天の川銀河の円盤の隅を、 太陽とともにめぐる 青く輝く水の星。 私たちはいつも、その楽園にいる。 太陽と星の光、2つの世界を行き来しながら それぞれの物語の1ページを刻んでいる。 今日もまた、この光の中で生まれた物語を胸に、 休息の闇の中へと帰っていく。 明日もまた、水がきらめくこの星で 自らの光の道を探し求めるのだろう。 光はすでに自らの中にある。 楽園はすでに今ここに存在している。 輝く星は、自らの星の光を知らないのだ。 地球の所在地を調べてみたら、果てしなか
「この時間が、ずっと続けばいい」 君とふたり願った あの瞬間に 永遠に閉じ込められた時間は この物語の1ページに 挿絵のように描かれている いつか消え去るこの物語 完成する時が、終わりの時 登場人物は少しずつ入れ替わり、 変わらぬ人はいつまでもそこにいる これを読むあなたの物語には 今日、どんな言葉が綴られるのだろう? どんな人が現れ、どんな言葉を残すのだろう 一度きりの今日をたくさん感じて、 美しいこの世界が刻まれますように 絵 あいまる様
秋のこの時期は 街がざわめいて いつもより賑やかになる 外の風はすっかり乾いて 澄んだ香りが流れてきた 散歩していると、 緑色の金柑がいつくも実っている お正月に祖母の家に行くと よく金柑湯をもらい あたたまったものだった 襖一枚隔てて、冬がそこにいる そんな気がした もうすぐ、 静電気がバチっといいはじめるだろう ドアノブに触る前に、 壁や地面にこっそりと電気を逃す いつか先輩に見られた時は、 「放電中でーす」と言ったら笑われた 5,000年以上の歴史を持つ
大人の背丈ほどのコスモスの迷路 私は相棒を探して ぐるぐると彷徨っていた 「音、どこにいってたの〜」 お互い相手が迷子になったと 思っているところが可笑しい 「そっちこそ〜。探したよ」 川沿いで開かれている 毎年恒例の秋祭り 思えば、このお祭りに来るのは はじめてだった あっちに何かあるよ! 手を引かれて行った先にあったのは 川の水面に浮かんだ土俵 ん?押し合いで落とすのかな 身体を使うのは苦手なんだよね.. と思ってる間に あれよあれよと土俵にのせられた
春が近づくと苺ハウスの匂いが漂い 夏になると 田んぼを通り抜けた風が流れてくる 秋になると黄金の稲が首を垂れ 冬になると枯れ草がどこまでも 永遠と続いた ベランダから見えたその景色は 今はもうない 開発地域になったようで、 新しい家々が立ち並ぶ 夜でも煌々と光が流れる場所になった かつては街灯なんてひとつふたつで、 夜は貨物列車がガタンゴトンと通り過ぎる音が するような何も無い場所だったのだけれど 真夜中のベランダでぼーっと 星を眺めては、無になって いつの間に
港に行く そこから見える小さな島 幼い頃から何度も訪れた 私のルーツのひとつ 大きな木に結びつけられた ブランコに座る こぐと木が折れちゃ怖いので ただ座るだけ 木陰と日向の境がくっきりとしていた 今日の光は眩しい 島へ向かう船が だんだん小さくなっていく 見送りの人々は それぞれの道へ帰る 空も海も 透き通るように青くて ただ、ずっとそこで ぼーっとしていたかった 私は休日に自転車で 母は平日の仕事終わりに車で たま一緒に 私たちの憩いの場所 写真
家の裏の井戸辺に 洗濯物を洗いにくる女 くりっとした目が愛らしい、快活な人で 言葉を交わすうちにいつの間にか お互いを意識するようになった ある冬の寒い夜、 二人で待ち合わせして 近くの銭湯へ行った 湯上がりに浴衣を着て、 風呂桶を持って はじめて手を繋いだ 遠い冬の夜を思い出すように、 こっそりと教えてくれた初恋の話 親の反対でふたりが結ばれることは なかったけれど、彼の中で彼女は ずっと大切な人だったのだろう 懐かしそうに思い出すその目は、 彼女といた頃ときっ
