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意味のない無意味

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ノーモアストーリー
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与一と羊の100歳体操

与一と羊の100歳体操

 公民館で行われた99歳体操は終焉まじかだった。老人会の爺婆がテレビを観ながら体操をするなか、88歳の与一は、なぜ100歳体操ではないのかを真剣に考えていた。
 となりのトメ子はそんな与一に恋をしている。
真剣に考える与一が大好きなトメ子は、自分が認知症であることを知らない。ちなみに、与一も認知症だ。

「ねぇ、よっちゃん。さっきからなにを考えているの」

「羊飼いはなぜ99匹の羊を残していったの

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海のロンド

海のロンド

30分ぐらいだと思っていた。
思い込みで人を殺してしまったことで、忘れられない思い出ができた。とでも言いたげな姿勢。岩に張りついた苔のようにも見える。

男は慎重に身を屈め、身を映す、海。

驚きを隠せなかった人々は、白い波で埋め尽くされた航海によって、行き着いた場所を発見していた。死体が、口を大きくみせてそれを物語っていた。熟れているのは風が強いからで、雪崩れというのは海に向かうものです。待って

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「退職、どけ」意味のない無意味

「退職、どけ」意味のない無意味

<以下、物語でもない詩でもない、意味の無いような文章です。イライラしたければどうぞ>

「お前、トレーニングサボってる」
「へ、僕、箸の使い方も知らないんで」

「俺はトレーニングをしてきたんだと、箸の使い方はわかるんだと、言っている」

眼鏡橋の半円は、トレーニングをサボってきた僕からみても、半円だった。端的に言えば楕円なのだけど、正確に見れば川面であり、円は憧れの的だ。

橋を渡る人の視力から

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