【絵本】こびとのくつや 完成版全ページ公開!!!
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本当にありがとうございます!!!
代表である梶本大雅がこの活動にかける思いが載っています。
1/24(日)オンライン公演公開に向けて準備頑張っていきます!!!
今回は絵本の内容を全て公開します、、、!めちゃ可愛いってスタッフ1同思っております…!!!
むかしむかし、ある町にまずしいくつやのおじいさんと、おばあさんがすんでいました。
ふたりは、あさからばんまではたらいていました。
しかし、わかいころのように、1日中くつをつくりつづけることがむずかしくなり、やがて、ざいりょうを買うお金も、なくなってしまいました。
「とうとう、のこりのかわが1まいになってしまったよ。」
と、おじいさんは言いました。
おばあさんも、答えました。
「これがさいごなのですね。」
おじいさんはくつをつくることが、大好きで、おばあさんも、
おじいさんのくつづくりを、何十年もそばで見守り、ささえています。
2人にとってくつをつくることは、
かけがえのない、大切な、生きがいなのです。
自分たちでつくったくつを、だれかにはいてもらうことが
なによりも、うれしいことでした。
おじいさんは、ゆっくりとかわを切りすすめます。
気づけば、夜がちかづいてきました。
「おばあさん、先にねてくれるかい?
最後のくつだから、もう少しがんばりたいんだ。」
「わかりました。むりはしないでくださいね。
それでは、おやすみなさい」
夜おそくまでかわを切っていたおじいさんは、
そのままねてしまいました。
次の日のあさ、おじいさんが目をさますと、
昨日、とちゅうまで切っていたかわが、
ぴかぴかのくつになっているのです。 「おやおや。なぜだろう、、、すごくりっぱで、かっこいいくつだ。」
ベッドからおきて、はなしをきいたおばあさんもふしぎそうです。
「きのう、ねぼけて、さいごまで作ったのではないですか?」
「そうかもしれないなあ。ふしぎなこともあるもんだ。」
くつをお店にならべると、すぐにおきゃくさんがやってきました。
できあがったばかりの、りっぱなくつを見て、おきゃくさんは言いました。「なんとかっこいいくつでしょう。ぜひ、買わせてください。」
おきゃくさんがはらってくれたお金で、
また、あたらしいくつをつくるためのかわを、
二足分買うことができました。
「これでまた、くつがつくれるぞ。」
おじいさんは、はさみで、かわを切りすすめます。
「よし、仕上げは明日のあさ、することにしよう。」
切ったかわを、テーブルの上におき、
おじいさんとおばあさんは、ねむりにつきました。
次の日のあさ、二人がもどると、
またしても、りっぱなくつが 二足、テーブルの上においてありました。
おじいさんとおばあさんは、びっくりして、まわりを、きょろきょろ見わたします。
「これはいったい、どういうことなのでしょう。」
「かってにくつができあがるなんて。なにがおこっているんだ。」
その日もお店をあけると、すぐにお客さんがやってきて、
2足とも、売れてしまいました。
こうして、おきゃくさんがはらってくれたお金で 次の日は4足分、
その次の日は8足分のかわを、買うことができました。
くつやは,お客さんでいっぱいになり、
おじいさんもおばあさんもおおよろこび。
二人は、昔のようにまずしく、生活に困ることはなくなりました。しかし、はさみで切っただけのかわが、
よるのあいだに、くつにかわるりゆうは、わからないままでした。
「うーん。いったい、だれが、こんなにりっぱなくつを、つくってくれたんだろう。」
「ぜひ、おれいが言いたいわ。」
「そうだ、今日のよる、こっそり、しごとばをのぞいて、たしかめてみよう。」
そのよる、おじいさんとおばあさんは、おとをたてないよう、
そーっと、しごとばをのぞきました。
すると、なんということでしょう。
こびとたちが、テーブルの上で、くつをつくっているではありませんか。「よいしょ。よいしょ。さあ、すてきなくつをつくるぞ。」
「おじいさんとおばあさん、よろこんでくれるといいなあ。」
こびとたちは、そう言いながら、ちいさなからだをせっせとうごかします。
おじいさんとおばあさんはびっくりして、かおを見合わせました。
「おやおや、なんということだ。」
あっというまに、すてきなくつをかんせいさせると、
どこかにきえてしまいました。
こびとたちは、おじいさんとおばあさんが、長いあいだ
二人きりで、いっしょうけんめいに、くつをつくるすがたを、
かくれてのぞいていたのです。
なにか、おじいさんとおばあさんのおてつだいがしたい、
とかんがえたこびとたちは、
よるおそくに、こっそりと、
くつづくりのおてつだいにやってきていました。
次の日、2人は昨日見たこびとたちについて、はなします。
「なにか、おれいがしたいなあ。」
「そうですね。あの子たちがきていた、ようふくと、くつが、
ずいぶん古いように見えました。
わたしたちで、ようふくと、くつをつくって、
プレゼントするのはどうでしょう。」
「それがいい!さっそくつくって、
今日のよるにテーブルの上においておこう。」
それから、おばあさんはこびとにぴったりの小さなようふくを、
おじいさんは、小さなくつを、つくりました。
さて、よるがやってきました。
こびとたちがまた、しごとばにやってきます。
「きょうも、たくさんくつをつくるぞ!」
テーブルに上がると、そこには、ざいりょうのくつがありません。
「あれれ、おかしいな。今日はいつものかわがないみたいだ。」
「でも、なにかがおいてあるぞ」
いつもかわがあるばしょに、小さなようふくと、くつがありました。
「なんてかわいいようふくと、くつなんだ。きてみようよ。」
「そうだね。きっと、ぼくたちにぴったりだ。」
こびとたちは、すぐに、ようふくにうでをとおし、
くつをはいて、おおよろこびました。
そのようすを、かげから 見守っていた
おじいさんとおばあさんも、
とてもうれしく、あたたかい気持ちになりました。
「こんなにもよろこんでくれるなんて。少しは、あの子たちに
おんがえしができたようですね。」
「ああ。おれいができて、本当によかったよ。」
こびとたちは、たのしそうにうたいながら、しごとばをでると、
それから、おじいさんとおばあさんのまえに
あらわれることは、ありませんでした。
それでも、おじいさんのつくるくつは、
こびとたちがつくったくつとおなじくらい、
きれいなものだったので、
たくさんのおきゃくさんがくつをかいにきました。
おじいさんとおばあさんは、くつやをつづけながら、
ずっとしあわせにくらしたそうです。
おしまい
著: ヤーコプ・グリム ヴィルヘルム・グリム
絵:peacock
訳:anri
発行:オトギボックス お問い合わせo10gibox@gmail.com
©OTOGIBOX 2021 printed in Japan