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夏をのみほして

ビン底からみたこの景色は
川底からみた水面と同じ
透明な蒼と翠が
白くかがやく光と揺れる

しゅわしゅわと
ラムネの香りの小さな泡は
波が海に混ぜこんだ
空気の泡を思わせる

小さな刺激とまあるい甘さは
夏の恋の味がする

その刺激が抜けちゃうと
生ぬるくなる砂糖水
そんな味もきらいじゃない

のみほした後も残る
小さなガラス玉
ビンのくびれに引っかかるそれは

夏が去っても
消え去らない余韻のよう

美しい思い出のひと粒を
心の真ん中においていく