、集まるとまず

「もしもに備えて、どこまでの医療を望むのか。わたしはこう考えているから、聞いておいて欲しい」

お~~~来たか出してきた資料をおもむろにあける。ラインマーカーも丁寧に引いてる。イチローさんらしい。

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「心肺停止になったとしたら、元の生活にもどれる可能性が低いのであれば。何もやってほしくない、です。」

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あっ、はい。

「今、口から食べれなくなって、たとえ栄養状態が悪くなって死が早まるとしても、絶対に処置はやってほしくない、です」

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はっ、はい。


「前から言っていたけど、おばあちゃん(イチローさんの実母)の最後の寝たきりをみていて、お母さん(妻 テルコさん 認知症)の様子をみていて、そこまでして生きていきたいと思わんのじゃ」

そんなに急いで話をするなんて、なんかあったん?

「施設で、亡くなられた人がおったんじゃ。いつ、わたしもそういうことになるかわからんから、あんたらに言うとかんといけんと思うて」

生きているうちに、意思を家族や大切な人に伝えておくことの必要性はよく言われる。さすが、イチロー父さん、偉いなあと思うが、実際、その時になると、残されたものはいろんな想いを抱くだろう。「胃ろうはしない!」と決めていてもいろんな条件の中での判断だから、変わってもいい。

ただ、確かにこう言って、話をしてくれていると、迷った時の大きな指針いになる。

「それから、、、葬式のことじゃけど、、、、」いらっちイチローさんは続ける。

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「呼びたい人は、家族と親戚。ただ、もう、知らせても困る人もいるから(健康状態やその家族の状態で)、その時が来たら判断してくれ」

お葬式の概念は、89歳も大きく変わっている。

親戚もお父さんのいとこになると、もう、私らもわからんから、住所録をまとめておいて

淡々と家族で話す。。。

「まあ、この葬儀社に会員制度に入ってるから、あなたたちには迷惑をかけんから」

葬儀社に会員制度に入ってる、、、それはもう大丈夫と思っていたら、中々大変なことに、という話もよくあることで
オトハルラジオ三三五五(40代50代のココロとカラダと暮らしの変化を応援するみよしの活動 オトナ思春期をデザインするプロジェクト(オトハル)のメデイア)とで、葬儀社(株)ニューライフの辻さんに聴いた話は、こちらから

「遺影写真はどうするん?」

と言って出してきた写真が「若い!!」

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確か、70代だ。それも、私が連れてった表参道の美容院でカットした写真。
気にいっていたのか!?あの時は「こんな髪にされて、、、、」と怒っていた気が。

葬儀社の辻さんから「若すぎる写真はやめましょう」と聞いていたのに、、、(笑)

「わけえ方がえんじゃ!年取っとる写真じゃ面白うない」

面白くせんでもええんじゃけど。

イチローさんが望んだお葬式が一番なので、確認できたのは良かったな。

聴いている誰一人「縁起でもない」とは言わなかったなあ、そうかそうか、いつ来てもおかしくないハナシなんだ。

認知症で自分の意思が言えないテルコさんのことを考えると父の価値観を聴いておけるのは、本当にありがたい子供孝行の「父の日」だった。

ありがとう、お父ちゃん。

11月9日一郎さん


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