見出し画像

基準はいつも、わたしの内側に。

パプアニューギニアの高地に住む人は、サツマイモしか食べていないのに筋骨隆々の人が多い。

えっ、そうなん?! と二度聞きしたくなる驚きの事実を先日オンラインで参加した「みんぱく」の公開講演会で聞いた。

彼らの主食はサツマイモ。主食に加えて、おかずであり、おやつでもあるのが、サツマイモ。成人なら1日に約2キロの量を食べるという。

大量のサツマイモでお腹は満たされる。しかし、あきらかに栄養に偏りのある食生活で、なかでもヒトの細胞や抗体の生成に必要なタンパク質の不足が深刻。彼らと同じサツマイモ三昧の食生活でフィールドワークをおこなった梅崎昌裕さん(この講演の登壇者)によると、その暮らしでは、蚊に刺されただけで、その部分の傷が治らず、挙句の果てに赤く膿んでしまうぐらいタンパク質不足を感じたという。

ところが、だ。そこで暮らす彼らの多くは、筋肉ムキムキ。上半身裸で森を歩きまわり、ケガを恐れている様子もない。え、なんで? 

その理由について、まだ科学的には検証されていないが、たぶん腸内細菌の働きらしい、と講演会で語られていた。具体的にいうと、彼らの腸内細菌にはアミノ酸を体内で作り出すような仕組みがあるのでは、と。つまり、わたしたち日本人の腸内細菌とはまったく違う環境にある、という。


なぜこんな話しを書いたかというと、先日NHKの番組で「腸内細菌の環境をよくするための食事」の特集があり、ハンバーガーや鶏唐揚げなど脂質の多い食事ではなく、栄養のバランスに富んだ和食がよい、と放送されていたから。

うん、わかる。現代の日本で生きているわたしたちにとっては、きっとそうなのだろう。でもこれ、世界共通の基準じゃない。世界には、サツマイモでマッチョな人もいる。


世界共通の常識や絶対の正解はない。そんなことは頭ではわかりきっているし、それがおもしろいと感じている。だから多民族がともに暮らすマレーシアの多様な価値観に惹かれる。それなのに、だ。気がつけば、日常のあちこちでわたしさは正しさを求めている。統一されたわかりやすい価値のなかに無意識で身を委ねたがっている。NHKの内容をしっかりメモを取ったりしてね。で、だんだんその統一基準にがんじがらめになっていく。


この連鎖から抜け出すためには、わたしの正解はわたしの内側にしかないとと信じることだ。なにかに迷ったらここに立ち戻っていこう。

ちなみに、余談です。パプアニューギニア高地のサツマイモにはいろんな種類があり、なかには食感がぼそぼそで甘くない、いわゆるおいしくないものもある。それも食卓に必須だそうだ。なぜなら味に変化をつけるためで、おいしいサツマイモばかりでは飽きるから。深い~!

:::

ボルネオ島のサバ州で暮らす野生のテングザル。森や自然の近くにいると、自分の内側がみずから潤っていく気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?