ドライブ好き 花見好き 歌が好き 面踊りが好き 人と話すことが好き 故郷の山が好き そんなあなたが施設に入ったのは 80歳半ばになる頃だったか ひとり静かに訪れる人を待つ 詩を書いたり、歌を歌ったり 施設の人と話したり 日々の暮らしに 楽しみを見つけていたけれど 好きなことから遠ざかって ひとり過ごすあなたの心中は 図れなかった 亡くなる一年前の花火大会 丘の上の施設の大きな窓ガラスから あなたと一緒に花火をみた 少し食べたイチゴのかき氷を あとは食べんか?と私
あなたは言った 幼い私に 「君はこれから 素敵な人にたくさん出会うよ」 あれから20年とちょっと、 あなたの言ったとおり 私はこの人生で、 素敵な人にたくさん出会った 人の気持ちによりそうこと 人の気持ちを考えること 見えないおもいを表情や仕草に感じること それを私に深く教えたのは 他でもないあなただったから 誰かと出会う度、 あなたから教わったことに 出会い直している そうやって、 これからも生きていく 絵 おかドド@イラストレーターさま アルバムを
大学4年の1月 何を思ったか、機械音痴のくせに ミッションで免許をとることにした 一度、公道の信号でエンストして クラクションを鳴らされたのも 今となっては懐かしい思い出だ 担当の先生は、 ダンディーな雰囲気が漂う 穏やかで物静かな人 ぽつりぽつりと低い声で 言葉を置くように話してくれた その声に、 慣れない運転に慌てる心を 鎮めてもらった気がする 2月の半ば 「教習のルートで、 桜がきれいなところありますか?」 「ルート上ではないけど、 あの山の近くにあ
あなたが私に伝えた心 あたたかさ その光を通して 私は世界をみる この目と心は 私であり、あなたでもある あなたの姿が もう見えなくても この世界と私の間に あなたはいつもいる 写真 白水 桃花さま
雨でもよかった 曇りでもよかった あなたに会えるのなら どんな日でもよかった ふと、横をみると 近くにあるその横顔は 遠くを見ている その眼差しの先に何があるのか ぼんやりと見ていた 視線に気がついて どうしたの? と真っ直ぐ瞳を向けられると 目を逸らしたいのに 逸せない 頬だけが熱くなって あなたは笑った ただ隣にいられるだけで 幸せだった、あの日々 あなたは今もまだ、 あんな横顔で 遠くをみているのだろうか その姿を見かけたら 今の私はどんな風に あな
どうやらあの神社の神様は 本当に願いを叶えてくれたらしい 今度のお礼参りは奮発しよう そんな言い訳と、 あの喫茶店に立ち寄れるワクワクが この走り抜けるように過ぎるであろう年末を 後押ししてくれる気がする 踊る阿保にみる阿保 同じ阿呆なら踊らにゃ損々 そんな気持ちで、踊りながら 締めくくりたい 写真 Tome館長 何とか解放された夜 解放感で阿保な呟き 無事帰ってこれた なんだかんだで 書かずにはいられないよう 読んでくださり、 ありがとうございました🤍
今日も急遽お休みします。 みなさま、良い夜を🌟
卒業式 教授の前に両手を出したけれど 手に紙がおさまる気配がない 頭をあげると 「君にはまだ渡したくないな」 学位記を渡すのをしぶられてしまった 心の底を見透かされたようで 思わず笑ってしまった もう少し先生のもとで 学んでいたかった かと言ってその先に 明確な夢があった訳ではないから ただ、目の前にある 情熱の在処に進むことを決めた 目尻を下げて笑う先生の顔をみるのも これで最後かな 明日もまたここで会うかのように 先生と後輩と喋り 友人とキャンパスを歩き回
※センシティブな内容を含みます。 人の生と死の間のこと。閲覧ご注意。 たまたま見かけた記事に 静かな衝撃をうけた 生と死の間、 第3の状態って何? 人が死んだ後、 肺細胞が自己組織化して 多細胞生物に生まれ変わることがあるらしい 4〜6週間で消滅するから、 ほんのいっ時の命ではあるけれど もしそうだとしたなら、 人としての死が訪れても イコール、生命としての死ではない 土葬だった頃は、少なくとも 四十九日までの間に新たな生命として そこに存在していた可能性がある